【公募要領解説】事業再構築補助金 申請できない事業について

記事更新日:

事業再構築補助金の10次募集がはじまっておりますが、第10回より大きく公募内容が変更になっております。

変更内容についてはコチラの記事をご参照いただくとして、改めて公募要領を見返し、申請を行ってまいりましょう。

さて、事業再構築補助金において、公募要領で明記されている「こういった事業は対象外」という事業について、お話したいと思います。

※本記事の内容は令和5年5月30日に改定された公募要領1.3版に準拠しております。

公募要領28ページの内容の解説

公募要領28ページに下記のような記述があります。

・以下に該当する場合には、補助金交付候補者として不採択又は交付取消となります。本事業に補助金交付候補者として採択された場合であっても、交付審査において以下に該当すると判明した場合には、採択取消となりますでご注意ください。

なんか最後の文章、脱字がありますが、言っている意味はわかると思います。

では、その「不採択又は交付取消」となる事業について、ひとつひとつ見て行こうと思います。

① 具体的な事業再構築の実施の大半を他社に外注又は委託し、企画だけを行う事業

具体例として、先日行われた説明会ではこんな事業を例示しております。

・個人事業主が新事業の計画を作成したものの、事業を実施するうえで、従業員が足りないため、個人事業主自身は既存事業に専念し、新事業は委託したほかの会社に運営させるような事業

・子会社が事業を行うものの、子会社では応募要件を満たさないなどの理由で、親会社が代わりに申請だけを行うようなケース

企画だけ自社で行って実際の事業は他社というイメージが上記を含め、なんとなくわかりやすくなったのではないでしょうか。

開発から運営まで他社に全て委ねてしまう事業、特にサイト運営等ではよく見られます。「自社にはノウハウがないから・・」という理由から全てを委ねることは多々ありますが、少なくとも開発や運営に関しては自社のリソースやノウハウを活用するべきです。「誰の何のための事業か」という問いに対する答えが見えなくなる可能性があるからです。そのため、この点については深く考察することをお勧めします。

② グループ会社(2.補助対象者に規定する【みなし同一法人】に当てはまる他の会社)が既に実施している事業を実施するなど、再構築事業の内容が、容易に実施可能である事業

つまるところ、グループ会社に既にノウハウや必勝法があり、それを再現するだけで、事実上の再構築とはいえない。そんな事業です。
まぁ、それは「再構築」ではなく「再実施」だろっていう話ですね。

③ 不動産賃貸、駐車場経営、暗号資産のマイニング等、実質的な労働を伴わない事業又は専ら資産運用的性格の強い事業

建物費の経費で賃貸用不動産建てたり、どこか広いスペースにマイニング用機材を置きまくって初期設定だけして、あとは自動的に動くようなそういった事業は、儲かる事業かもしれませんが、まぁ、パッシブインカムでもありますしね・・

④ 建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業(中小企業等とリース会社が共同申請を行い、リース会社が機械装置又はシステムを購入する場合は、これに当たりません。詳細は7.補助対象経費(3)リース会社との共同申請についてを参照してください。)

上記3との違いは、事業の手段や目的でして、③の場合が主に資産運用であり、④の場合は長期間の賃貸を目的としているもので、まぁ、自社は特になにも使用せず、他社に貸し出す賃料収入のみを果実としているような事業の事です。

⑤ 農業を行う事業者が単に別の作物を作る、飲食店が新しく漁業を始めるなど、新たに取り組む事業が1次産業(農業、林業、漁業)である事業 ※例えば農業に取り組む事業者が、農作物の加工や農作物を用いた料理の提供を行う場合など、2次又は3次産業分野に取り組む場合に必要な経費は、補助対象となります。2次又は3次産業に取り組む場合であっても、加工や料理提供の材料である農作物の生産自体に必要な経費は、補助対象外となります。

農業や漁業、林業といった1次産業はダメですよ。と、そういった内容はいろいろと新しく始めるには新規参入からしっかり事業化するまでには時間もかかりますし、こういうのは邪推かもしれませんが、管轄は農水省ですしね・・。

事業自体が加工(2次産業)、提供(3次産業)でも、1次産業が入っている場合は、その分の経費(1次産業に必要な経費)は対象外となります。

⑥ 主として従業員の解雇を通じて付加価値額要件を達成させるような事業

付加価値額要件の達成とは、付加価値額(営業利益+減価償却費+人件費)を言いますが、たとえば成長枠ならば年率4%以上の上昇が要件となっております。

この場合、たとえば自動化やAIの活用、アウトソーシングをして、人件費は下がりつつもコスト削減として営業利益をあげるような事業は、さすがに国の関わる事業として、国策としてダメだろっていう話ですね。

⑦ 公序良俗に反する事業

もうそのまま、反社会的な事業はもちろんダメということで、法令や社会規範、モラルに反する事業は申請できません。

⑧ 法令 に 違反 す る及び 違反する恐れがある 事業 並びに消費者保護の観点から 不適切であると認められる事業

主要な事業が一般的であったとしても、予定されている事業が法律に違反していたり、消費者保護の観点から不適切であると判断された場合を指します。典型的な例としては、化粧品や健康食品があります。例えば、景表法違反や、効果が確認されていないにも関わらず消費者庁から警告を受けているなど、「疑問のある」商品を販売する事業です。

もちろん、特定の法律による制限があるために許可が必要な事業で、許可を取得する見込みがない場合も含まれます。

たとえば、建設業許可が必要な事業において、明らかに建設業許可取得の要件を満たしていない場合や、農地を転用し建物を建設しようとする際に、都市計画法や農地法により転用が難しいと判断されるケースも含まれます。

⑨ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23年法律第 122号)第2条第5項及び同条第 13項第2号により定める 事業
※申請時に、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第 122号)第2条 第5項及び同条第 13項第2号により定める 事業を実施している中小企業等であっても、当該事業を 停 止して新たな事業を行う場合は、支援対象 となります。

風営法の第2条第5項を抜粋します。

五 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

13項第2号は

二 店舗型性風俗特殊営業

 

⑩ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成 3年法律第 77号)第2条に規定する暴力団又は暴力団員と関係がある 中小企業等 又はリース会社 による事業

ヤクザのフロント事業者も申請できません。関係があるだけでもダメですね。

⑪ 重複案件
・同一法人・事業者が今回の公募で複数申請を行っている事業
・テーマや事業内容から判断し、(過去又は現在の)国(独立行政法人等を含む)が助成する他の制度(補助金、委託費、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等)と同一又は類似内容の事業
※ただし、厚生労働省の産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)との併用は可能。
・厚生労働省ホームページ:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/sankokinjigyou-saikouchiku.html
・他の法人・事業者と同一又は類似内容の事業
※他の法人・事業者と同一又は酷似した内容の事業を故意又は重過失により申請した場合、次回以降の公募への申請ができなくなりますので、十分ご注意ください。

重複案件、つまり複数申請はできません。

同じ公募会で、例えば法人で1つ、代表が個人事業主として1つ。みたいな申請はダメです。

そして、2つめが重要でして、例えば「ものづくり補助金」ですでに採択されている設備をこの事業再構築補助金で申請してみるとか、あとは国の国保連への保険料請求を行うシステムをこの補助金で作るようなそんな案件も不可となりました。

最後の「他の法人・事業者と同一又は類似内容の事業」というのはこの補助金がはじまってすぐにあった「フルーツサンド事件」のように、事業者は違えど、ほぼ内容が同じ。そういった申請はやめてください。とそういう内容になります。

⑫ 申請時に虚偽の内容を含む事業

もちろん、採択のためだけに架空の事業や経費などを含んではダメです。嘘は必ずバレます。

⑬ その 他 制度趣旨・本公募要領 にそぐわない 事業

もちろん前提である申請要件や公募要領で示されている事項に合致しない事業は申請しても採択になることはありません。
また、公序良俗に反する事項のほか、一般的な社会規範やいわゆる「グレー」な公募要領の不備をつつくような申請はやめてくださいね。ってことですね。

 

まとめ

事業再構築補助金は第10回となり、新たな予算区分でまさに「再スタート」を切られております。

課題であった「本当に必要とする事業者」への支援という意味で、かなり公募の内容を絞っており、上記の「不適切申請」を踏まえて

本当に必要な事業への投資

これを意識して補助金を使いたいところですね。

 

補助金に関するお問い合わせ
  • 電話・Zoomでの30分無料相談を受付中です!
お電話でのお問い合わせ

「補助金のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日10:00-17:00(土日祝休み)
メールでのお問い合わせ

    ページトップへ戻る