【インタビュー:補助金申請のポイント】キタゴウ行政書士事務所の長田怜也氏に聞く

新型コロナウイルス感染症の影響で、中小企業向けの補助金がとても多くなっております。この機会に補助金を活用したいという事業者様も多いのではないでしょうか。本日は、補助金の申請に詳しい専門家、行政書士の長田怜也氏に補助金活用についてお話を伺います。よろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします!
まずはじめに、いま触れたとおり補助金はかなり種類が多くなっている印象です。その中で、自社にマッチする補助金を選ぶポイントはどのあたりにありますか?
補助金には様々な種類がありますが、やはり選ぶ決め手というのは「目的が何か」です。

ただ「返済不要のお金がもらえるから」ということではなく、今後どうなりたいか。会社や事業のあるべき姿を考えて補助金を選んでいく必要があると考えます。

例えば、現在のBtoBサービスをBtoCに広く安価で提供し、普及させていきたい。そうしてさらなる事業の成長を企画していきたい。なら事業再構築補助金。営業利益を上げていくために値下がりしていく既存製品からグレードアップした自社ならではの新製品を作りたい、など、革新的な事業にチャレンジしていくなら、ものづくり補助金。というように、将来に向かって何が重要か、よく考えて、補助金の利用をご検討されるのが一番です。

「もらえるお金があるならもらわないと損」と、手段が目的になってしまうと上手に活用できないこともありそうですね。ところで、補助金の事業計画が採択されるのは相当難しいと聞きます。実際に難易度というのはどのくらいのものなのでしょうか
一般的に補助金に関しての採択率は高くて6割、低い時で1割~2割ということもあり、その時期や補助事業の内容にもよって変化します。

国の戦略や目的と事業者の成長への道程がどれだけマッチするかという事もありますので、難易度はある程度高いと言えるでしょう。

1~2割の採択率ですと、補助金申請の手続きにかかる労力も考慮して、申請するべきかよく検討したほうがよさそうですね。誰でも申請すれば採択されるというわけではない補助金ですが、これを申請するメリットというのはズバリ何でしょうか。
やはり一番は「投資に係る金額の補助」といったところが一番大きいと思います。

新たな事業を行うにあたり大きな投資となりますが、そのうち、一定の割合で国から補助が出るというのは大きなメリットでしょう。

確かに、何割かでも補助してもらえるなら投資に踏み切ろうというケースも多いかと思います。
はい。その他には、事業計画書作成に当たり、「強みの棚卸」といいますか……企画していく中で、これまでの事業の課題が明確化し、それを解決できるような本来の自社の「目に見えない強み」を言語化し、整理整頓することが出来ます。

「アイディアの交通整理」なんて言い方もしますが、プロジェクトを推進するにあたり、目標が明確化し、また自社の新しい可能性にも気づくことが出来ます。これも副産物かもしれませんが、大きなメリットであると考えます。

「アイディアの交通整理」ですか。確かに、補助金の申請などに関わらない限り、あらためて自社の可能性を検討する機会というのはなかなか無い企業さんも多いかもしれませんね。一方で、補助金申請にはデメリットもあると思います。そのあたりは、いかがでしょうか。
補助金には、たしかにデメリットやリスクもあります。

これを知らずして、把握せずして補助金申請を行うと大きなダメージを負うこともあります。細かいことは省きますが、大きく分けて3つあります。

1つは「返金リスク」です。

返金のリスク?補助金は返さなくてもよいお金ではないのですか?
はい。「補助金は返済不要」ですが、「返金をしなくても良い」というわけではありません。

補助金申請のためには「約束」があり、それを守らなくてはなりません。

もちろん、不正な手段や虚偽の事業内容で交付を受けた場合は論外なのですが、そうではなく、補助金ごとの「目標の未達成」で全額返金を行わなくてはならないというものもあります。

目標の未達成で全額返金、というのもありえるのですね。
そうです。そして次のリスクは「流動化リスク」です。

補助金で購入した設備を他の事業、たとえば既存の事業に転用する事は原則できません。これはとある事例なのですが、食品製造業者で新製品製造のために設備を導入しましたが、実際に事業化していくほど販売数が思わしくなく、転用申請を行い、既存事業に転用しましたが、補助金自体は返金となっております。

こうした事が起こり得るのが補助金の難しさでもあります。

なるほど。
補助金の申請に関する最後のリスクは「事務コスト増加リスク」です。

補助金には煩雑な事務作業が必要です。ほとんどの補助金で申請は電子化されましたが、証拠書類などは逆にデータ化しなければならないなどの手間もかかりますし、税金の支出となるので、慎重な書類収集に加え、各種の届出や報告書の作成が必要になります。

既存事業とは全く別で管理しなければならず、5年間は少なくとも報告が求められたり、書類保管が必要となるなど、事務コストは増大します。

書類の作成や管理は意外と面倒ですからね。
そうなんです。こうしたデメリットやリスクをしっかりと把握し、織り込んだ計画でなければ意味がありません。
ありがとうございます。最後になりますが、補助金を申請してゆく上でのコツや事業計画書のポイントを教えてください。
企業秘密です(笑)というわけでもないのですが、まずはしっかりと「公募要領」を読むことです。申請手順や、審査ポイントなどは全て公募要領に載っております。
公募要領ですか……。あれ、読み込もうとすると結構わかりにくいといいますか、読まずに済むならそれに越したことはないなと思ってしまいます(笑)
そうですね(笑)文章も複雑ですし、なかなか読みにくいのが公募要領です。霞が関文学(笑)の解読に長けた人でも読み込むのは大変です。

ですので、まずは必要なところだけのななめ読みをお勧めします。

ザッと概要を掴むことが大事ですね。慣れないと、なかなか難しそうですが。
はい。そして、自社の「申請したい内容」と「審査ポイント」の共通項を見つけ出し、しっかりと丁寧に説明してゆくような形で、計画を立案し、まとめておくことが重要です。

スケジュールや枚数などのお約束は必ず守り、丁寧に申請していくことがポイントですね。

わかりました。さすがに、補助金の内容を知らずに申請しても採択されない可能性のほうが高くなってしまいますし、しっかり要点を押さえて、自社にマッチする補助金を活用していきたいですね。本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました!
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