グリーン成長戦略「実行計画」14 分野とは

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グリーン成長戦略とは

地球温暖化への対応を経済成長の制約やコストと捉える時代は終わり、「成長の機会」として捉える時代が始まっている。実際に、企業は研究開発や経営方針を転換し、「ゲームチェンジ」を進めており、この流れをさらに加速するために、グリーン成長戦略を推進する戦略です。

この戦略では、「イノベーション」を通じて革新的な技術を「社会実装」する。これにより、2050年までにカーボンニュートラルを達成する(2020年10月に宣言)だけでなく、CO2排出削減にとどまらない「国民生活のメリット」も実現するための施策のこと。

14分野とは

産業政策・エネルギー政策の両面から、成長が期待される14の重要分野のこと。

エネルギー関連産業

  • 洋上風力・太陽光・地熱産業
  • 水素・燃料アンモニア産業
  • 次世代熱エネルギー産業
  • 原子力産業

輸送・製造関連産業

  • 自動車・蓄電池産業
  • 半導体・情報通信産業
  • 船舶産業
  • 物流・人流・土木インフラ産業
  • 食料・農林水産業
  • 航空機産業
  • カーボンリサイクル・マテリアル産業

家庭・オフィス関連産業

  • 住宅・建築物・次世代電力マネジメント産業
  • 資源循環関連産業
  • ライフスタイル関連産業

補助金における、「グリーン成長戦略 実行計画 14分野」とは

事業再構築補助金の「GX進出要件」について、下記の点に留意しながら事業計画書を作成しなければならない。

ア.令和3年6月18日付で策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野に関し、各分野ごとに「現状と課題」として記載のある「課題」の解決に資する取組であることが必要となります。14分野のうちどの分野のどの課題の解決に資する取組であるかあらかじめご確認ください。

それぞれの実行計画における、その目的と「現状と課題」は下記の通り。※今後の取組はまとめていない。

洋上風力・太陽光・地熱産業(次世代再生可能エネルギー)

洋上風力

項目 内容 現状と課題
魅力的な国内市場の創出 – 2040年には全世界で562GW、120兆円超の投資が見込まれる
– 日本国内でも再エネ海域利用法に基づく公募が開始
– 風車製造は主に海外企業に依存
– アジア市場の急成長が見込まれ、日本でもサプライチェーン構築が急務
投資促進・サプライチェーン形成 – 国内市場の創出を投資の呼び水にして、強靭なサプライチェーンを形成 – 国内に風車の製造拠点がない
– 国内部品メーカーの潜在力を活用しきれていない
次世代技術開発・国際連携 – 気象・海象が似ているアジア市場への展開を目指す – 浮体式洋上風力の競争激化
– 国際標準化や政府間対話の促進が必要

太陽光

項目 内容 現状と課題
次世代技術の開発 – 次世代型太陽電池の研究開発を推進 – 既存の太陽電池は屋根の耐荷重が小さい建物には設置困難
– 変換効率や耐久性、コストの向上が課題
関連産業の育成・再構築 – FIT制度からの自立を進める
– 新たなビジネス形態の創出・拡大
– 太陽光発電の導入拡大が課題
– 家庭用蓄電池の価格低減が必要
適地確保等 – 再エネ導入に適した農地の拡大や系統容量の確保 – 適地の不足
– 再エネ条例の制定増加

地熱

項目 内容 現状と課題
リスクマネーの供給、理解促進 – 掘削調査等に多大な費用がかかる
– 地元関係者の理解が必要
– 大きなリスクとコストが開発の阻害要因
関連法令による規制 – 国立・国定公園内の掘削に対する規制緩和 – 国立・国定公園内での開発の進展が必要
– 各都道府県での規制が異なる
次世代型地熱発電技術の開発 – 超臨界地熱発電技術の確立 – 高温・高圧・高酸性の流体利用が課題
– 世界に先駆けて技術確立と商用化が期待される

水素・燃料アンモニア産業

水素

項目 内容 現状と課題
水素の利用 – 発電、輸送、産業など様々な分野の脱炭素化に貢献

– 日本企業が技術を持つ分野での国際競争力を強化

– 水素タービンの安定燃焼の実証が未完了
– 商用車の燃料電池化を加速する必要がある
– 燃料電池のコスト削減と効率向上が必要
– 水素還元製鉄の技術的ハードルが高い
水素の輸送・貯蔵 – 液化水素運搬船の建造などで世界をリード – 商用化の早期実現が課題
– 各国の法規制の不統一が懸念
水素の製造 – 水の電気分解による水素製造の重要性 – 大型化技術開発で他国が先行
– 水電解装置の更なるコスト低下が必要

燃料アンモニア

項目 内容 現状と課題
利用 (発電用バーナー) – 石炭火力への混焼技術を開発 – 実機でのNOx発生抑制の検証が必要
– 混焼率を高めるための収熱技術の開発が必要
供給 (アンモニア製造プラント) – 燃料アンモニア市場の形成とサプライチェーン構築 – 現在の世界全体の貿易量に匹敵するアンモニア需要
– 安価な燃料アンモニアの供給が課題

次世代熱エネルギー産業

供給サイドのカーボンニュートラル化

項目 内容 現状と課題
合成メタン – メタネーション技術で合成メタンを生成
– 既存インフラを活用し、天然ガスを代替
– 技術開発とコスト低減が必要
– 安価な水素とCO2の調達が課題
水素の直接利用 – 臨海部等のローカルエリアで期待
– 水素コージェネシステムで熱・電気供給
– 水素供給ネットワークの整備が必要
クレジットでオフセットされたLNG – クレジットでオフセットされたLNGを販売 – CO2の分離・回収技術の開発が必要

需要サイドのカーボンニュートラル化

項目 内容 現状と課題
天然ガスから合成メタンへの転換 – 既存のガス利用設備を活用
– 生産効率の維持・向上
– メタネーション技術の確立と実用化が必要
CO2の分離・回収技術 – 工場等で排出されるCO2を分離・回収
– 合成メタン生成と再利用
– CO2分離・回収技術の開発が必要
水素の直接利用 – 臨海部等での水素供給
– 水素コージェネシステムの活用
– 水素供給ネットワークの整備が必要
クレジットでオフセットされたLNG – クレジットでオフセットされたLNGを販売 – 普及拡大と利用価値向上が課題

スマートエネルギーネットワーク

項目 内容 現状と課題
分散型エネルギーシステム – 再生可能エネルギーとガスコージェネの組合せ
– 熱と電気のデジタル制御
– PtoGとGtoPの融合によるレジリエンス強化
地域エネルギー供給事業者 – 地域のエネルギーとサービスの提供
– 地方創生やSDGsに貢献
– 地域資源を活用した脱炭素化の担い手

原子力産業

高速炉

項目 内容 現状と課題
高速炉 – 高速中性子を利用して放射性廃棄物の減容化・有害度低減、資源の有効活用を目指す – ロシア、中国、米国で実証炉建設が進行中
– 日本も技術開発と実証が必要

小型モジュール炉(SMR)

項目 内容 現状と課題
小型モジュール炉 (SMR) – 小型で自然原理を利用した安全設計
– モジュール生産による工期短縮・コスト削減
– 技術開発・実証が必要
– 米国、英国、カナダでプロジェクト進行中
– 日本企業の参画と独自開発が進行中

高温ガス炉

項目 内容 現状と課題
高温ガス炉 – ヘリウム冷却材と高温でも溶けにくい燃料を使用
– 発電以外に高温熱利用やカーボンフリー水素製造
– 米国が実証炉建設を支援
– 日本のJAEAが世界最高温度の試験炉を保有
– メーカーが多様な概念を開発中

自動車・蓄電池産業

電動化の推進・車の使い方の変革

項目 内容 現状と課題
電動車の普及 – 電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の普及 – 欧州や中国に比べ、日本での普及が遅れている
– 車両価格の低減、充電インフラの整備が必要
MaaSと自動走行技術 – 持続可能な都市交通の実証・実装 – 欧州で大規模実証プロジェクトが進行中
– 日本では大規模事業化が進んでいない

燃料のカーボンニュートラル化(合成燃料(e-fuel)等)

項目 内容 現状と課題
合成燃料 – CO2と水素を合成して製造される燃料
– 既存の燃料インフラや内燃機関が活用可能
– コストと製造技術の確立が課題

蓄電池

項目 内容 現状と課題
蓄電池の重要性 – 電動車の普及と再生可能エネルギーの調整力として重要 – 確保とサプライチェーンの安定化が重要
– 欧州、中国、韓国企業が積極的に投資を進めている
市場と技術開発 – 欧州の「欧州バッテリーアライアンス」
– フランスの蓄電池工場への投資支援
– 軽量化・小型化・価格低減が課題
– 日本企業のシェアが減少中

半導体・情報通信産業

デジタル化によるエネルギー需要の効率化・省 CO2化(グリーン by デジタル)

項目 内容 現状と課題
デジタル化の効果 – エネルギーの効率的利用、省 CO2化 – クラウド化で8割省エネ、テレワークで移動エネルギー削減
都市部・地方を問わない DX – DXの重要性が認識されつつある – 多くの企業で取り組みが不十分
データセンター立地 – デジタル社会の心臓部 – 高い電力コスト、脱炭素電力の確保が課題
情報通信インフラ – 5G、ポスト5G、高度化された5G、Beyond 5G – 迅速な整備と研究開発が必要

デジタル機器・産業の省エネ・グリーン化(グリーン of デジタル)

項目 内容 現状と課題
デジタル関連の消費電力増加 – デジタル化の進展に伴う電力消費増加 – 大規模データセンターが大量の電力を消費
再生可能エネルギーの利用 – グリーン電力の利用 – デジタルプラットフォーム企業の再エネ投資
半導体の省エネ化 – パワー半導体、メモリ、光エレクトロニクス – 省エネ化・高性能化への投資と研究開発が必要
情報通信インフラの省エネ化 – データセンター、5Gなどの省エネ化 – 早期導入と高性能化が必要

船舶産業

カーボンフリーな代替燃料への転換

項目 内容 現状と課題
小型水素燃料電池船・バッテリー推進船 – 自動車用水素燃料電池システムやリチウムイオン電池の転用 – 近距離・小型船に用途が限定される(出力・重量・サイズの制約)
遠距離・大型船向けのエンジン – 高出力が必要 – 水素・燃料アンモニアを直接燃焼できるエンジンが存在しない

LNG燃料船の高効率化

項目 内容 現状と課題
LNG燃料船の国際ルール – 「国際ガス燃料船安全コード(IGFコード)」発効 – 国内でも省エネ・省CO2排出なLNG燃料船の普及を推進
LNGの課題 – カーボンニュートラルな代替燃料として期待 – エネルギー密度が低く燃料タンクがかさばり、貨物スペースを圧迫する

省エネ・省CO2排出船舶の導入・普及を促進する枠組みの整備

項目 内容 現状と課題
燃費性能規制(EEDI) – 日本主導で導入、段階的に強化 – 既存船に対するCO2排出規制の国際枠組みがないため、新造船への代替が進んでいない
内航海運のロードマップ – 国際海運にはゼロエミッションロードマップが存在 – 内航海運にはロードマップが存在せず、取組が進んでいない

物流・人流・土木インフラ産業

① カーボンニュートラルポートの形成

項目 内容 現状と課題
目的 港湾での水素・燃料アンモニアの利用拡大を図り、脱炭素化を推進する 大量かつ安定・安価な調達手段と受入体制が未確立
重要性 港湾は物流・産業の拠点であり、水素の利用拡大の中心となる 港湾・臨海部はCO2排出削減のポテンシャルが高い
課題 輸送手段や受入体制の整備、関係者の連携、国内外の環境整備 水素・燃料アンモニアの利活用に向けたまとまった需要と供給の創出が必要

② スマート交通の導入、自転車移動の導入促進

項目 内容 現状と課題
自動車のCO2排出削減 公共交通の利用促進、MaaSの提供、自動車の電動化、自動化対応の移動サービス 自転車通行空間の整備が不十分
MaaSの提供 地域課題の解決、自動車の電動化、持続可能な移動サービスの社会実装 公共交通の確保・維持と利便性向上が必要
自転車利用促進 自転車利用環境の整備、自転車通行空間の整備 2019年度末時点で整備延長は約2,930km、更なる整備が求められる

③ グリーン物流の推進、交通ネットワーク・拠点・輸送の効率化・低炭素化の推進

項目 内容 現状と課題
物流分野のCO2排出削減 トラック輸送のCO2排出量削減、ドライバー不足への対応 CO2排出原単位の小さい輸送手段への転換、輸送の効率化
物流施設の省エネ化 照明や冷媒機器のエネルギー消費量削減 国内貨物輸送の約8割を占めるトラック輸送の効率化
鉄道分野の燃料電池車両開発 クリーンなエネルギーで走行する燃料電池鉄道車両の開発 関連基準・規制の整備、コスト低減、インフラ整備
空港の低炭素化 エコエアポート・ガイドラインに基づく取組、再生可能エネルギーの活用 航空交通システムの高度化、航空機運航の効率化

④ インフラ・都市空間等でのゼロエミッション化

項目 内容 現状と課題
道路照明の省エネ化 道路照明灯のLED化 直轄国道のLED道路照明灯整備の推進
再生可能エネルギー発電 道路インフラの電源として利用 太陽光発電設備の設置、道路占用許可対象物件の追加
EV充電インフラ 走行中給電技術の開発支援、EV充電器の公道設置 給電システムの開発、技術基準の検討、公道設置の影響評価
下水道の省エネ 下水熱利用、エネルギー消費量削減 コスト低減、再生可能エネルギーとの複合利用
水力発電の促進 水利権許可の手続簡素化、河川流量データの公表 水力エネルギーの有効活用の促進
持続可能なまちづくり 立地適正化計画、都市機能の集約 383市町村が計画作成、都市内エリア単位の取組推進
都市公園での再エネ導入 太陽光発電、風力発電、バイオマス発電 再エネの導入促進、地域の防災性向上、経済循環
グリーンインフラの社会実装 CO2吸収源、雨水貯留、防災・減災 地域課題の同時解決、官民連携の促進、地域実装の推進
国際園芸博覧会 グリーンインフラの発信 承認・認定の取得、準備の推進

⑤ 建設施工におけるカーボンニュートラルの実現

項目 内容 現状と課題
建設現場の省エネ化 ICT施工の導入、建設機械の革新 直轄現場のICT施工実施率は約8割、地方自治体は約3割
革新的建設機械の開発 電気、水素、バイオマス建設機械 CO2排出量削減、燃費基準の策定、導入促進
国際的なCO2削減取組 革新的技術の導入促進 競争力強化、技術導入の支援

食料・農林水産業

① 共通事項

項目 内容 現状と課題
生産基盤の脆弱化 生産者の減少・高齢化、地域コミュニティの衰退 生産力強化が必要
環境の安定性維持 自然資本の持続性危機 資源の循環利用、環境負荷の軽減
持続的な食料システム 労働生産性向上、環境保全、カーボンニュートラル 技術開発・普及が不可欠
政策目標 2030年までにGHG46%削減 食料・農林水産分野の貢献

② CO2吸収・固定

項目 内容 現状と課題
森林のCO2吸収 日本のCO2吸収量の93% 森林の循環利用、木材利用拡大
木材利用技術 炭素貯蔵、高層建築物の木造化 主伐後の再造林、省力化・低コスト化
農地の炭素貯留 農作物のCO2固定、バイオ炭投入 研究開発、技術確立
有機農業の推進 堆肥施用による炭素貯留効果 炭素吸収能力の向上
ブルーカーボン 海洋生態系による炭素貯留 CO2吸収量評価手法の開発、技術実証

③ 温室効果ガス排出削減

項目 内容 現状と課題
再生可能エネルギー 地域資源の最大活用 エネルギー生産・収集の効率化、コスト低減
化石燃料依存の脱却 農業・漁業の化石燃料依存 持続的なエネルギー地産地消型社会への変革
GHG排出削減 農林水産分野のGHG排出は国内4% 水田メタン発生抑制技術の普及
食品産業の生産性向上 スマート技術の開発・社会実装 流通・消費段階の省力化、最適化
木材利用拡大 木造建築、木質バイオマス新素材 化石燃料製品の代替、未利用材の活用
水産物の安定供給 資源管理システムの構築 長期的な漁獲量減少の歯止め

航空機産業

① 装備品・推進系の電動化

項目 内容 現状と課題
電動化 補助動力、地上滞在時の電力供給用蓄電池搭載 電池・モーターの性能向上
競争状況 欧米企業の技術獲得競争 日本企業は関連技術に競争力あり
国際協力 ボーイング社と経済産業省の協力覚書 具体的協力分野として位置付け

② 水素航空機

項目 内容 現状と課題
水素燃料の活用 水素貯蔵タンク、エンジン部品の開発 技術的課題、安全性、コスト
国際動向 エアバス社の2035年市場投入発表 日本企業も具体的取組開始

③ 機体・エンジンの軽量化・効率化

項目 内容 現状と課題
材料の導入 アルミ合金から炭素繊維複合材、セラミックス基複合材料 軽量化、耐熱性向上
軽量化ニーズ 低炭素化要求の強まり 更なる性能向上、コスト低減

④ バイオジェット燃料等・合成燃料

項目 内容 現状と課題
代替航空燃料 (SAF) ICAOの制度導入、SAF市場拡大 日本企業の技術開発・実証
製造技術 ガス化FT合成、ATJ技術、微細藻類培養技術 技術的課題、コスト
合成燃料 CO2と水素を合成して製造、カーボンフリー燃料 コスト、製造技術の確立

カーボンリサイクル・マテリアル産業

① コンクリート・セメント

項目 内容 現状と課題
CO2吸収型コンクリート CO2吸収によるコンクリート製造 コスト高、低コスト化とCO2吸収量増大
市場規模 2030年時点で約15~40兆円 地産地消対応の製造技術確立
セメント 石灰石の燃焼によるCO2排出 CO2回収と再利用技術の開発

② カーボンリサイクル燃料

項目 内容 現状と課題
SAF(代替航空燃料) ICAOのCO2排出削減制度 製造技術の課題、コスト高
合成燃料 CO2と水素の合成燃料 コスト、製造技術の確立
合成メタン 再エネ由来の水素とCO2の合成 サプライチェーン構築、コスト低減
グリーンLPG 化石燃料からバイオマス由来に 技術開発、商用化

③ カーボンリサイクル化学品

項目 内容 現状と課題
人工光合成 太陽光と光触媒によるプラスチック原料製造 変換効率、製造コスト
廃プラスチックの再利用 合成ガスからプラスチック原料 CO2排出削減、リサイクル拡大
バイオものづくり技術 微生物によるバイオプラスチック製造 コスト高、生産技術の開発

④ CO2分離回収設備

項目 内容 現状と課題
CO2分離回収 ネガティブエミッション、CO2源確保 低コスト回収技術の開発
市場規模 2030年で約6兆円、2050年で約10兆円 様々なCO2排出源からの回収

参考: 大気中からのCO2直接回収(DAC)

項目 内容 現状と課題
DAC 大気中からのCO2回収 エネルギー効率、コスト高

マテリアル産業

① 革新的な金属素材

項目 内容 現状と課題
産業分野 自動車、船舶、航空機のカーボンニュートラル 軽量かつ強靱な素材、電動パワートレインの低コスト化
インフラ分野 水素供給基盤、洋上風力発電 水素脆化への対策、自然条件に対応した構造材の開発
資源循環 鉄鋼やアルミのリサイクル 用途の限定、リサイクル技術の発展

② 革新的な製錬・圧延・溶解手法

項目 内容 現状と課題
製錬工程 鉄鉱石の還元 水素還元製鉄技術の確立、安価で大量の水素調達
電炉法 高炉法に比べてCO2排出削減 不純物除去技術の確立、高級鋼の供給
圧延・溶解工程 膨大なエネルギーが必要 電力消費削減、省エネ加熱プロセスの開発

③ 資源の有効利用

項目 内容 現状と課題
資源循環 国内スクラップのリサイクル リサイクル技術の高度化
構造物の長寿命化 高強度鋼材の利用 強度・靭性向上、長寿命化
国際標準化 グリーンメタルの普及 環境負荷評価の国際標準化

④ 熱源の脱炭素化

項目 内容 現状と課題
製紙業、ガラス・セラミックス 高温での乾燥・焼成 非化石燃料の転換、設備転換の実証

⑤ 石油化学コンビナートの脱炭素化

項目 内容 現状と課題
石油化学コンビナート 石油化学、石油精製、鉄鋼、電力、ガス 製造プロセスの脱炭素燃料導入、省エネ対策

住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業

i)住宅・建築物

① AI・IoTやEV等を活用したエネルギーマネジメント
項目 現状 課題
エネルギーマネジメント 国内実証、市場獲得に向けた海外等との共同研究や事業展開 エネルギーマネジメントの評価・認知度・ニーズ不足
EVの蓄電システム活用 EVは蓄電容量が大きく、再エネ導入拡大に貢献 EV導入や活用につながる需要家の行動を促すインセンティブの不足
② LCCM住宅・建築物、ZEH・ZEB、住宅の省エネ性能向上
項目 現状 課題
省エネ住宅・建築物の普及 ZEH・ZEBの普及促進、ZEHビルダー登録制度 中小工務店の体制や能力、消費者の認知度の低さ
省エネ基準達成 新築住宅の約7割が省エネ基準達成 既存住宅・建築物の省エネ性能向上の費用負担
③ 炭素の貯蔵に貢献する木造建築物
項目 現状 課題
木材利用促進 低層住宅の約8割が木造 非住宅・中高層建築物の木造割合が低い
新部材活用 CLT等の新たな部材の利用 設計者の育成と木造技術の普及
④ 高性能建材・設備
項目 現状 課題
機器・建材の性能向上 トップランナー制度による性能向上 性能向上の頭打ち、消費者の認知度不足
省エネリフォーム 次世代省エネ建材の導入支援 高額な費用負担、コスト面の課題

ii)次世代電力マネジメント

① 分散型エネルギー関連産業
項目 現状 課題
再エネ発電 太陽光発電の拡大 発電コストの下げ止まり、立地制約
蓄電池 家庭用蓄電池の市場規模は世界最大級 コストが高止まり
EV蓄電池活用 技術実証や国際標準化 EV導入拡大の必要性
需要側リソース 送配電事業者に提供 各地での活用量に差異、量的な不足
② 次世代グリッド関連産業
項目 現状 課題
電力ネットワーク 広域的な電力ネットワークの整備・運用 系統運用・設備形成の課題
配電系統 多数の変動再エネの導入 電力品質の維持・管理
③ マイクログリッド
項目 現状 課題
DERの地域内活用 災害時の停電回避、地域活性化 独立系統運用の難しさ、調整の難しさ、コストの高さ

資源循環関連産業

① リデュース、リニューアブル

項目 現状 課題
リデュース 循環型社会形成推進基本法及び各種リサイクル法で取組を推進 具体的な削減目標設定や実効性のある取組の実施
リニューアブル 実証事業でバイオマスプラスチック・紙への代替を推進 バイオマスプラスチックの普及とコスト低減

② リユース、リサイクル・排ガスの活用

項目 現状 課題
リユース、リサイクル 各種リサイクル法とグリーン購入法で推進 リサイクル技術の向上と設備導入補助
排ガス活用 ごみ焼却施設でCCUプラント稼働 排ガスからのメタン・エタノール生成技術の実証

③ 廃棄物発電、熱利用、バイオガス化、排ガスの固定化

項目 現状 課題
廃棄物発電 ごみ焼却施設の発電効率13.58%(2018年度) 発電効率のさらなる向上
熱利用 廃棄物焼却施設の熱を利用施設へ供給 近隣施設への熱供給システムの整備
バイオガス化 メタン発酵によるエネルギー回収 廃棄物エネルギーの効果的な回収
排ガス固定化 CO2固定化技術のラボレベル開発 大規模実装とコスト低減

④ 3Rの推進と廃棄物処理施設の広域化・集約化

項目 現状 課題
3Rの推進 ごみ排出量と最終処分量の減少 ごみ処理の担い手不足、施設の老朽化
廃棄物処理施設 一定の処理能力を持つ施設の整備 廃棄物処理施設の広域化と集約化

ライフスタイル関連産業

① 住まい・移動のトータルマネジメント

項目 現状 課題
住まい・移動のトータルマネジメント ZEH・ZEB、需要側機器、地域の再生可能エネルギー、EV/FCVなどの組み合わせによる実証や社会実装が行われている 柔軟性の確保と電気・熱・モビリティのセクターカップリングの推進

② ナッジ・デジタル化・シェアリングによる行動変容

項目 現状 課題
ナッジ・BI-Tech ナッジと先端技術の融合(BI-Tech)の実証事業を実施 国際協調と社会実装の拡大
デジタル化 ブロックチェーン技術を用いてCO2削減価値の取引市場を構築、都市炭素マッピング手法を試行的に開発 市場の自由取引の促進とデータ統合の強化
シェアリング 地域再生可能エネルギーを活用したEVカーシェアリングや脱炭素物流の先行事例を支援 先行事例の普及と地域貢献型モデルの確立

③ 観測・モデルに係る科学基盤の充実

項目 現状 課題
観測・モデルの科学基盤 観測技術、モデリング技術、シミュレーション技術の高度化と観測網の構築・拡大 不確実性の低減とデータ統合・解析の推進
経済社会システムのイノベーション 技術イノベーションと分野横断的な知見の創出と社会実装 地域の脱炭素化モデルの展開

上記の現状と課題はざっくりまとめたものですので、もしこの課題に取り組んでゆくとするのであれば、しっかりとグリーン成長戦略を読み込む必要があろうかと思います。

いわゆる「環境配慮しつつ、経済も回してゆこう」という取組

カーボンニュートラルを実現させ、かつそれに関する技術革新や設備投資、税制などで企業の取組をサポートしてゆこうとするもので、GX(グリーントランスフォーメーション)とは、、環境配慮と経済成長の両立を目指す取り組みですね。

参考

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