事業承継・M&A補助金も13次公募がはじまりましたね。
今年は11次公募からやっているわけですが、「知る人ぞ知る」的な補助金ではもったいないので、あたらめてこの補助金についてまとめてゆきたいと思います。
なお、本稿は私のまとめをchat GPTによって読みやすい文体に整えています。
内容に関しては、AIによる検索や照会を用いておりません。
事業承継促進枠ですが、親族内・従業員への事業引継ぎを契機に、生産性向上を図る取組を支援する制度です。結構注目度が高いです。
もともとこの補助事業は、M&A(第三者承継)を主な想定として設計されておりますが、前身の「事業承継・引継ぎ補助金」では経営革新枠などで、このような枠が設けられていました。
専門家活用枠に次いで申請件数が多かったのが、経営革新枠でしたね。
1. 事業承継促進枠の概要
1-1. 制度の目的
「事業承継促進枠」は、中小企業生産性革命推進事業の一環として実施される補助金制度です。
経営交代を契機に設備投資や新たな取組を行う中小企業等を支援し、承継後の成長と地域経済の活性化を目的としています。
1-2. 基本情報(補助上限・補助率等)
項目
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内容
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補助上限額
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800万円以内(賃上げ要件達成時:1,000万円以内)
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補助率
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小規模企業者:2/3以内/上記に該当しない中小企業者:1/2以内
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主な対象経費
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設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費、廃業費(併用申請時)など
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主な要件
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①事業承継対象期間(5年間)内に承継完了予定であること
②生産性向上要件(付加価値額または1人当たり付加価値額の伸び率が年率平均3%以上の向上を含む計画)を達成する計画であること ③認定経営革新等支援機関の確認書を提出すること |
2. 「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)」との主な違い
かつて存在した「経営革新枠」との間には、対象・申請主体・時期に明確な違いがあります。
項目 | 旧:経営革新枠 | 新:事業承継促進枠 |
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対象時期 | 過去5年以内の承継・将来の承継 | 今後5年以内に完了予定の承継(未来承継) |
申請者 | 承継者(または共同申請) | 被承継者(個人事業は共同申請) |
対象承継形態 | 親族・従業員・M&Aを含む | 親族・従業員中心(M&Aは別枠) |
補助対象経費 | 店舗借入費含む | 店舗借入費は対象外 |
→ 現行制度では、「これから承継を行う企業」を支援対象とし、“未来の承継”に焦点が絞られた点が最大の特徴です。
まぁ、そんなわけで、申請時点ではまだ事業承継が行われていないので、原則、「被承継者」(今の代表者)が申請する形です。
3. こんな承継は承継とみなされない
公募要領にも例がありますが、もっとイメージが湧きやすいように
分類 | 承継とみなされない具体的事由 | 具体例 |
---|---|---|
経営権の移転不足 | 代表交代のみ、株式・持分の移転が行われていない | 父が代表を退任し息子が社長に就任したが、株式は父が100%保有したまま。実質的に経営権は移っていない。 |
資産のみ承継 | 不動産・機械等の資産のみを譲渡し、事業実体を引き継いでいない | 工場から機械だけを購入して自社で使うが、顧客・従業員・取引関係は引き継がない。 |
グループ内再編 | 同一法人グループ内での代表者変更や事業移転 | 親会社Aが子会社Bの代表を変更するなど、グループ内での人事異動レベルの交代。 |
フランチャイズ型 | 本部の支配下にある加盟店や、のれん分けによる開業 | 父が運営するコンビニ(FC加盟店)を息子が引き継ぐが、経営主体は本部契約に依存しており独立性がない。 |
実体の欠如 | 休眠会社や事業停止中法人の代表交代 | 数年間取引・売上がなく、実際に営業活動が行われていない会社で代表を変更しただけ。 |
設立直後 | 開業間もない新設法人の代表交代や名義変更 | 設立から半年しか経っていない法人で代表を交代。実績が乏しく、事業承継とは認められない。 |
要するに、この補助金では、「形式的な代表交代」ではなく、経営権・所有権の双方が実質的に移転していることが必要です。
4. こんな事業は難しい(不採択になりやすいパターンと背景)
事業承継促進枠では、「承継を契機に生産性を高める計画」であることが大前提です。
形式的な代表交代や、単なる設備導入だけでは採択されにくく、“承継後に何が変わるのか”が問われます。
個人的な見解というか、事業承継・引継ぎ補助金の経営革新枠の支援実績もあるので、肌感覚にはなりますが、審査ポイントの見解を書いてゆこうかなと思います。
去年までは上記の通り、「承継後」の申請だったので、そもそもの「実態」が重要で、創業型とかM&A型とか特にそのあたり、フワッとしがちなのは厳しく見られていたなとも思います。
今年は「承継前」なので、後継者の方の意識はもちろん、具体的にどうする。をしっかり見られてゆくんだろうと思います。
毒入りになってしまうと良くないので、AIに文章や表現は整えてもらいますね。
① 代表交代だけで終わる「変化のない承継」
去年までの最も多い不採択パターンです。
事業承継そのものは行われていても、「引き継いだあとにどう変えるか」がない計画は評価が伸びません。
本補助金は「承継そのものを支援」するものではなく、“承継を契機にした経営改善”を求めています。
❌例:代表を息子に交代し、店舗を改装するのみ。新しいサービスや効率化の仕組みは特にない。
✅評価される例:承継を機にデジタル予約管理を導入し、1人当たり売上を20%改善する。
② 「思い」は強いが、数字がない計画
生産性向上要件(付加価値額3%/年UP)を満たす計画であることが前提。
にもかかわらず、「努力目標」止まりの数値しか書かれていないと、蓋然性が低いと判断されます。
❌例:「地域に愛される店を目指す」「売上を伸ばしたい」
✅評価される例:「新規顧客20件の獲得により、営業利益+10%を見込む」など具体数値を設定。
③ 被承継者頼みで、後継者が主導していない
本枠の特徴は「承継予定者(後継者)」が中心になって取組を進めること。
書類上、被承継者(先代)が主導している印象を与えると、“実質的に承継が成立していない”と見られる可能性があります。
❌例:計画書の主体が先代、後継者の関与が薄い
✅評価される例:後継者が中心となって設備導入・新サービス展開を推進している構成
④ 「地域貢献」が形だけ
地域への波及効果(雇用維持・地域資源活用など)は、点数上重要なファクターです。
ただし、“地元密着”と書いただけでは加点されません。
❌例:「地元の活性化に貢献したい」
✅評価される例:「地元業者との仕入率80%維持」「新卒採用で地域雇用を1名創出」など、定量的な根拠がある。
⑤ 成長投資ではなく「日常経費」が中心
承継後の事業成長を狙う投資であることが必須。
HP制作費や広告費、社長交代費用などは対象外。
“補助金がなければ実施できない投資”に焦点を置く必要があります。
❌例:ホームページリニューアル・名刺作成・社内研修
✅評価される例:業務自動化機器・新商品開発用設備・工程統合システム導入
⑥ 「誰に売るか」が曖昧な事業
収益性評価では「ターゲット・販路・価格設定」が最重視されます。
実現性の根拠(取引先候補・見積・契約交渉中の証拠など)が薄いと、評価が一気に下がります。
❌例:「将来的に販路を拡大したい」
✅評価される例:「既存取引先A社・B社向けに、月間10台納入予定の具体的見込みあり」
⑦ リスク対応の記述がない
「継続性」の審査項目では、“計画が崩れたときどう立て直すか”が見られます。
1行でもいいので、リスクへの備えを入れておくことが重要です。
❌例:販売が想定より伸びない場合の対応なし
✅評価される例:「販売が遅れた場合は既存販路への追加提案で補填」など代替策を明記
5. 地域貢献ってどの程度だろうか
審査項目では、「自社の成長」と「地域経済への貢献」の両面が評価されます。
地域貢献は“地域経済をどう循環させているか”という観点で判断されます。
類型 | 評価される取組内容 | 具体例・ポイント |
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雇用維持・創出 | 地域の雇用を守り、若年層・新規人材の採用を通じて地域内の所得循環を生む取組。 | ・従業員の雇用を維持したうえで、承継後に新卒1名を採用。 ・高齢社員の再雇用制度を導入し、熟練技能を継承。 ・地域の高校・専門学校と連携し、地元就職を促進。 |
地元取引・仕入 | 地元事業者からの仕入・委託・外注を通じて地域経済を循環させる取組。 | ・建築・印刷 ・資材などを地元企業から調達(域内仕入率70%以上)。 ・地元商工会経由で業務委託を実施し、地元の仕事を創出。 ・同業他社と共同で原材料を一括仕入し、コスト削減と地域発注の維持を両立。 |
地域資源の活用 | 地域の特産品・技術・観光・文化を活用し、新たな付加価値を生む取組。 | ・地元の農産物(例:静岡県産茶葉・果物)を使った新商品開発。 ・地元伝統技術を用いた工芸品・家具製造など。 ・地域観光との連携で、体験型サービスや地域ブランド商品を展開。 |
域外販売・外貨獲得 | EC・観光・都市圏販路などを通じて、地域外から収益を得る取組。 | ・自社サイト・モール出店でオンライン販売を拡大。 ・観光地向けOEM供給で県外需要を取り込む。 ・インバウンド向け商品を開発し、地域発信型ブランドとして発展。 |
新事業・波及効果 | 新規事業によって地域課題の解決や、他事業者との連携を促す取組。 | ・地域内で不足している物流などの機能を補う新事業。 ・廃材再利用など環境負荷低減を通じて地域課題を改善。 ・地域中小企業への外注を増やし、下請・協業関係を強化。 |
※具体例・ポイントはあくまでも「参考」程度に留めておいてください。実態は皆さんの中にある。
地域内完結の事業でも、雇用や調達を通じて地域内経済を循環させている場合は高評価です。
“地域で完結”よりも、“地域を動かしている”かどうかがポイントです。