ものづくり補助金 第20次募集|概要・申請のポイントをわかりやすく解説!

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ものづくり補助金──中小企業や小規模事業者のみなさまにとって、すでにおなじみの名前かもしれません。
設備投資や新事業への挑戦を後押しするこの補助金も、現在【第20次公募】を迎えています。
申請締切は【2025年7月30日(水)17:00】。
新たな設備導入やサービス開発を考えている方は、今一度この機会を上手に活用できるか、検討してみるのも良いかもしれません。
本記事では、20次募集の概要や申請準備のポイントをわかりやすくご紹介します。

ものづくり補助金 20次募集の目的

公募要領より引用します!

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下「本補助金」という。)は、中小企業・小規模事業者(以下「中小企業者等」という。)が今後複数年にわたる相次ぐ制度変更に対応するため、生産性向上に資する革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業(以下「本事業」という。)のために必要な設備投資等に要する経費の一部を補助する事業(以下「本補助事業」という。)を行うことにより、中小企業者等の生産性向上を促進し経済活性化を実現することを目的とします。(引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第20次公募))

キーワードを抜粋しますと、「今後複数年にわたる相次ぐ制度変更」「生産性向上」「革新的」ですね。

これがこの補助金の申請ポイントともなっていますので、まずは最初に確認です。

第20次募集のスケジュール

区分 日程
公募開始日 2025年4月25日
申請受付開始 2025年4月25日
申請締切 2025年7月30日(水)17:00

※申請は「Jグランツ」電子申請のみ対応です。

申請枠の比較表

申請枠 概要 補助上限額 補助率 事業実施期間
製品・サービス高付加価値化枠 革新的な新製品・新サービス開発に必要な設備・システム投資を支援 従業員数5人以下:750万円
6~20人:1,000万円
21~50人:1,500万円
51人以上:2,500万円
中小企業:1/2
小規模事業者・再生事業者:2/3
交付決定日から10か月(ただし採択発表日から12か月後の日まで)
グローバル枠 海外展開やインバウンド対応を含む、海外事業を通じた生産性向上を支援 3,000万円 中小企業:1/2
小規模事業者:2/3
交付決定日から12か月(ただし採択発表日から14か月後の日まで)

特例措置の比較表

特例名 概要 補助上限または補助率の変更内容
大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例 大幅な賃上げを行う場合、従業員数に応じて補助上限額を引上げ 5人以下:+100万円
6~20人:+250万円
21~50人:+1,000万円
51人以上:+1,000万円
最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例 所定の条件を満たした事業者が最低賃金引上げに取り組む場合、補助率を引上げ 補助率:2/3(※小規模事業者などは対象外)

申請の流れと準備事項

ものづくり補助金の申請は、国の電子申請システム「Jグランツ」を通じて行います。
申請までに行うべき準備は多岐にわたるため、早めの対応が重要です。

【申請までの流れ】

  1. GビズIDプライムの取得(未取得の方のみ)
     → マイナンバーカードを持っていれば即時取得が可能ですが、持っていない場合、そして法人の場合は発行に1〜2週間かかる場合もあるため、最優先で取得を進めましょう。

  2. 加点項目の検討・準備

    加点は最大6項目まで申請可能で、採択に大きく影響します。
    取り組みに時間がかかる項目もあるため、事業計画書作成よりも前に、加点項目の準備を検討するのがスムーズです。

    比較的取り組みやすい加点項目(準備推奨)

    条件を満たす場合に検討すべき加点項目

    • 賃上げ加点(給与支給総額の年平均成長率4.0%以上、最低賃金+40円)
       ※加点取得後に達成できなかった場合、今後の補助金申請で減点される可能性があります。

    ※加点資料は「申請時に提出がないと加点対象外」となります。
    取り組む項目を早めに決めて、確実に書類を準備しましょう。

  3. 事業計画書の作成

    採択を大きく左右する最重要書類です。
    審査では【技術面】【事業化面】【政策面】の3つの観点から評価されます。
    そのため、次のような視点で構成を意識しましょう:

    • 技術面:どこが革新的か?競合との差は?

    • 事業化面:売上・利益につながる根拠は?導入効果は?

    • 政策面:地域や社会への波及効果、雇用・賃上げなどへの貢献度は?

  4. 従業員21人以上の事業者は「両立支援のひろば」登録が必須

    常時雇用する従業員が21人以上いる場合は、
    「一般事業主行動計画」を策定し、両立支援のひろばに掲載し、URLを申請時に提出する必要があります。

    ※未提出の場合、申請が不備扱い(=受付不可)となる可能性があります。

  5. 添付書類の準備(共通)

    次のような書類が必要になりますので、早めにご準備ください。

    • 決算書(直近2期分)

    • 従業員数の確認資料(法人事業概況説明書・収支内訳書又は青色申告決算書の写し)

    • 資金調達に係る確認書(金融機関より資金調達をする場合、所定様式により作成)

    • 労働者名簿(従業員数の証明)など

  6. Jグランツによる電子申請

    すべての準備が整ったら、「Jグランツ」から電子申請を行います。
    申請締切は【2025年7月30日(水)17:00】です。
    ただし、システム障害やアクセス集中のリスクがあるため、前日までの提出を強く推奨します。

事業計画書作成のポイント

ものづくり補助金では、申請書類の中でも、「事業計画書」が採択の可否を大きく左右します。
単に長く書けば良いというわけではなく、簡潔で明確、かつ審査項目に即した根拠ある内容が求められます。

また、今回の第20次公募では、以下のような提出形式の指定と注意点があります。

【形式と注意点】

  • 本文はJグランツに直接入力+補足資料(A4・3ページ以内のPDF)を添付

  • 補足資料には図や画像に番号を振って本文と対応させる

  • 無駄に長くしない(審査は量ではなく中身で判断されます)

  • 顔写真など不必要な個人情報はNG

【記載内容のポイント】※審査項目に対応

以下の内容を、定性的+定量的な根拠を交えて記載しましょう。


1.自社の現状と課題

  • 市場や業界の動向など外部環境と、自社の強み・弱みなど内部環境の分析

  • 中長期的な経営ビジョンと、そこに向けた現在の課題の具体化


2.課題解決としての事業の必然性

  • なぜ今、この投資・事業に取り組む必要があるのか

  • 機械装置やシステム導入の具体的な型番・構成など

  • 本事業を通じて得られる成果(売上・利益・付加価値)のイメージ


3.革新性(製品・サービス高付加価値化枠の場合)

  • 既存の市場・業界で同等のものがどれだけあるか

  • 顧客にとっての「新しさ」「選ばれる理由」の具体化

  • 競合分析、顧客像の明示(商圏・属性など)


4.マーケティング戦略(グローバル枠の場合)

  • 海外展開や輸出に向けたブランディングやプロモーション計画

  • 対象国・地域、想定ユーザー像、販路構築の方法など


5.市場性と収益見込み

  • 対象市場の規模・成長性の分析

  • 顧客数や価格帯、競争優位性など

  • 事業化の時期、売上予測、製品単価などの定量的な根拠


6.実行体制と資金計画

  • 社内の担当体制・外部専門家・協力機関など

  • 事業実施スケジュール

  • 必要に応じた資金調達計画や運転資金の準備状況


7.数値目標とその根拠

  • 付加価値額・給与支給総額・1人あたり給与・最低賃金目標など

  • それぞれの算出根拠(人員構成や成長率、給与改定方針など)

簡潔・的確・図表活用が鍵

事業計画書は「きれいにまとまっていること」よりも、
伝えるべき情報が正確に詰まっているかどうかが審査の鍵になります。

必要に応じて、図や表、写真をうまく使い、3ページ以内で読み手に伝わる資料を目指しましょう。

よくある誤解を解消!キタゴウ行政書士事務所式Q&A

申請書の書き方を学んでも、実際の現場では「これはOK?NG?」という迷いがつきものです。
ここでは、ものづくり補助金申請支援の現場でよく寄せられる疑問を、原則に基づいて明快にお答えします。
あいまいな表現や例外はあえて省き、「これは通らない」「これは危ない」をストレートに解説します。

Q:ものづくり補助金は先着順ですか?

A:いいえ。すべて審査制です。

Q:給与支給総額が年2%増えていればOKですか?

A:いいえ。自社で設定した目標を下回れば要件未達です。

Q:補助金は返さなくていいのですよね?

A:いいえ。不適切使用や要件未達があれば返還対象になります。

Q:ホームページ制作は補助対象ですか?

A:いいえ。ホームページ制作は補助対象外です。

Q:CMS(コンテンツ管理システム)は対象になりますか?

A:いいえ。CMS導入は補助対象外です。

Q:クラウドサービスの費用は対象になりますか?

A:事業期間中の利用料のみ、補助対象になる場合があります。

Q:自社の社員の人件費を補助対象にできますか?

A:できません。人件費は補助対象外です。

Q:売上が小さいが、設備投資で一発逆転を狙いたい

A:現実的ではありません。採択の可能性は極めて低いです。

Q:新規採用で給与支給総額を増やしてもよい?

A:制度上可能ですが、審査上不利です。

Q:役員報酬は要件に関係ありますか?

A:はい。役員報酬も給与支給総額に含まれます。

Q:行政書士が代理で申請できますか?

A:できません。申請は本人のみ可能です。

Q:太陽光発電設備を導入したい

A:対象外です。

Q:冷凍食品の試作品を少量販売したい

A:可能です。ただし量産・販売目的の原材料調達は不可です。

Q:カーポートや外構工事をしたい

A:対象外です。

Q:補助金で購入した重機を普段使いしてもバレなければOK?

A:ダメです。不正使用で返還対象になります。

Q:開発したシステムを他社に販売したい

A:可能です。

Q:法人化したばかりなので個人事業時代の決算を添付したい

A:添付しても代用にはなりません。

Q:口頭審査で質問してもよいですか?

A:できません。口頭審査中の質問は禁止されています。

その他、特に注意が必要な論点については当事務所までご相談ください。
制度の正しい理解が、採択とその後のトラブル防止のカギになります。

次に読みたい:審査項目のポイントを詳しく解説

ここまでで、ものづくり補助金の全体像や申請準備の流れ、実務的な注意点についてお伝えしました。
次の記事では、採択に大きく影響する「審査項目」について、技術面・事業化面・政策面の観点から、
申請書でどう書けば評価されやすいのか?という視点で、さらに深く掘り下げていきます。

▶ 審査項目のポイントを見る

 

 

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