事業場内最低賃金とは
かなりなんかエッジの聞いた言葉の言い回しですが、平たく言うと、「補助事業を行う場所(工場や事務所、または店舗など)で、一番安い人の給料の額」です。働いている側からも経営している側からもこれが誰とかって誰にも知られたくはないちょっぴりデリケートな話ですが、補助金に関しては容赦なく聞いてきます。
ものづくり補助金のQ&Aより引用
(事業場内最低賃金について)
Q18. 事業場内最低賃金の「事業場」とは、具体的にどこを指すものでしょうか?
A18. 応募申請書に記載された補助事業の実施場所となります。事業場内最低賃金とは、補助事業実施場所で働く従業員に適用する時給額(月給制などの場合は時給換算した額)のうち最も低い額となります。また、地域別最低賃金とは、補助事業実施場所が所在する都道府県に適用される最低賃金となります。
補助金においてはこの「事業場内最低賃金」が要件になることが多い
補助金名称 | 対象枠 | 基本要件 | 追加要件 | 加点項目 |
---|---|---|---|---|
事業再構築補助金 | 事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)
事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型) |
補助率等引上要件
1. 補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加 2. 事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げ |
応募時に大規模な賃上げに取り組むための計画書を提出 | – |
ものづくり補助金 | 全枠 | 基本要件
1. 事業計画期間において事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする |
新型コロナ回復加速化特例<br>1. 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点で地域別最低賃金+50円以上
大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例 |
賃上げ加点 (ア) 給与支給総額年平均成長率3%以上増加 事業場内最低賃金を毎年3月に地域別最低賃金+50円以上とし、さらに毎年+50円以上ずつ増加 (イ) 給与支給総額年平均成長率6%以上増加 事業場内最低賃金を毎年3月に地域別最低賃金+50円以上とし、さらに毎年+50円以上ずつ増加 |
要点まとめ
- 事業再構築補助金では、給与支給総額の年平均6%以上の増加と、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる必要があります。応募時に賃上げ計画書の提出が求められます。
- ものづくり補助金では、基本的に事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とし、新型コロナ回復加速化特例の場合は+50円以上の水準を求められます。大幅賃上げを行う場合は給与支給総額の年平均成長率6%以上増加と、さらに事業場内最低賃金を毎年+50円以上増額することが必要です。
- 加点項目として、ものづくり補助金では、給与支給総額や事業場内最低賃金の増加計画を提出することで、加点を受けることができます。
「最低賃金」の基準は「時給」に換算する
賃金の額は補助金の場合、「時給」で換算します。これは地域別最低賃金と比較するためです。以下に具体例を示します。
例:
- 月給:20万円(給与支給総額:法定福利費、福利厚生費を引いた「給与」)
- 労働時間:1日8時間、残業なし
- 月の労働日数:週5日 × 4週間 = 20日
- 地域別最低賃金:984円(静岡県)
計算方法:
- 月の総労働時間 = 1日の労働時間 × 月の労働日数
- 8時間/日 × 20日 = 160時間/月
- 時給の計算:
- 時給 = 月給 ÷ 月の総労働時間
- 時給 = 200,000円 ÷ 160時間 = 1,250円
したがって、月給20万円で1日8時間労働の場合、時給は1,250円になります。
地域別最低賃金との比較:
- 現在の時給:1,250円
- 地域別最低賃金(静岡県):984円
関連項目
- 給与支給額総額
- 人件費
- 給与支給額上昇要件
- 地域別最低賃金