令和7年4月22日よりスタート。新事業進出補助金とは
令和7年4月22日から、「新事業進出補助金」の第1回公募が始まっています。
申請締切は令和7年7月10日18時まで(厳守)です。
この補助金は、事業再構築補助金の後継措置として今年から開始されるものですが、事業再構築よりも「新市場進出」や「高付加価値化」に焦点をあてた制度設計となっています。
ザックリ、どんなイメージの補助金なのか。対象事業や対象経費に触れつつ、イメージを持てるような記事を書いてゆきたいと思います。
目次
- 申請期間
- 申請前に必ずご確認ください(とても大事なポイント)
- 誰が申請できるの?(対象事業者について)
- 特に注意したい「対象外事業者」
- 新事業進出とは?
- 新事業進出の3つの要件
- さらに求められるポイント:新市場性・高付加価値性
- この補助金に興味を持ったら、まず最初に確認すべきこと
- 新事業進出補助金における賃上げ要件および未達の場合の補助金返還基準について
- その他、絶対に押さえるべきこと
- <参考>事業再構築補助金13回と新事業進出補助金1回の違い
- 審査項目
申請期間
区分 | 内容 |
---|---|
公募開始日 | 令和7年4月22日(火) |
申請受付開始 | 令和7年4月22日(火) |
申請締切 | 令和7年7月10日(木)18:00【厳守】 |
採択発表予定 | 令和7年8月頃(予定) |
交付決定予定 | 採択発表後、順次 |
※日程は変更される場合があります。申請は余裕をもって進めましょう。
申請前に必ずご確認ください(とても大事なポイント)
公募要領 1ページから4ページまで重要な注意事項が記載されていますが、なにかと今後もつきまとわれる注意事項になるので、読みやすく書いてみようと思います。
(1)申請した金額がそのままもらえるわけではありません
申請内容は、あとで事務局が細かくチェックします。再構築の際に事務局にヘイトが集まったのはこれからですね。その結果、「ここはダメ」「この経費は対象外」と言われて、補助金の額が減ったり、ゼロになることもあります。
(2)買った機械や設備は、補助金をもらった事業にしか使えません
補助金を使って買ったものは、基本的に「補助金でもらった事業」だけに使わないといけません。別の仕事に使ったり、売ったりすると、お金を返さなきゃいけなくなることもあります。
(3)申請書は自分たちで作らないといけません
専門家に相談するのはOKですが、申請書そのものを「丸ごと作ってもらう」のはルール違反です。バレると採択が取り消されます。
(4)悪質な業者に注意!
「全部やってあげるよ」と言って高額なお金を取る業者や、ウソの申請を勧める業者には注意してください。あとで大きなトラブルになります。
(5)GビズIDが必要です
申請はオンラインです。そのためには「GビズIDプライム」というアカウントを取っておく必要があります。取得には1週間以上かかるので、早めに準備しましょう。
(6)「次世代育成支援対策推進法」に基づく行動計画も必要です
ちょっと聞きなれないかもしれませんが、「うちの会社は子育て支援にちゃんと取り組みますよ」という計画を作って、公表する必要があります。これにも1~2週間くらいかかるので、早めに動きましょう。
(7)ウソの申請をすると大変なことになります
もしウソの内容で申請したり、補助金を変な使い方をした場合、お金を返すだけでなく、名前を公表されたり、罰金や懲役になることもあります。
(8)他の補助金の情報もチェックされています
この補助金だけじゃなく、ほかの補助金で問題を起こしていると、それがバレて不利になることがあります。
(9)あとから追加書類を求められることもあります
申請したあとでも、「この資料を出してください」と言われることがあります。言われたら、すぐに出しましょう。
誰が申請できるの?(対象事業者について)
新事業進出補助金に申請できるのは、以下の要件を満たす中小企業・小規模事業者です。
区分 | 要件 |
---|---|
本社・事業所の所在地 | 日本国内にあること |
事業者の規模 | 中小企業基本法に定める中小企業・小規模事業者に該当すること(資本金・従業員数の要件を満たす) |
事業実態 | 創業後1年以上が経過しており、直近の決算を終えていること |
従業員の有無 | 最低でも1名以上の従業員を雇用していること |
法人・個人事業主を問わず、上記の条件を満たしていれば申請可能です。
特に注意したい「対象外事業者」
以下のいずれかに該当する場合、申請できませんのでご注意ください。
- 従業員が0名の事業者(賃上げ促進の観点から、雇用がないと対象外になります)
- 創業1年未満の事業者(直近の決算書が必要です)
- みなし大企業(大企業に実質的に支配されている中小企業は対象外)
- 暴力団関係企業や反社会的勢力に関わる事業者
- 公的機関から主に運営資金を得ている法人(学校法人・社会福祉法人など一部例外あり)
- 過去に補助金の不正受給があった事業者
特に「従業員ゼロ」と「創業1年未満」のケースは、うっかり見落とされやすいので注意が必要です。
これから補助金に挑戦しようと考えている場合は、まず「自分が対象にあたるか」をしっかり確認しておきましょう。
新事業進出とは?
新事業進出補助金で支援される「新事業進出」とは、簡単に言うと、これまでやってこなかった新しいことに挑戦することです。
具体的には、自社にとって新しい製品・サービスを作り、それをこれまでとは違うお客さんに売り出していく、という取り組みを指します。
再構築でおなじみかもしれませんが、そのあたりをおさらいもかねて。
この「新事業進出」が認められるためには、次の3つの要件すべてを満たす必要があります。
新事業進出の3つの要件
「新事業進出」と認められるためには、次の3つすべての条件を満たす必要があります。
- ① 製品等の新規性要件
→ 自社にとって初めての製品やサービスであること。
(例: 金属部品を作ってきた会社が、初めてロボット部品を開発する、など)
※過去に同じものを作ったことがある場合は対象外です。 - ② 市場の新規性要件
→ 今までとは違う顧客層や市場に向けた製品・サービスであること。
(例: 法人向けに販売していた会社が、初めて一般個人向けに商品を展開する、など)
※同じ顧客層に対する「売り方の工夫」だけでは認められません。 - ③ 新事業売上高要件
→ 計画期間(5年以内)の最終年度に、新事業の売上が会社全体の売上高の10%以上になる見込みがあること。
(例: 現在売上1億円の会社なら、5年後に新事業で1,000万円以上の売上を作る計画が必要です)
この3つすべてをクリアできる事業計画でないと、申請しても採択されるのは難しくなります。
さらに求められるポイント:新市場性・高付加価値性
加えて、今回の補助金では「新市場性」「高付加価値性」という視点も重視されています。
- 新市場性
→ 社会全体で見ても、まだあまり普及していない分野であること。
(ありふれた製品・サービスではなく、将来性が期待できるもの) - 高付加価値性
→ 既存よりも高い価値や価格を実現できる製品・サービスであること。
(単に安売りするのではなく、品質や機能を高める取り組み)
審査では、「これが本当に新しい挑戦か?」「社会や市場にとって価値があるか?」という視点で、しっかりチェックされます。
この補助金に興味を持ったら、まず最初に確認すべきこと
「新事業進出補助金」に興味を持ったら、いきなり申請準備に入る前に、次のポイントをしっかり確認しておきましょう。
1. 自分が申請できるか、要件を再チェックする
- 中小企業基本法に定める中小企業・小規模事業者に該当しているか?
- 創業から1年以上が経過しているか?
- 従業員を1名以上雇用しているか?
この基本条件を満たしていない場合、申請そのものができません。まずは冷静に、自社のステータスを確認しましょう。
2. 事業内容が「新事業進出」の要件をクリアできるか
- これまでに自社で作ったことがない製品・サービスか?
- 今までとは異なる市場・顧客層をターゲットにしているか?
- 計画期間内に、新事業の売上が全体の10%以上になる見込みがあるか?
単なる「既存商品のパッケージ変更」や「既存客への追加販売」だけでは、新事業進出とは認められません。
3. この補助金特有のクセを理解しておく
- 賃上げ要件あり
給与総額を年率2%以上増やす、または都道府県の最低賃金より一定以上上げる計画が必須です。 - 事前着手禁止
交付決定前に契約・支払・納品したものは、補助対象になりません。 - 補助対象経費の細かい制約
広告宣伝費や汎用機器の扱いなど、対象・対象外の区別が厳格です。
事業再構築補助金と同じく、基本要件に注意しつつも、賃上げについて(後述)は最重要ポイントになるので、まずは確認したいところです。
4. 早めに準備すべき手続き・アカウント
- GビズIDプライム(オンライン申請に必須)
- 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定・公表(一定規模以上の事業者は必須)
どちらも取得や手続きに時間がかかるため、申請を考えているならすぐに動き出しましょう。
新事業進出補助金における賃上げ要件および未達の場合の補助金返還基準について
新事業進出補助金においては、賃上げに関する要件と、補助金返還に関わる基準が制度上異なります。
申請時に求められる賃上げ要件
補助金の申請にあたっては、次のいずれかの基準を満たす賃上げ計画を設定する必要があります。
- 一人あたり給与支給総額の年平均成長率が、都道府県別最低賃金の直近5年間(令和2年度~令和6年度)の年平均成長率以上であること
- または、給与支給総額全体の年平均成長率が2.5%以上であること
これらは申請時に最低限求められる基準であり、いずれかを満たしていない場合、申請はできません。
補助金受給後に求められる基準(返還基準)
補助金を受給した後は、申請時に自ら設定した次の2つの目標値の達成が求められます。
- 一人あたり給与支給総額目標値
- 給与支給総額目標値
事業計画期間(補助事業終了後3~5年)最終年度に、これらの達成状況が確認されます。
両方の目標を達成できなかった場合、達成度が高かった方を基準に未達成率を算出し、その未達成率に応じた補助金返還が求められます。
給与支給総額および一人あたり給与支給総額の定義
- 給与支給総額とは、従業員に支払った給料、賃金、賞与等を指します。役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金は含まれません。
- 一人あたり給与支給総額とは、給与支給総額を対象となる従業員数で除したものを指します。
- 対象となる従業員は、基準年度および各事業年度において全月分の給与支給を受けた従業員に限ります。
- 中途入社、退職、産前産後休業、育児休業、介護休業等により全月分の給与支給を受けていない従業員は、該当年度に限り算出対象から除くことができます。
- パートタイム従業員は、正社員の就業時間に換算して人数を算出します。
- 昇給や減給、残業時間の増減などによる給与変動があった従業員も対象に含めます。
その他留意点
- 応募申請時に従業員数が0名の場合、対象となる給与が存在しないため申請できません。
- 申請後に故意または重過失により、一人あたり給与支給総額や給与支給総額を引き下げ、本要件を形式上達成する行為は禁止されています。
- 賃上げ特例による補助上限額引き上げを受けた場合も、継続的な賃上げが求められ、単年度の一時的な引き上げの後に引き下げることは認められません。
- 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金(事業所内で最も低い賃金)が、事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であることが必要です。
なお、役員報酬については、給与支給総額や一人あたり給与支給総額の算定対象に含まれません。
また、申請時点では、一人あたり給与支給総額目標値および給与支給総額目標値の両方を設定する必要があります。
申請時の賃上げ要件と、補助事業終了後に求められる成果との間には制度上の違いがあるため、注意が必要です。
その他、絶対に押さえるべきこと
申請方法について
新事業進出補助金の申請は、専用の電子申請システムを通じて行います。申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です(GビズIDエントリーIDでは申請できません)。
申請フォームでは表やグラフの差し込みが可能とされていますが、具体的な仕様(挿入方法、レイアウト保持など)については公式に詳細な説明がありません。レイアウト崩れやデータ不具合が発生するリスクがあるため、申請書はテキスト中心で構成し、図表は補助的に利用することが推奨されます。
申請後のデータ修正や差し替えは原則認められておらず、入力ミスがある場合には申請そのものが無効となる可能性があります。
補助対象経費について
補助対象となる経費区分は以下のとおりです。
- 建物費:建物の新築・改修、および構築物(外構工事、看板設置等)を含みます。
- 機械装置・システム構築費:事業遂行に必要な機械設備、専用システムの購入・開発費。ただし、汎用機器(パソコン等)については制限があります。
- 技術導入費:外部技術指導、ライセンス取得等に要する費用。
- 専門家経費:外部専門家への支援依頼費用。
- 運搬費:機械設備等の運搬費用。
- クラウドサービス利用費:補助対象期間中に利用するクラウドサービスの費用。
- 原材料費:試作品等の開発に必要な原材料購入費用。
- 知的財産権等関連経費:特許、商標登録等に要する費用。
- 外注費:業務の一部外注にかかる費用。
- 広告宣伝・販売促進費:市場開拓のための広告費。ただし、対象範囲や上限に注意が必要です。
建物費に構築物が含まれる点、汎用機器の取り扱い、広告宣伝費の制限などについては、事前に公募要領をよく確認する必要があります。
交付決定前着手禁止について
交付決定日前に発注、契約、支払、納品等を行った経費は、補助対象外となります。交付決定通知の受領前に契約行為に至らないよう、注意が必要です。
交付後の管理義務について
補助事業の実施期間中は、中間報告、実績報告などの提出が求められます。また、補助事業終了後も一定期間(原則5年間)、事業の継続と成果管理が求められます。
賃上げ要件についても、最終年度だけでなく、期間中の達成状況の確認が求められる場合があります。
実地検査(現地調査)に関する注意
提出された各種報告書の内容確認に加え、必要に応じて補助事業の実施現場に対する現地調査(実地検査)が行われる場合があります(公募要領第7章(4)参照)。
現地調査は、補助事業の実績報告後、事務局が必要と判断した場合に実施され、すべての事業者に必ず行われるわけではありません。
申請内容と実態に齟齬がある場合、補助金の返還リスクが生じるため、事業遂行状況、設備の設置・使用状況、賃上げ状況等について常に整合性を保つ必要があります。
次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定・公表義務
応募するすべての事業者は、「次世代育成支援対策推進法」に基づき、一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」へ公表することが求められます。従業員数にかかわらず、申請する事業者すべてが対象となります。
新市場性・高付加価値性に関する注意
補助事業で取り組む新規事業が「新市場性」または「高付加価値性」のいずれかを満たす場合、申請対象となります。
新市場性がない場合でも、高付加価値事業であれば申請は可能です。ただし、新市場性・高付加価値性のいずれにも該当しない場合は申請対象外となります。
また、これらの基準を満たしていても、採択が保証されるわけではなく、他の審査項目との総合評価により採択可否が判断されることに留意が必要です。
その他の注意点
- 補助事業実施場所の所在地と申請者所在地が異なる場合、事前に確認が必要です。
- 同一事業において、他の補助金と重複して申請・受給することはできません。
<参考>事業再構築補助金13回と新事業進出補助金1回の違い
① 補助金の目的の違い
- 事業再構築補助金:ポストコロナの経済社会の変化に対応し、思い切った事業再構築(新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編など)を促進することが目的。
- 新事業進出補助金:中小企業が新市場または高付加価値事業に進出し、企業規模拡大・付加価値向上・賃上げにつなげることが目的。
② 対象事業・要件の違い
- 事業再構築補助金:事業再構築指針に基づき「事業再構築(新分野展開・業態転換・事業転換・事業再編・国内回帰等)」が必要。
- 新事業進出補助金:「新事業進出指針」に基づき、製品等の新規性、市場の新規性、新事業売上高要件(最終年度に全体の10%以上)を満たす必要がある。
③ 補助対象経費の違い
- 大枠は共通だが、細部に違いあり。
- 新事業進出補助金では、建物費に「構築物」も含まれる点に注意。
④ 賃上げ要件の違い
- 事業再構築補助金:付加価値額または従業員一人当たり付加価値額を年平均3.0%~4.0%以上増加させる要件。
- 新事業進出補助金:給与支給総額を年平均2.5%以上増加、または一人あたり給与支給総額を都道府県最低賃金の年平均成長率以上にすることが要件。さらに、新事業進出補助金では、申請時に立てた賃上げ目標(自己設定値)の達成が求められ、未達成の場合は補助金返還リスクが生じる。
⑤ 新市場性・高付加価値性の扱い
- 事業再構築補助金では、「新市場進出」は数ある再構築パターンの一つに過ぎない。
- 新事業進出補助金では、「新市場性または高付加価値性」のいずれか一方を満たすことが必須。
新市場性がなくても、高付加価値事業であれば対象となる。
⑥ 申請方法・アカウントの違い
- 両者共通:「GビズIDプライム」が必須。
- 新事業進出補助金では、加えて「次世代育成支援対策推進法」に基づく行動計画の策定・公表も全事業者に求められる。
⑦ その他(審査・採択の注意点)
- 新事業進出補助金では、新市場性・高付加価値性が「対象条件」であるだけでなく、審査項目の重要要素にもなっている。
- 対象基準を満たしても、必ずしも採択されるわけではなく、他の審査項目との総合評価で決まる。
審査項目
新事業進出補助金では、書面審査のみで採択可否が判断されます。審査は以下の観点から行われます。
① 補助対象事業としての適格性
- 申請者および申請内容が、公募要領で定める補助対象者・補助対象事業・補助対象経費に合致しているか。
- 補助事業によって高い付加価値の創出や賃上げを実現する目標が設定されており、それが現実的であるか。
たとえば、単なる商品開発ではなく、その結果としてどの程度付加価値が向上するかが具体的に示されているかどうかが見られます。
② 新規事業の新市場性・高付加価値性
- 取り組む新規事業が、社会全体で普及度や認知度が低い分野に属しているか。
- 同じ分野の中で、他の製品やサービスに比べて高い付加価値や高価格を実現できる内容になっているか。
たとえば、新しい分野への進出をうたっていても、すでに一般的に普及している製品であれば評価は難しくなります。価格帯や付加価値の比較がきちんと行われているかも問われます。
③ 新規事業の有望度
- 対象市場が、一定の規模や成長性を有しているか。
- 参入にあたり、許認可などの制約をクリアできるか。
- 競合との差別化に関する分析が行われ、顧客ニーズを踏まえた優位性が構築できるか。
競合の数だけでなく、購入判断における顧客側の基準を踏まえて、なぜ自社が選ばれるかが説明できている必要があります。
④ 事業の実現可能性
- 事業化に向けた課題の洗い出しと、その解決に向けた方法・スケジュールが整理されているか。
- 最近の財務状況から、事業遂行に必要な資金調達力が見込めるか。
- 適切な人材体制が整備されているか。外部委託や多角化への依存が過度になっていないか。
単なる意気込みではなく、事業の立ち上げに必要な作業、資金、人員を具体的にどう確保していくかが見られます。
⑤ 公的補助の必要性
- 川上・川下への経済波及効果や、社会インフラとしての意義が認められるか。
- 補助金の投入に見合った付加価値の増加、生産性向上、事業の継続性が期待できるか。
- 自力での事業実施が困難であり、補助金の支援を必要とする合理的な理由があるか。
国費を投入する以上、単なる企業内の効率化だけでは評価が難しく、社会や地域経済への広がりや持続性も問われます。
⑥ 政策面
補助事業の内容が、国の経済政策や産業振興政策に沿っているかも審査されます。特に、以下の観点について確認されます。
審査観点 | 関連する主な政策・法令・施策 |
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経済社会の変化(関税等)に対応し、市場成長・生産性向上が期待できる分野へ進出しているか | 経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針) 成長戦略実行計画 EPA・TPP関連政策(トランプ関税対応含む) |
先端的なデジタル技術、低炭素技術、重要技術、新ビジネスモデルの活用により、経済成長・イノベーションを牽引し得るか | デジタル田園都市国家構想基本方針 GX(グリーントランスフォーメーション)推進基本方針 スタートアップ育成5か年計画 |
ニッチ分野で独自性の高い製品・サービスを展開し、グローバル市場での成長が期待できるか | 中小企業等経営強化法 知財戦略推進計画 中小企業国際展開支援施策 |
地域資源や地域特性を活かし、地域経済の成長や雇用創出に波及効果をもたらすか ※「地域未来牽引企業」に選定されている事業者や、「地域未来投資促進法」に基づく事業計画の承認を受けている場合は、審査で考慮されます。 |
地域未来投資促進法 地方創生推進基本方針 地域未来牽引企業選定制度 |