補助金審査における加点項目と減点項目ってどういうこと?

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補助金審査には「加点項目」と「減点項目」がある。

経済産業省(中小企業庁)の行う補助金ですが、審査においては書類審査と一部口頭審査が行われます。

その中で書類審査は提出する「事業計画書」または電子申請フォームに入力した事業計画の情報で適格性や有望性などを審査員が審査し、採択を決めるわけですが、その中でも重要なポイントで「加点項目」があります。

この加点項目というのは、そのまま、事業計画書の審査とは別で点数が上乗せされる項目のことです。

一方で「減点項目」とはできれば避けたいところで、この項目に該当してしまうと、事業計画書の内容とは別でまれに大幅な減点になってしまうこともあり、注意が必要です。

加点項目

加点項目というのは上記の通り、事業計画書とは別で加点となる項目のことで、ここには経産省や他政府の行う中小企業向けの政策に合致した措置を承認されているかとか、現在の会社がどういった状況かで加点されるものがあります。

加点項目の一覧は下記のとおりです。(※ 令和6年6月現在)

事業再構築補助金の加点項目

項目 内容
コロナ借換加点 コロナ借換保証等で既往債務を借り換えている事業者
事業類型(D)申請事業者 コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)に申請すること
EBPM協力加点 継続的な情報提供が見込まれること
パートナーシップ構築宣言加点 パートナーシップ構築宣言を公表している事業者
再生事業者加点 再生計画を策定中または策定済であること
特定事業者加点 中小企業者でない者
サプライチェーン加点 複数の事業者が連携して事業に取り組む場合
健康経営優良法人加点 健康経営優良法人に認定されていること
賃上げ加点 大幅な賃上げを実施する事業者
事業場内最低賃金引上げ加点 事業場内最低賃金を引き上げること
ワーク・ライフ・バランス加点 えるぼし・くるみん認定を受けている事業者
技術情報管理認証制度加点 技術情報管理認証制度の認証を取得していること

ものづくり補助金の加点項目

項目 内容
成長性加点 経営革新計画の承認を取得した事業者
創業・第二創業加点 創業・第二創業後5年以内の事業者
パートナーシップ構築宣言加点 パートナーシップ構築宣言を公表している事業者
再生事業者加点 再生事業者に該当する事業者
DX認定事業者加点 DX認定を受けている事業者
サイバーセキュリティお助け隊加点 サイバーセキュリティお助け隊サービスを利用している事業者
健康経営優良法人加点 健康経営優良法人に認定された事業者
技術情報管理認証制度加点 技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者
J-Startup加点 J-Startupに認定された事業者
取引先事業者のパートナーシップ構築宣言加点 取引先事業者がパートナーシップ構築宣言をしている事業者
新規輸出1万者支援プログラム加点 新規輸出1万者支援プログラムに登録した事業者
J-クレジット制度加点 J-クレジット制度を活用している事業者
GXリーグ加点 GXリーグに参画している事業者
カーボンフットプリント加点 カーボンフットプリントを算定している事業者
災害等加点 事業継続力強化計画の認定を取得した事業者
賃上げ加点 給与支給総額の年平均成長率を3%以上増加
被用者保険加点 被用者保険の適用拡大を実施する事業者
女性活躍推進加点 えるぼし認定を受けている事業者

小規模事業者持続化補助金の加点項目

項目 内容
赤字賃上げ加点 賃金引上げ枠に申請する赤字事業者
事業環境変化加点 ウクライナ情勢や原油価格高騰の影響を受けている事業者
東日本大震災加点 福島県12市町村に所在する事業者
くるみん・えるぼし加点 くるみん・えるぼし認定を受けている事業者
賃上げ加点 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上引き上げる事業者
パワーアップ型加点 地域資源型、地域コミュニティ型の事業計画を策定している事業者
経営力向上計画加点 経営力向上計画の認定を受けている事業者
事業承継加点 代表者が60歳以上で後継者候補がいる事業者
過疎地域加点 過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展につながる取組を行う事業者
一般事業主行動計画策定加点 女性の活躍推進企業データベースに一般事業主行動計画を公表している事業者

事業承継・引継補助金の加点項目

項目 内容
中小企業の会計基準適用加点 中小企業の会計に関する基本要領または指針の適用
経営力向上計画・経営革新計画加点 経営力向上計画の認定、経営革新計画の承認
地域おこし協力隊加点 地域おこし協力隊として委嘱を受けていること
特定創業支援加点 認定市区町村による特定創業支援等事業の支援を受けていること
PMI計画書加点 PMI計画書が作成されていること
地域未来牽引企業加点 地域未来牽引企業であること
健康経営優良法人加点 健康経営優良法人であること
サイバーセキュリティお助け隊加点 サイバーセキュリティお助け隊サービスを利用していること
事業継続力強化計画加点 事業継続力強化計画の認定を受けていること
アトツギ甲子園加点 アトツギ甲子園の出場者であること
ワーク・ライフ・バランス推進加点 えるぼし認定、くるみん認定を受けていること
賃上げ加点 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とする賃上げを実施予定

加点項目について取得が難しいようなものもあれば、すぐに取得できるものもあり、それぞれの状況に合わせて加点項目を取得すれば良いとは思います。

オススメの加点項目

【経営革新計画】

加点となる補助金

経営革新計画の承認を取得すると、以下の補助金において加点項目として有利に働きます。

  1. ものづくり補助金
    • 経営革新計画の承認を受けている事業者は「成長性加点」として評価され、採択の可能性が高まります。
  2. 事業承継・引継補助金
    • 経営力向上計画の認定、経営革新計画の承認を受けている事業者は、審査時に加点対象となります。

経営革新計画とは?

経営革新計画は、中小企業等が持続的な成長を遂げるために新たな事業活動や革新的な取り組みを計画する際に、経済産業大臣が認定する制度です。この計画の承認を受けることで、企業は以下のような多くのメリットを享受できます。

  1. 資金調達の円滑化
    • 経営革新計画が承認されることで、金融機関からの融資が受けやすくなります。また、信用保証協会の保証枠が拡大されることもあります。
  2. 税制優遇措置
    • 設備投資に対する税制優遇や、各種減税措置を受けることができます。
  3. 各種補助金の加点項目
    • 経営革新計画が承認されると、ものづくり補助金や事業承継・引継補助金など、各種補助金の申請時に加点対象となり、採択率が向上します。
  4. 経営支援
    • 各種公的機関からの経営支援や専門家のアドバイスを受けることができ、事業の成功に向けた具体的なサポートを得られます。

経営革新計画の承認を目指す理由

経営革新計画の承認を目指すことは、企業の成長戦略において非常に重要です。特に、新規事業や設備投資を行う際には、資金調達や税制優遇を受けるためにこの承認が欠かせません。さらに、承認を受けることで、各種補助金申請時に加点が期待できるため、競争力が高まり、補助金の獲得が容易になります。

経営革新計画の承認を取得し、これらのメリットを最大限に活用して、事業の成長と発展を目指しましょう。

ただし、計画承認までには2~3か月は少なくともかかります。

補助金の公募が始まってからでは遅いこともありますので、補助金とは別で事業計画を検討してゆくのもよいかもしれませんね。

【事業継続力強化計画】

加点となる補助金

事業継続力強化計画の認定を取得すると、以下の補助金において加点項目として有利に働きます。

  1. ものづくり補助金
    • 事業継続力強化計画の認定を受けている事業者は「災害等加点」として評価され、採択の可能性が高まります。
  2. 事業再構築補助金
    • 災害等への対応能力が評価され、事業継続力強化計画の認定を受けていることが加点の対象となります。
  3. 事業承継・引継補助金
    • 事業継続力強化計画の認定を受けている事業者は、事業承継時のリスク管理能力が評価され、加点対象となります。

事業継続力強化計画とは?

事業継続力強化計画は、中小企業等が自然災害や事故などのリスクに対して事業を継続するための計画を策定し、経済産業大臣が認定する制度です。この計画の認定を受けることで、企業は以下のような多くのメリットを享受できます。

  1. 資金調達の円滑化
    • 事業継続力強化計画が認定されることで、金融機関からの融資が受けやすくなります。また、信用保証協会の保証枠が拡大されることもあります。

この計画に関しては申請から認定までの期間が最短14日程度と短いことや、メリットも大きいことから、補助金申請をお考えの際はマストで取得をご検討されるのが良いかと思います。

【小規模事業者持続化補助金においてのオススメの加点項目】

・パワーアップ加点

パワーアップ加点の概要

パワーアップ加点は、以下の2つの類型に基づく事業計画を策定している事業者に対して加点されます。

  1. 地域資源型
    • 地域資源等を活用し、付加価値の高い商品・サービスを提供することで、地域外への販売や新規事業の立ち上げを行う計画。
    • 具体的には、地域の特産品を活用した新商品開発や、観光資源を活用したサービス提供など、地域の強みを生かして経営基盤を強化する取組が対象となります。
  2. 地域コミュニティ型
    • 地域の課題解決や生活の質向上に資するサービスを提供する事業計画。
    • 具体的には、高齢者向けの生活支援サービスや、地域コミュニティの活性化を目的としたイベント開催など、地域住民のニーズに応える取組が対象となります。

パワーアップ加点を取得するための必要な手続

  1. 計画の策定
    • 希望する枠及び加点項目(様式2)の「2-①.パワーアップ型加点(地域資源型)」もしくは「2-②.パワーアップ型加点(地域コミュニティ型)」を選択し、具体的な事業計画を策定します。
  2. 計画の記載
    • 「経営計画」(様式2)のパワーアップ型加点欄に、上記の取組を行う計画を詳細に記載します。

パワーアップ加点を目指す理由

パワーアップ加点を目指すことで、以下のようなメリットを享受することができます。

  1. 補助金の採択率向上
    • パワーアップ加点により、審査時の評価が高まり、補助金の採択率が向上します。
  2. 地域活性化への貢献
    • 地域資源や地域コミュニティを活用することで、地域経済の活性化に貢献することができます。これにより、地域内外からの支持を得やすくなります。
  3. 事業の持続可能性向上
    • 地域の強みを活かした事業計画を策定することで、競争力を高め、事業の持続可能性を向上させることができます。

加点項目についてのまとめ

加点項目をうまく活用し、事業計画の策定と申請を進めることで、補助金の採択率を高め、事業の成長と持続可能性を確保することが可能です。

他にも「パートナーシップ構築宣言」などすぐに申請できるものありますし、自社の状況を踏まえながら、加点項目をご検討されるのが良いかと思います。

減点項目

減点項目とは、補助金において一定の状況にある事業者はその補助金では点数を減点するものだということで、項目に当てはまる場合は注意が必要です。

減点項目一覧

減点項目は下記のとおりです。

補助金名 減点項目 詳細
事業再構築補助金 加点に係る申請内容未達時の対応 加点を受けたにも関わらず、申請した加点要件を達成できなかった場合、事業化状況報告において未達が報告されてから18ヶ月の間、他の補助金申請時に大幅に減点。災害等の正当な理由が認められれば減点免除。
過去補助金交付候補者として採択された事業者 過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている場合、一定の減点。
複数の事業者が連携して事業に取り組む場合 連携体の必要不可欠性に基づき、減点対象となる場合あり。
事業による利益が第三者のものになる事業 補助事業の実施により発生した付加価値額の大部分が補助事業者以外にわたる場合、減点対象。
過剰投資の抑制 類似テーマ・設備の申請が集中し過剰投資と判断された場合、大幅に減点。
ものづくり補助金 類似の補助金交付決定 応募締切日から過去3年間に類似の補助金交付決定を1回受けている場合減点。2回以上の場合申請対象外。
収益納付未実施 令和元年度補正予算ものづくり補助金以降に交付決定を受けており、収益納付をしていない事業者(免除事業者を除く)。
小規模事業者持続化補助金 賃上げ加点未達 賃金引上げ枠での申請や賃上げ加点を受けたが要件を達成できなかった場合、報告から18ヶ月の間、他の補助金申請時に大幅に減点。災害等の正当な理由が認められれば減点免除。
過去の補助事業実施回数 過去の補助事業の実施回数に応じて段階的に減点調整。
事業承継・引継ぎ補助金 賃上げ加点未達 過去18ヶ月に賃上げ加点要件が未達成の場合、正当な理由が認められない限り大幅に減点。災害等の正当な理由が認められれば減点免除。

補足情報

  • 正当な理由による減点免除: 災害(震災、風水害、落雷、火災、盗難等)により事業に著しい損失を受けた場合、正当な理由として減点が免除される。
  • 過剰投資の抑制: 市場分析の変化や類似の申請の集中により過剰投資と判断された場合、大幅に減点される。

過去に採択されていたり、加点項目の目標未達だったりすると、減点につながります。

補助金のリピーターは多いと思いますが、補助金依存症にならないための措置でもありますね。

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