経営力向上計画とは(制度の概要)
経営力向上計画は、中小企業や中堅企業が「これからの経営」に必要な力を見直し、強化していくための制度です。計画が認定されることで、税制優遇や融資支援、補助金の加点措置など、さまざまな支援が受けられます。
主な支援措置:
- 税制支援
- 「中小企業経営強化税制」の活用により、一定の設備投資について即時償却または税額控除(取得価額の10%等)が可能です。
- 金融支援
- 認定計画に基づく事業について、日本政策金融公庫や信用保証協会による低利融資や信用保証の特例措置が利用可能です。
- 補助金における優遇
- 経営力向上計画の認定を受けることで、「小規模事業者持続化補助金」等で加点措置が得られ、採択可能性が高まります。
- 事業承継支援
- 他者からの事業引継ぎ時に、不動産取得税の軽減や、法人税法上の準備金積立による課税繰延などの税制措置を活用できます。
- 法的支援
- 業法上の許認可(建設業、旅行業、宅建業など)の承継が必要な場合、関係機関との調整支援が受けられ、スムーズな承継を実現できます。
申請支援機関
経営力向上計画の申請には、専門家のサポートを受けることもできます。
ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。
申請について
申請書は、簡潔な3枚程度の様式で作成可能です。主な記載内容は以下の通りです。
- 企業の概要: 企業の基本情報や事業内容について記載します。
- 現状認識: 現在の経営状況や課題について整理し、認識を明確にします。
- 経営力向上の目標と指標: 経営力向上に向けた具体的な目標を設定し、その達成によって経営がどの程度改善されるかを数値などの指標で示します。
- 経営力向上の具体的内容: 設定した目標を達成するために、どのような施策や取り組みを行うかを明記します。
- 事業承継の時期と内容(該当する場合): 事業承継を予定している場合は、その時期や承継の詳細な内容を記載します。
申請に必要な書類一覧は こちら にまとめています。
申請類型について
⇒A類型
申請に必要な書類一覧
提出書類 | 電子申請 | 紙申請 | 備考 |
---|---|---|---|
① 申請書(原本) | 必要 | 必要 | |
② 申請書(写し) | 不要 | 必要 | 都道府県経由の場合に限る |
③ チェックシート | 不要 | 必要 | 電子申請の場合は不要 |
④ 返信用封筒(A4サイズ認定書返送用) | 不要 | 必要 | 返送用宛先と切手を添付。都道府県経由の場合、転送用封筒も必要 |
設備投資に関する税制措置(A類型) | |||
⑤ 工業会等による証明書(写し) | 必要 | 必要 | 中小企業経営強化税制A類型の税制措置を受ける場合 |
設備投資に関する税制措置(B〜D類型) | |||
⑥ 投資計画の確認申請書(写し) | 必要 | 必要 | 中小企業経営強化税制B〜D類型の税制措置を受ける場合 |
⑦ 経済産業局の確認書(写し) | 必要 | 必要 | 中小企業経営強化税制B〜D類型の税制措置を受ける場合 |
発電設備等に関する税制措置 | |||
「発電設備等の概要等に関する報告書」 | 必要 | 必要 | 発電設備等の取得で税制措置を適用する場合 |
事業承継に関する支援措置 | |||
⑧ 事業承継等に係る基本合意書等 | 必要 | 必要 | 事業承継等に係る相手方の合意を示す資料 |
⑨ 事業承継等に係る誓約書 | 必要 | 必要 | |
⑩ 被承継者が特定許認可等を受けていることを証する書面 | 必要 | 必要 | 許認可承継の特例を受ける場合に限る |
⑪ 貸借対照表・損益計算書 | 必要 | 必要 | 事業承継に必要な資金に関して中小企業信用保険法の特例による金融支援を受ける場合 |
⑫ 事業承継等事前調査チェックシート | 必要 | 必要 | 中小企業事業再編投資損失準備金やD類型を活用する場合等 |
注意事項:
- 電子申請の場合は、③チェックシートおよび返信用封筒の添付は不要です。
- 紙申請の場合、都道府県経由の場合は、返信用封筒に加えて、転送用封筒が必要です。
- 設備投資や事業承継に関する書類は、具体的な適用税制や支援措置に応じて追加で準備が必要があります。
申請方法
1. 電子申請の場合
- 申請プラットフォーム:経営力向上計画申請プラットフォームから申請が可能です。
- 注意点:一部の申請(省庁宛や都道府県経由が必要な場合)は電子申請に対応していないため、その場合は紙申請で対応する必要があります。
- 申請書作成とPDF出力:電子申請ができない場合でも、プラットフォーム上で申請書を作成し、PDFとして出力することができます。出力したPDFは郵送で提出することが可能ですので、活用すると便利です。
- 審査期間(経済産業部局宛):不備がなく、特定許認可の承継がない場合は、申請から約14日以内(土日・祝日、年末年始を除く)に認定されます。ただし、年度末など申請が集中する時期は、さらに日数を要することがあります。
2. e-Govからの電子申請
- 対象:経済産業部局宛の新規申請に限られます。
- 必要事項:電子署名が必要です。
- 審査期間:不備がなく、特定許認可の承継がない場合は、受理から約25日以内に認定されます。
3. 紙申請の場合
- 申請書の提出方法:申請プラットフォームで作成した申請書をPDFとして出力し、指定された窓口へ郵送等で提出します。提出先については、こちらからご確認ください。
- 審査期間:通常は30日程度ですが、年度末などは45日以上かかる場合もあります。
経営力向上計画 申請プラットフォーム
▶ 経営力向上計画 申請プラットフォームはこちら
このプラットフォームでは、電子申請を行うことに加え、紙申請用の申請書を作成・PDF出力することも可能です。
経営力向上計画申請書を作成するためには、gBizIDプライムまたはgBizIDメンバーの取得が必要です。
GビズIDでログイン後、下記の順番にしたがって、情報と計画を記載します。
ここでは、カンタンに入力項目と、順番、注意点を記載する。
ステップ | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
1. 事業分野と事業分野別指針名の登録 | 計画に係る事業分類と事業分野別指針名を登録する。 | この計画で申請する事業分類と申請先省庁を選択する。事業分野別指針は下記の通り。
申請先省庁も下記より |
2. 実施時期の登録 | 実施期間(3年・4年・5年のいずれか)を登録する。 | 適切な実施期間を選ぶことで計画の現実性を確保。 |
3. 現状認識の登録 | 経営力向上計画の現状認識を登録する。 | 現状の課題や機会を具体的に記載。
①自社の事業概要を記入。 |
4. ローカルベンチマークの登録 | ローカルベンチマークを登録する。 | 通称ロカベン。経産省のロカベンの数値とは異なることもあるので、入力項目に沿って決算書等を見ながらしっかり入力すること。 |
5. 経営力向上目標・指標の登録 | 指標の種類を選び、現状と目標数値を設定する。財務指標の登録は任意。 | 適切な指標を設定し、達成可能な目標を記載。
指標の種類は基本方針の場合は「労働生産性」を用いる。労働生産性の求め方は、(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量 (労働者数又は労働者数×1人当たり年間就業時間) このプラットフォームを用いる場合は4で入力した項目から自動計算される。 |
6. 経営力向上の内容の登録 | 経営力向上の具体的取り組み内容を登録。 | 経営力向上計画を策定する際には、具体的で実行可能な取り組みを「実施事項」欄に記載します。新事業活動に該当する場合、その理由も具体的に説明します。
特記事項:
実施事項には、取り組みごとに具体的な内容を書くことが求められます。 |
7. 必要資金と調達方法の登録 | 資金の使途、調達方法、金額を登録する。個人保証不要の金融支援を希望する場合は純資産額等も記載。 |
事業承継がある場合、特例を活用する際の条件に注意。 |
8. 設備等の種類の登録 | 税制措置利用時に、取得年月、設備名、型番等の詳細を登録。 | 税制措置を活用する際の記載事項:
発電設備以外では、報告書の添付は不要です。 設備情報の記載事項:
税制優遇を受ける場合、証明書の文書番号を正確に記載。 |
9. 被承継者の地位の登録 | 特定許認可等の承継を希望する場合に登録する。 | 事業承継がない場合は不要。
事業承継と許認可承継の記載について:
|
10. 事業承継等事前調査事項の登録 | 事業承継や準備金活用を希望する場合に登録。 | 活用希望がない場合は不要。
|
11. 不動産の登録(所有権転移) | 不動産の軽減措置を希望する場合、不動産の詳細を登録。 | 事業承継がない場合は不要。
|
12. 不動産の登録(事業譲渡) | 事業譲渡で取得する不動産の詳細を登録。不動産取得税の軽減措置適用時。 | 事業譲渡がない場合は不要。 |
13. 必要書類の添付(電子申請) | 申請に必要なPDFファイルを添付し、電子申請を行う。 | 提出前に添付漏れがないか確認。 |
14. 申請書の印刷 | 申請内容をPDF出力し、印刷して提出。 | 登録内容に不備がないか確認してから印刷。 |
※EBITDA有利子負債倍率の計算方法と注意点:
- 計算式:
EBITDA有利子負債倍率 = (借入金・社債 – 現預金) ÷ (営業利益 + 減価償却費)
留意点:
- 借入金の範囲:
- 「短期借入金」「長期借入金」「社債」の合計額。代表者や役員、関連会社からの借入も含む。
- 営業利益 + 減価償却費:
- この合計が「0以上」であることが必要。
- 減価償却費にはソフトウェアや無形資産も含むが、営業外費用や特別損失の減価償却費は除外。
- 決算書の基準:
- 決算書に基づいて計算し、1年未満の決算書でも使用可。
支援措置を受けるためには、この倍率が10倍以内である必要があります。
事業分野と申請書の提出先について
申請先事業分野の詳細は、以下のURLをご確認ください。
中小企業庁ホームページ → 「政策について」 → 「経営力向上支援」 → 「事業分野と提出先」