小規模事業者持続化補助金の実績報告とは
小規模事業者持続化補助金の事業完了後、交付されるには、補助金を使って行った仕事の内容や成果をきちんとまとめた「実績報告書」を提出する必要があります。この報告書には、販路開拓や業務効率化のためにかかった費用や、実際に行った活動を記録します。
ポイントは次の通りです:
- 補助対象期間内の費用だけが対象
事業期間中に使ったお金だけが補助金の対象となります。期間外で使った費用は補助金を受けられません。 - 期日までに報告書を提出する必要がある
定められた期日までに報告書を提出しないと、補助金を受け取れなくなってしまいます。 - 税金の対象になる
補助金は法人税や所得税の課税対象となりますので、注意が必要です。
また、もし報告書に間違いや不備があった場合は、補助金事務局からの指示に従って修正し、早めに再提出しましょう。
目次
- 実績報告書 提出書類について
- 経費支出の流れ
- 証拠書類の整理と記載事項
- 実績報告書の提出期限と提出方法
- よくあるミス、回避方法
実績報告時 提出書類について
項目 | 必要な書類 | 注意点 |
---|---|---|
[1] 見積 | 見積書、料金表、価格や内容が掲載されている商品ページの写しなど | 税込100万円を超える発注は2者以上から見積書を取得。中古品は例外なく2者以上から見積書が必要。 |
[2] 発注・申込・契約 | 発注書、申込書、契約書、注文履歴画面の写し、受注確認書など | 交付決定日以降の発注・申込・契約のみ補助対象。 |
[3] 納品・完了・検収 | 納品書、完了報告書、完了確認書など | 発注内容と納品内容が一致していることを確認する必要がある。 |
[4] 請求 | 請求書、請求書メール、請求履歴画面の写しなど | 請求金額や支払条件が確認できる書類が必須。 |
[5] 支払 | 領収書、振込明細、通帳の写し、ネットバンキング記録画面の写しなど | 銀行振込のみ原則対象。支払手続きは補助事業期間内に完了している必要がある。 |
[6] その他成果物等 | 物品写真、報告書、チラシの配布先リスト、原材料費の記録など | 写真や報告書、消耗品の使用記録などで支出内容を証明する必要がある。 |
経費支出の流れ
経費支出の流れ | 注意点 |
---|---|
経費支出の過程と必要な証拠書類を確認 | 「補助対象経費」を参照し、必要書類を確認 |
支出の流れに従い、書面で証拠を残す | 経費処理に関するやり取りは書面で行うことが必須 |
口頭でのやり取りでは補助対象外 | 具体的な書類がなければ補助金は対象外 |
不明点がある場合は事前に補助金事務局へ確認 | 事前確認が重要。書類不備による補助金対象外を防ぐ |
証拠書類の整理と記載事項
① 証拠書類に記載するべき項目
- 補助金に提出する書類は、第三者が見てもすぐに内容がわかることが大切です。
- 以下の項目が必ず書かれている書類を用意してください:
- 書類の発行日
- 書類の宛名(補助事業者名)
- 書類の名称
- 金額
- 書類の説明(内容・但し書き)
- 書類の発行者
- 外国語の書類を提出する場合、日本語で要約した書類を一緒に提出することが必要です。
② 証拠書類の整理と保管
- 補助金の支払いは、提出された証拠書類を基にして行われます。不備があると、補助金は受け取れません。
- 事業完了後の年度から5年間、書類の原本を保管してください。事務局からの確認時に対応するためです。
電子商取引について
-
- 電子取引データは法律(※)に従って保存する必要があります。
- 電子商取引の場合でも、支払いが証拠書類で確認できる場合にのみ補助対象になります。
- 取引先としっかり確認し、必要な書類を整えた上で取引を行ってください。
- 電子マネーの支払いも、他の経費と同様に証拠書類が整っていれば補助対象です。
※電子帳簿保存法・・・(電帳法)。メールやダウンロード、クラウドでやりとりされる請求書、見積書、領収書などの取引関係書類を電子データで保存することを認めた法律。電子取引で授受された書類は、データのまま保存することが義務
表でまとめ
項目 | 説明 |
---|---|
1. 書類の発行日 | 書類がいつ発行されたかを示す日付 |
2. 書類の宛名 | 補助事業者名が記載されていること |
3. 書類の名称 | 見積書、契約書などの書類名 |
4. 金額 | 取引の金額が明記されていること |
5. 書類の説明(但し書き) | 具体的な購入品名や内容の説明が記載されていること |
6. 書類の発行者 | 誰がその書類を発行したかが明記されていること |
実績報告書の提出期限と方法
- 提出期限
補助事業が終わったら、その日から30日以内、もしくは決められた「最終提出期限」の早い方までに、実績報告書を提出しなければなりません。 - 提出が遅れた場合のリスク
期限までに提出しないと、補助金が受け取れなくなる可能性がありますので、必ず期限を守ってください。 - 提出方法
実績報告書の提出方法は、申請時と同じ方法で行います。郵送での提出はできませんので注意してください。
実績報告書の作成方法
実績報告については、紙で申請した人は紙で、電子申請で申請した人は電子申請で行います。
いずれにせよ、紙で申請する際も電子システム上で実績報告を作成する際も基本的には画面や様式に求められていることを記載すればよいのですが、こちら作成の際の注意点をいくつか記載したいと思います。
実績報告書では、申請時の計画がどの程度実施され、その結果として販路開拓(生産性向上)にどのくらいの成果があったかを記載します。具体的な数値を挙げて、成果を明確に示しましょう。
事業の具体的な取組内容
ここでは、実施した内容をできるだけ具体的かつ定量的に記載することが求められます。単に「店舗を改装した」「チラシを作成した」と書くだけではなく、以下のように具体的な数字や期間を含めて説明してください。
- 例1:「工事期間は〇月〇日から〇月〇日まで行い、改装工事を完了しました」
- 例2:「チラシは1,000部作成し、市内の家族向け世帯に向けて新聞折込を利用して配布しました」
- 例3:「店舗改装により、女性向けから男性顧客層の獲得を目指しました」
このように、事業内容の説明には期間や数量などの具体的な情報を加えることで、取組の成果が明確に伝わるようにしてください。
事業成果について
事業による成果を具体的な数値を使って記載してください。
例:
- 店舗改装により、男性顧客が週平均2人から10人に増加。
- バリアフリー化の前後で、高齢者や子連れのお客様の割合に変化があった場合:
- バリアフリー化前:●名(高齢者●%、子連れ●%)
- バリアフリー化後:●名(高齢者●%、子連れ●%)
- チラシの配布により、市内からの問い合わせが平均10件増加。
また、ホームページを作成した場合は、URLを記載し、SNSで広告を行った際には、アカウント名を記載してください。これらの証拠として、スクリーンショット(スクショ)も必要になります。
本補助金がもたらす効果等
この補助事業がもたらす効果は、事業の成長や顧客層の拡大など、具体的な成果を通じて確認されます。以下のように、具体的な事例やデータを基に説明してください。
例1:売上向上
- 店舗改装や新たなサービスの導入により、週の売上が●%増加。
- 男性顧客層が増えたことで、特定商品(例:メンズアパレル)の売上が●%向上。
例2:顧客層の拡大
- バリアフリー化により、高齢者や子連れのお客様が増加。バリアフリー化前は●名、後は●名と増加し、顧客層が広がった。
例3:地域での認知度向上
- チラシやSNS広告の効果により、市内からの問い合わせが●件増加。結果として、地域での知名度向上に繋がった。
このように、補助事業によって得られる具体的な成果を、数値や事例を基に説明することで、効果が明確に伝わります。将来に向けての展望として記載しても良いようです。
また、計画時に自己負担で実施した取組についても、成果があれば記載してください。
例:駐車場の整備(実績報告書記載例より引用)
- 計画:「自己負担で撤去した小屋跡を駐車場に整備(外注費)し、来店者増を狙う」
- 報告:小屋を撤去し、3台分の駐車スペースを作成。駐車場の空き状況がわかる看板を設置した結果、14時台の来店者が月5名増加した。
その他注意事項
① クレジットカード払いの証拠書類について
クレジットカード払いをした経費については、以下の全ての書類が必要です。
- (ア)領収書
- 法人の場合は法人名の宛名が必要。
- クレジットカード払いであることと金額の内訳が明記されているもの。
- クレジットカード払いが明記されていない場合、「お客様売上票(お買上票)」を添付。
- 金額の内訳が不明の場合は、レシートなどを添付。ただし、見積書や納品書で内訳が確認できる場合は不要。
- (イ)カード会社発行の「カードご利用代金明細書」
- 該当取引、口座引落日、1か月の合計額が確認できる部分が必要。インターネットの明細画面の写しでも可。
- (ウ)クレジットカード決済口座の通帳の該当部分
- 補助事業期間内に引き落としが完了している必要がある。
- リボ払いや分割払いで所有権が補助事業期間内に移転しないものは補助対象外。
立替払いの場合の注意点
法人の代表者や従業員が個人のクレジットカードで支払いを行った場合は、立替払いとなります。その場合、補助対象経費とするためには以下の2点が必要です:
- 補助事業期間中にクレジットカード支払い分が口座から引き落とされていること(上記の書類(ア)~(ウ)の提出が必要)。
- 補助事業期間中に、補助事業者と立替払者との精算が完了していることが確認できること。
よくあるミス、回避方法
よくあるミス | ミスの内容 | 回避方法 |
---|---|---|
書類の不備や不足 | 領収書や請求書に必要な項目が不足している、または書類が不足している | 必要な書類をリストで確認し、全ての書類が揃っているか確認する |
提出期限の遅れ | 実績報告書の提出が期限に間に合わない | 提出期限をカレンダーに記入し、早めに準備を開始する |
クレジットカード支払いの証拠書類不足 | クレジットカード払いの証拠として必要な書類が揃っていない | カード明細や領収書を整理し、必要な書類が揃っているか確認する |
自己負担分の取り組みを報告していない | 自己負担で行った取り組みを報告書に記載していない | 自己負担で行った取り組みも報告書に忘れずに記載する |
経費の内訳が不明確 | 経費の使途が不明確で補助金が対象外となる | 領収書や請求書に具体的な内訳を記載し、見積書や納品書で補完する |
電子データ保存の不備 | 電子取引で発行された請求書を紙に印刷して保存し、電子データを削除してしまう | 電子データは削除せずデータのまま保存し、紙で保存する場合もデータを保持する |