強み・弱みの書き方で9割がつまずく話 〜SWOT分析のすすめ〜

強み・弱みの書き方で9割がつまずく話
〜補助金申請に効くSWOT分析のすすめ〜

本記事でわかること

    • 補助金申請書で「強み・弱み」を書くときにつまずくポイント
    • 審査員に好印象を与える「強み・弱み」の書き方
    • SWOT分析を効果的に活用する方法と実例
    • 補助金申請を成功に導くためのSWOT分析の視点選び

補助金申請書を前に、「強み・弱み」の欄で筆が止まった経験はありませんか?

「うちの強みって何だろう…」と悩み、最終的に「お客様第一!」「きめ細やかな対応!」といった抽象的なフレーズで埋めてしまう。あるいは「弱みなんて書いたら減点されるのでは?」と不安になり、ありきたりな内容に落ち着かせてしまう。

実は、この「強み・弱み」の書き方が、補助金申請の当落を分ける重要なポイントになっているのです。

本記事では、補助金審査の現場で「刺さる」強み・弱みの書き方と、それを導き出すためのSWOT分析の活用法を解説します。9割の事業者がつまずくこのハードルを、あなたはスマートに乗り越えましょう。

第1章:なぜ「強み・弱み」は難しいのか

補助金申請書において、「強み・弱み」を書く段階で手が止まってしまう事業者は少なくありません。特に中小企業や個人事業主の方々は「自社の客観的な評価」に不慣れなことが多いものです。

書きづらさの背景

  • 「書いた瞬間に減点されるのでは?」という不安
  • 「強み=自慢」「弱み=失点」といった誤解
  • 自己PRや就活的な文脈に引きずられる構成

実際に審査員が見ているのは「事業の構造的な優位性」や「改善余地の有無」であり、個人の性格や意気込みではありません。

審査員の本音:

「この事業者には、補助金を投入する価値のある”構造”があるか?そして、補助金で改善すべき”課題”は明確か?」

つまり、「強み・弱み」は”自己PR”ではなく”事業構造の分析”なのです。

第2章:”強み”は「構造」で語る

よくあるNGパターン

  • 「お客様第一主義で対応しています」
  • 「女性ならではのきめ細かい接客」
  • 「高品質な製品を提供」

これらの表現は抽象的で、他社でも言えることです。

強みの定義

強みとは、「他社に模倣されにくい構造的な優位性」です。プロセス、体制、数値実績など、再現性や仕組みで語ることが必要です。

NG表現 問題点 改善例
お客様第一 抽象的・誰でも言える 顧客アンケート回収率60%、フィードバック反映まで5日
高品質な製品 基準が不明 自社一貫体制、検品通過率98%
細やかな対応 主観的 接客の女性比率90%、子育て層向け説明会開催

強みの3要素

  1. 構造性:一時的でなく、仕組みとして定着していること
  2. 優位性:競合と比較して顧客に価値を提供できること
  3. 再現性:特定の人に依存せず、継続的に実現できること

強みの書き方フォーマット

何を:「〇〇という仕組み・体制がある」

どのように:「それにより△△が実現できている」

結果:「結果として□□の成果が出ている」

第3章:”弱み”は「構造上のボトルネック」として書く

弱みは自虐や愚痴ではなく、改善可能な内部構造上の課題を指します。補助金申請では、「この課題を解決すれば成長できる」という伸びしろを示すことが重要です。

NG表現 問題点 改善例
人手不足 状況の羅列のみ 属人的業務が多く、業務平準化の仕組みが未整備
地方で人材難 外部要因依存 採用活動の体制整備が不十分、応募者とのマッチングが課題
原材料費高騰 外部環境の話のみ 調達先が一社依存で調達リスクが高い

弱みの書き方フォーマット

現状:〇〇という課題がある

背景:○○という仕組みに起因している

影響:このままだと△△のリスクがある

対応策:今回の補助事業により□□を改善する

弱みが見つからない場合の視点

  • 人がやらなくてよい仕事を人がやっていないか?
  • 担当者が休んだら止まる業務がないか?
  • 在庫管理や見積作成など、やたら時間がかかっていないか?
  • 売上の8割が2割の商品・顧客に依存していないか?

第4章:強みと弱みはワンセットで読む

「強みだけ」「弱みだけ」ではなく、両者のバランスが重要です。審査員は申請書全体を通して、事業の成長可能性を判断しています。

強みだけ強調すると…

伸びしろが見えず「補助の必要性がない」と思われる

弱みだけ強調すると…

問題児扱いされ、将来性に疑問を持たれる

理想の構成

“当社は〇〇という強みを持っているが、△△という弱みがあるため、今回の補助事業で□□を改善し、さらなる成長を図る”

強みと弱みの関係性が明確であればあるほど、補助事業の必要性と効果が伝わります。単なる欠点の列挙ではなく、事業成長のための「次の一手」として弱みの改善を位置づけることが重要です。

第5章:SWOT分析とは?

補助金申請で悩む「強み・弱み」の整理に有効なのが、SWOT分析です。これは経営分析でよく使われる手法ですが、補助金申請にも非常に適しています。

Strength(強み)

他社に対して優位に立てる内部要因

主語:自社

Weakness(弱み)

構造的な課題やボトルネック

主語:自社

Opportunity(機会)

市場・制度・トレンドなどの外部要因

主語:社会

Threat(脅威)

業界の縮小、競合の出現など

主語:社会

SWOTは”夢を見る道具”ではなく、”現実を整理する道具”です。大事なのは「どこを補助事業で改善・活用するか」の道しるべにすることです。

SWOTの活用法

  • 強み×機会→どう強みを生かして機会を取り込むか
  • 弱み×機会→弱みを克服して機会を逃さないためには?
  • 強み×脅威→強みを生かして脅威に対抗するには?
  • 弱み×脅威→最も注意すべき、弱みが脅威で増幅する危険

補助金申請においては、特に「弱み×機会」のクロス分析が重要です。「この弱みを改善すれば、市場機会を取り込める」というストーリーが組み立てられます。

第6章:SWOTの視点選びと補助金への応用

SWOT分析でつまずく最大の理由は、「誰の目線で分析するか」が曖昧なためです。視点が定まらないと、分析結果もボヤけてしまいます。

視点 目的 向いているケース
👀 顧客目線 顧客にとっての価値・課題を把握 サービス開発・補助金申請
🥷 競合目線 差別化・模倣困難性の明確化 価格競争回避・ポジショニング
🧠 自社内目線 経営資源の整理・業務改善 中長期計画策定
🛰️ 俯瞰目線 市場・制度・業界の変化対応 多角化・将来戦略

補助金で有効な視点は?

→「顧客目線+社会目線」が基本です。審査員は社会的意義や顧客価値を重視するため、「お金を出す側にとって、出す価値がある会社か?」を問われています。

SWOT分析は「正解のない問い」を立てる道具なのに、多くの人が「正しい答え」を書こうとしてつまずきます。補助金申請では「この事業に投資する価値はあるか?」という審査員の問いに答えることを意識しましょう。

第7章:SWOTの実例と補助金への落とし込み

例:地方製造業のSWOT

項目 内容
強み 設計〜加工まで一貫対応できる内製体制
弱み 見積・図面作成が属人化、業務の平準化が未整備
機会 地域の公共施設の更新需要(インフラ老朽化)
脅威 大手の地域進出による価格競争の激化

→ 補助金活用例:

「属人化の解消」+「需要拡大を捉える体制強化」

SWOTから申請項目への反映

  • 強み → 第⑤項「革新性」や第⑥項「市場性」
  • 弱み → 第④項「事業内容」や第⑦項「成果」
  • 機会 → 「市場性」「成長戦略」
  • 脅威 → 「社会背景」「今やるべき理由」

応用例:事業再構築補助金の場合

→ 強みを活かした新分野展開(第2項:事業転換の必要性)

→ 弱みを克服する業務改善(第4項:事業計画の具体性)

→ 機会を捉えた新市場(第3項:市場の成長性)

SWOTの各要素が申請書のどの部分に活きるかを意識すると、整合性のある説得力の高い申請書になります。

第8章:審査員に刺さる「強み・弱み」3原則

1

主観ではなく構造で語る

「私たちの思い」ではなく「私たちの仕組み」を説明する

2

抽象表現ではなく仕組みと数字で語る

「高品質」ではなく「不良率0.1%の検査体制」など具体的に

3

改善ストーリーの中で位置づける

単独の要素ではなく、「弱み→補助事業での改善→強み強化」の文脈で

審査員はここを見ている

  • 「自社の現状」を客観的に分析できているか
  • 「補助金の使途」が論理的に説明されているか
  • 「改善後の効果」が具体的に示されているか

審査員は数十〜数百件の申請書を読んでいます。第一印象で「この会社は自社のことをきちんと把握している」と思わせることが、採択への第一歩です。

まとめ:SWOT分析は「説得力のある申請書」への道しるべ

補助金申請書における「強み・弱み」は、単なる自己評価ではありません。それは、「この企業に投資する価値があるか」を判断するための重要な情報源なのです。

SWOT分析は、自社の今とこれからを客観的に捉えるスケッチブックです。強がらず、怖がらず、構造で整理してみましょう。

「強み・弱み」は自己PRや言い訳ではなく、補助事業に必要な”構造的理解”の証拠です。顧客目線・社会目線で捉え直すことが、補助金申請の第一歩です。

最後に、申請を出す前に次のチェックリストで確認してみてください。「強み・弱み」の書き方であなたが差をつける一助になれば幸いです。

チェックリスト:申請前に確認すべき5点

強みは”構造”として説明できているか
弱みは”改善可能な課題”として具体化されているか
SWOTが補助事業の論理とつながっているか
顧客や社会にとっての価値が示されているか
仕組みや数値で裏付けられているか

本記事が、皆様の補助金申請の成功の一助となれば幸いです。「強み・弱み」で悩むのではなく、SWOT分析という道具を使って、客観的に整理してみてください。あなたの事業の真の価値が、きっと見えてくるはずです。

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