事業再構築補助金 第13回 審査項目を読む その3

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事業再構築補助金 第13回が公募開始となりました。

今回の公募において、第12回からの大きな変更点はありませんが、細部の修正や加点項目の追加が行われています。申請を検討されている方は、公募要領を必ず確認し、最新の要件に対応できるようご準備ください。

審査項目を読んでゆく

審査項目には変更はありませんが、第12回のおさらいもかねて、審査項目を項目ごと確認、解説してゆきます。

今回は「(5)政策点」と、「(6)GX進出点」~「(11)減点項目等」まで一気に解説します。

今回は根拠となる政策など「出典」の紹介がとても多くなります。ぜひ、そちらもご覧になっていただくと公募要領の理解も進むんじゃないかなと思います。

その1 「(1)補助対象事業としての適格性」と、「(2)新規事業の有望度」はコチラ

事業再構築補助金 第13回 審査項目を読む その1

その2 「(3)事業の実現可能性」と、「(4)公的補助の必要性」についてはこちらです。

事業再構築補助金 第13回 審査項目を読む その2

 

政策点

(5)政策点
① ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。
② 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。
③ 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えてV字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。
④ ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
⑤ 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。
※以下に選定されている企業や承認を受けた計画がある企業は審査で考慮いたします。
○地域未来牽引企業
○地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画
⑥ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。また、事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。
※以下のピッチ大会出場者は審査で考慮いたします。
○アトツギ甲子園

この審査項目では、補助金を通じて**「単に会社の利益を増やすだけじゃなく、国の未来にどう貢献できるか?」**が問われます。つまり、「ウチの事業、ただの一企業の挑戦じゃなく、日本経済にとってめっちゃ価値あるんですよ!」と、言えるかどうかです。

とはいえ、政策点を芯を喰ったようなような形で答えるのはだいたいのケースでは難しく、とはいえ、何も書かないのは意味もないのでしっかりとこのあたりは項目を理解して、書いておきたいところです。

① ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。

本項目は、経済産業省が公表している「ウィズ・ポストコロナ時代における地域経済産業政策の検討」(経済産業省、2021年)や「令和3年度経済産業政策の重点(案)」(経済産業省、2021年)に基づくものです。

具体的には、デジタル技術の導入による業務効率化、グリーン成長戦略を基にした産業転換、地域の特性を活かした高付加価産業へのシフトなどが推奨されています。

単なる「ちょっと改善しました」ではなく、「この事業で業界の流れが変わる!」という大胆なインパクトをどう伝えるかになろうかと思います。

【出典】

  • 経済産業省(2021年)「ウィズ・ポストコロナ時代における地域経済産業政策の検討」
  • 経済産業省(2021年)「令和3年度経済産業政策の重点(案)」

② 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。

この項目は、経済産業省が掲げる「グリーン成長戦略」(経済産業省、2021年)や内閣府の「統合イノベーション戦略2024」に基づくものです。

「DX」「低炭素」「重要技術」といったキーワードが並んでいますが、要するに、デジタル技術を駆使したスマート工場の導入、サプライチェーン全体の最適化、脱炭素社会の実現に向けたクリーンエネルギーの活用などが推奨されています。これにより、企業は生産性の向上と環境負荷の低減を両立し、日本経済の成長を牽引することが期待されています。

小難しい言い方になってしましたが、実際書き方としては、上記のキーワードを抑えつつ、拾ってゆく感じでの文章になろうかとは思います。とはいえ、根拠なしでも困るので、ある程度(例えば導入する設備や新事業の効果によって)の上記が実現できるといったような書き方が望ましいと思います。

もちろん、ガッツリ芯を喰うのであれば根拠立てて政策との整合性を強調するのが良いと思います。

【出典】

③ 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えてV字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。

これも①と同じ「ウィズ・ポストコロナ時代における地域経済産業政策の検討」(2021年)や「令和3年度経済産業政策の重点」(2021年)に基づいています。

コロナの痛手からの巻き返し——。みたいなことで政策では、経済的ダメージを乗り越え、持続的な成長を実現するための明確なアプローチが示されています。まぁ、下記リンクを参照してほしいのですが、具体的には、デジタル化による新たなビジネスモデルの確立、変化する市場ニーズへの迅速な対応、そして生産設備の刷新によるコスト削減と収益向上が求められています。

要は、「ちょっと元に戻す」ではなく、「これを機に生まれ変わる!」という覚悟が必要です。それがV字回復というわけで、例えば、失われた売上を補うために新サービスを投入し、効率的なオペレーションを実現、新たな市場へのアプローチを強化するなど、現実に即した冷静な成長戦略が求められます。

【出典】

④ ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。

こちらは「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」に基づいています。

文字通り、マーケティングや技術開発を通じた差別化戦略により、個々の市場規模は⼩さい(ニッチ)ものの、世界シェアが極めて⾼い製品が多数あり、それを製造する企業は世界のサプライチェーンにおいて「なくてはならない」存在。ということで経産省が応募から選定を行っています。

同選定の評価項目である「競争優位性」「技術力」「持続可能な成長性」などに照らし、自社の強みをどこまで具体的に示せるかがポイントとなります。

「ウチの商品は世界に通用する!」という思いだけでなく、マーケットでのポジションや、品質管理・独自技術による差別化の実績を冷静にアピールし、審査員に「なくてはならない存在」と確信させるストーリーを描くことが重要です。

【出典】

⑤ 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。

これはもう公募要領通り、「地域未来牽引企業」と「地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画」が根拠です。

明記されている通り、この政策に選定された企業や計画が承認されている企業は審査で「考慮」とありますので、加点よりはるかに高いポイントになろうかと思います。

計画承認されていない場合、この審査項目では、「地域未来牽引事業計画」の評価項目に応じた・・準じたような内容で記載することをお勧めします。

【出典】

⑥ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。また、事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。

根拠となる政策は、総務省の「情報通信白書」や中小企業庁の「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性」になるのかなと。やっぱりこの政策点についての項目はまず根拠となる政策を一読してから読んでゆかないとホントに読むのに苦労しますね。

そしてこの項目では「アトツギ甲子園」ピッチ大会出場者は審査で考慮するとあるので、若い事業者さんはこのアトツギ甲子園もチェックしてみてください。

つまるところ、「情報通信白書」では共通のプラットフォーム作って、解決の難しい課題に連携して取り組むことが推奨され、「事業承継・M&A~」では事業承継を契機として新しいことをはじめるという関係のない話を欲張りセットにしてひとつの項目にしています。だから読みにくいんですね。

なので、こういう場合は、「連携するか」「専門機関(大学など)との連携や共同体はあるか」「事業承継したか(するか)」の3点です。どこにも当てはまらないよという場合は、「連携」という点に着目し、今回の事業の外注さんや、設備導入元との連携、顧客との共同といったことを念頭に記載できれば良いかなと思います。

【出典】

 

GX進出点

(6)GX進出点(事業類型(B)に限る)
① 事業再構築の内容が、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組となっているか。

この項目は応募する事業類型が「事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)」の場合のみ審査項目となる項目です。

これに関しては「グリーン成長戦略「実行計画」14分野」のどれかに当てはまるかがそもそも必須の要件でもありますし、その課題解決手法を根拠立てて記載できているかがポイントです。

【出典】

大規模な賃上げに取り組むための計画書の妥当性

(7)大規模な賃上げに取り組むための計画書の妥当性
(事業類型(A)(B)で補助率等引上げを希望する事業者に限る)
① 大規模な賃上げの取組内容が具体的に示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。
② 一時的な賃上げの計画となっておらず、将来にわたり、継続的に利益の増加等を人件費に充当しているか。

これは大規模賃金引上げ枠に応募する際、賃金引き上げの計画書を別で提出するのですが、その中身はこういった観点で審査しますよと言っている項目です。

① 大規模な賃上げの取組内容が具体的に示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。

賃上げするためにどういった手段を用いるか。実際に売り上げがこれだけ上がって、どのように賃金に反映してゆくのか。画餅ではなく、具体的に記載します。

実現可能なプランとして、売上成長率、利益率の推移、従業員一人当たりの生産性向上目標などを具体的に記載し、経営戦略と賃上げの整合性を証明する必要があります。

② 一時的な賃上げの計画となっておらず、将来にわたり、継続的に利益の増加等を人件費に充当しているか。

一過性の賃上げではなく、売上上がったらしっかり人件費もあげてゆこうねということで、ここでは「人件費」と言っているので、福利厚生費などの経費もしっかりと充実させ、「持続可能な会社」にしてゆこうという、具体的な計画を見出せるか、まあ、示されているかが審査のポイントになりますね。

卒業計画の妥当性

(8)卒業計画の妥当性(上乗せ措置(F)に限る)
① 事業再構築の実施による売上高や付加価値額の継続的増加が妥当なものであり、法人規模の拡大・成長に向けたスケジュールが具体的かつ明確に示されているか。
② 資本金増加の見込・出資予定者や従業員の増加方法が具体的に示されており、その記載内容や算出根拠が妥当か。

この上乗せ措置(F)というのは、卒業促進上乗せ措置というもので、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援となっております。

① 事業再構築の実施による売上高や付加価値額の継続的増加が妥当なものであり、法人規模の拡大・成長に向けたスケジュールが具体的かつ明確に示されているか。

これは、「成長の道筋がちゃんと描けてる?」という話。事業再構築を通じて、売上や付加価値が右肩上がりに増えていくビジョンがあるかを問われます。
単なる希望的観測ではなく、具体的な数値目標をもとに、どのような戦略で収益拡大を実現するのかを明確に示す必要があります。

② 資本金増加の見込・出資予定者や従業員の増加方法が具体的に示されており、その記載内容や算出根拠が妥当か。

会社を大きくするにはお金も人も必要です。そこで審査員は、「その増やし方、本当にできるの?」とシビアにチェックしてきます。

大規模賃上げ及び従業員増加計画の妥当性

(9)大規模賃上げ及び従業員増加計画の妥当性(上乗せ措置(G)に限る)
① 大規模賃上げや従業員増員に向けた取組内容が具体的に示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。

② 一時的な賃上げの計画となっておらず、将来にわたり、継続的に利益の増加等を人件費に充当しているか。

① 大規模賃上げや従業員増員に向けた取組内容が具体的に示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。

賃上げや人員拡充の計画が「ちゃんと筋が通ってるのか?」を見られます。
例えば、「売上が上がったら、なんとなく給料も上げます」ではなく、「こういう新事業を展開し、○○年後に○%の利益増を見込む。その増益分の○%を賃金に充てる」といった、具体的な計画を示す必要があります。

審査員としては、どのような戦略で事業規模を拡大し、増員した従業員の雇用維持やスキルアップを考えているのか、そのロードマップを見極めたいわけです。

重要なのは、「どこからお金を生み出し、どう配分するか」を、根拠のあるデータとともに示すこと。市場の動向、競争環境、社内の成長シナリオなどを交えて、「絵に描いた餅」にならないように注意しましょう。

② 一時的な賃上げの計画となっておらず、将来にわたり、継続的に利益の増加等を人件費に充当しているか。

ここで問われるのは、「持続性」です。
「ボーナス上げて終わり」ではなく、「毎年安定して給与を引き上げるための仕組み」が必要になります。

加点項目

加点項目については少し項目が多いので、ひとつづつ引用しながらザックリ解説しますね。

【コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者に対する加点(コロナ借換加点)】
① 応募申請時において、コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること。
※コロナ借換保証等とは、下記の制度を指す。
(1)伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)
※ 各自治体が実施している制度においては、国の全国統一制度である「伴走支援型特別保証」 に対応した制度であれば対象とします。
(2)コロナ経営改善サポート保証
(3)新型コロナウイルス感染症特別貸付
(4)生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
(5)新型コロナ対策資本性劣後ローン
(6)生活衛生新型コロナ対策資本性劣後ローン
(7)[新型コロナ関連]マル経融資
(8)[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付
(9)[新型コロナ関連]沖縄雇用・経営基盤強化資金 等
※応募申請時において、既往債務を借り換えていることが必要です。過去に上記の制度を利用した実績があっても、完済している場合は対象になりませんのでご注意ください。

【コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者に対する加点(コロナ借換加点)】

コロナ禍で負った債務を軽くするために、国が用意した「借換保証」制度を活用しているかどうかが問われます。要するに、「ちゃんと経営の立て直しに動いているか?」という視点で、支援策を活用しながら計画的に財務改善に取り組んでいる事業者に対して加点が与えられます。

また、

【事業類型(D)申請事業者に対する加点】

② 指定の要件を満たし、コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)に申請すること。

と、このコロナ回復加速化枠(最低賃金類型)は賃上げとコロナ回復という補助金の目的である枠に申請せざるを得ない事業者は加点になるということですね。

【経済産業省が行うEBPMの取組への協力に対する加点】

③ データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行うEBPMの取組に対して、採否に関わらず、継続的な情報提供が見込まれるものであるか。

本項目は、経済産業省が推進するEBPM(エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング:証拠に基づく政策立案)の取組に協力できるかどうかを評価するものです。

EBPMとは、政策の立案・実施・評価において、感覚や経験に頼るのではなく、データや統計、客観的な証拠をもとに政策の有効性を検証し、継続的に改善を図る手法です。経済産業省は、事業者からのデータ提供をもとに、補助金の効果測定や経済への影響を科学的に分析し、より効果的な政策形成を目指しています。(出典:経済産業省「EBPMの推進に向けた取組」)

つまり、「この補助金、ちゃんと効果あったの?」を後押しするために、企業がデータを提供し、政策の改善に役立てることが期待されています。

この加点を得るためには、単にデータを提出するだけでなく、「どんなデータを、どのように提供できるか」を明確にすることが重要です。例えば、

  • 事業実施後の売上や雇用の変化
  • 新規事業の市場浸透率や顧客満足度の推移
  • 生産性向上の具体的な指標(作業効率、コスト削減など)

まぁ、加点になるかどうかはチェックすればそれでいいのですが、上記の通り、加点されたらきちんと約束は履行しなければなりませんよ?

要するに、補助金を受けた「その後」についても誠実に協力し、国の政策改善に貢献できる姿勢を示すことが重要です。

【出典】

【パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点】

④ 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表している事業者。(応募締切日時点)

企業が「パートナーシップ構築宣言」を行っているかどうかです。登録はそれほど難しいものじゃありません。30分くらいで登録でき、2週間程度でホームページに反映、公開されます。

「パートナーシップ構築宣言」を解説しておくと、ざっくり要約すれば「うちは下請けや取引先を大切にして、みんなで成長していきます!」という企業姿勢を公にすることです。

【出典】

【特定事業者であり、中小企業者でない者に対する加点】

⑤ 以下のいずれかに該当し、2.補助対象者に記載のある【中小企業者】及び【「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人】に該当しないこと。
1.従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人のうち、資本金の額又は出資の総額が10億円未満であるもの
2.生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
※その直接又は間接の構成員の3分の2以上が、常時300人(卸売業を主たる事業とする事業者については、400人)以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの。
3.酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会(酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会の場合)
※その直接又は間接の構成員たる酒類製造業者の3分の2以上が、常時500人以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの。
(酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会の場合)
※その直接又は間接の構成員たる酒類販売業者の3分の2以上が、常時300人(酒類卸売業者については、400人)以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの
4.内航海運組合、内航海運組合連合会
※その直接又は間接の構成員たる内航海運事業を営む者の3分の2以上が常時500人以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの。
5.技術研究組合
※直接又は間接の構成員の3分の2以上が以下の事業者のいずれかであるもの。
・上記1.記載の事業者
・企業組合、協同組合

まずは 「従業員数」と「資本金」 の2つ。
以下の条件に該当しないことを証明できなければなりません:

    • 製造業、建設業、運輸業:500人
    • 卸売業:400人
    • サービス業・小売業(特定業種を除く):300人
    • その他業種:500人従業員数
      常勤従業員数が、業種ごとに設定された上限以下であること。
  1. 資本金
    出資の総額が 10億円未満 であること。

この審査項目では、特定の組合や団体についても詳細に定義されています。たとえば:

  • 生活衛生同業組合や酒造組合
    3分の2以上の構成員が中小規模(従業員300人〜500人以下、資本金10億円未満)であることを条件にしています。
    → つまり、「組合を隠れ蓑にした大規模企業が入り込んでいないか」をチェック。
  • 技術研究組合や内航海運組合
    構成員の3分の2以上が中小企業基準を満たしているかどうかを確認。
    →「形だけの小規模法人ではないか?」が見られます。

【健康経営優良法人に認定された事業者に対する加点】

⑥ 令和5年度に健康経営優良法人に認定されていること。(応募締切日時点)

健康経営優良法人認定制度とは、経済産業省と日本健康会議が共同で運営し、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践している企業を認定する制度です。この認定を受けることで、企業の社会的評価の向上や従業員のモチベーションアップにつながるとされています。(出典:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」)

なかなか認定は難しいとも思うのですが、こういう社会的に意義のある認定は、意識高く取り組むのも成長への一歩なのかもしれませんね・・

【出典】

【大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点】
※市場拡大要件を満たして事業類型(A)に申請する場合・事業類型(B)が対象。

⑦ 事業実施期間終了後3~5年で以下の基準以上の賃上げを実施すること(賃上げ幅が大きいほど追加で加点)。
1.給与支給総額年平均成長率3%
2.給与支給総額年平均成長率4%
3.給与支給総額年平均成長率5%

【事業場内最低賃金引上げを実施する事業者に対する加点】
※事業類型(D)が対象。

⑧ 事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を以下の水準とすること(水準が高いほど追加で加点)。
1.地域別最低賃金より+30円以上
2.地域別最低賃金より+50円以上

上記2つは読んだままですね。ただし、申請類型には注意するようにしてください。

【ワーク・ライフ・バランス等の取組に対する加点】

⑨ 応募申請時点で、以下のいずれかに該当すること。
1. 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定(えるぼし1段階目~3段階目又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている者又は従業員数100人以下であって、「女性の活躍推進データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している者
※厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」
2. 次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん、トライくるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた者又は従業員数100人以下であって、「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している者
※厚生労働省「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」

これはちょっと制度の解説・・といいますか、引用に留めます。

1.女性活躍推進法に基づく認定(えるぼし、プラチナえるぼし) これは、女性の活躍推進に積極的に取り組む企業を評価する制度で、採用、継続就業、管理職比率などの指標をもとに、3段階で評価されます。(出典:厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」)

2.次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみん、トライくるみん、プラチナくるみん) これは、仕事と育児の両立支援に取り組む企業を認定する制度で、育児休業取得率や短時間勤務制度の導入状況などが審査されます。(出典:厚生労働省「両立支援のひろば」)

【出典】

【技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者に対する加点】

※事業類型(A)(B)が対象。

⑩ 技術情報管理認証制度の認証を取得していること。(応募締切日時点)
※経済産業省「技術情報管理認証制度」

技術情報管理認証制度とは、企業が技術やノウハウを適切に管理し、流出リスクを低減するための体制を整えていることを認証する制度です。サプライチェーン全体のセキュリティ強化や、産業スパイ対策としても重要視されています。(出典:経済産業省「技術情報管理認証制度」)

この認証を取得することで、企業の信頼性向上や、機密情報の保護が可能となり、取引先や顧客に対して安心感を与えることができます。

【出典】

【成長加速マッチングサービスに登録している事業者に対する加点】

⑪ 「成長加速マッチングサービス」において会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者(応募締切日時点)

今回から追加された加点項目で、成長加速マッチングサービスとは、企業が直面する経営課題を解決するために、外部の支援機関や専門家とマッチングを行うプラットフォームです。企業の技術力や経営力の向上を目的とし、成長戦略の実行を後押しする制度です。(出典:経済産業省「成長加速マッチングサービス」)

これ、ワタクシも会員登録やってみたのですが、GビズIDが必要です。他はまぁ、それほど難しいことはないです。

ちなみにこのサービスの本格稼働は3月からで、1月現在、事前登録期間中です。

【出典】

減点項目等

【加点に係る申請内容未達時の対応】

【加点に係る申請内容未達時の対応】
加点を受けたうえで、本補助金で採択されたにも関わらず、申請した加点要件を達成できなかった場合は、事業化状況報告において未達が報告されてから18ヵ月の間、中小企業庁が所管する補助金※1への申請にあたっては、正当な理由が認められない限り大幅に減点します。
※1 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、サービス等生産性向上IT導入支援事業、小規模事業者持続化補助金、事業承継・引継ぎ補助金、成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)、中小企業省力化投資補助金、中小企業新事業進出促進補助金、中小企業成長加速化補助金
災害を受け、事業において著しい損失を受けたと認められる場合等※2により、やむを得ず加点要件を達成できなかった場合には、その限りではありません。その場合には、事業化状況報告の提出時にその理由を説明してください。やむを得ない理由と認められた場合に限り、減点を免除いたします。
※2 震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にかかったこと等により、事業において著しい損失を受けたと認められる場合(国税通則法第46条)その他これに準ずるものとして中小企業庁が認めた場合
本補助金の審査にあたっては、中小機構及び中小企業庁所管の他補助金事務局が保有する、申請者に係る他補助金の申請・交付等に関する情報を利用させていただきます。また、効率的な補助金執行のため、本事業の申請・交付等に関する情報についても、中小機構及び中小企業庁所管の他補助金事務局に対して情報共有いたします。

これは、補助金の適切な活用を促し、補助事業の実現可能性を担保するための措置です。万が一、要件未達が発生した場合、単なる「うっかりミス」では済まず、今後の補助金申請に影響を及ぼすため、申請内容の達成に向けた確実な計画が求められます。

ただし、震災や風水害、火災などの災害による事業の著しい損失が認められる場合には、例外措置が設けられており、事業化状況報告の際に説明することで減点を免れる可能性があります。(出典:国税通則法第46条

審査では、「本当に達成できるのか?」という視点がより厳しくなり、甘い計画や楽観的すぎる見積もりは避けるべきです。

要するに、「約束を守れないと、次のチャンスは厳しいよ!」ということで、慎重な計画と責任ある実行が重要です。

【過去補助金交付候補者として採択された事業者(事業類型(B))】

【過去補助金交付候補者として採択された事業者(事業類型(B))】
既に過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている又は交付決定を受けている場合には、一定の減点を受けることとなります。加えて、別事業要件及び能力評価要件についても審査され、追加での減点となる場合もあります。これらについては、別事業要件及び能力評価要件の説明書に基づき評価されます。

事業類型(B)は成長分野進出枠(GX進出類型)になるわけですが、過去の公募回で補助金の交付候補者として採択された、または交付決定を受けた事業者は、一定の減点を受けることになります。さらに、「別事業要件」や「能力評価要件」に基づく審査も行われ、追加で減点となる可能性があります。

これは、「同じ事業で何度も補助金をもらうのではなく、ちゃんと新しいチャレンジをしているか?」や「これまでの実績に基づき、事業遂行能力があるのか?」といった観点で評価されます。

特に、審査員は「補助金依存体質」になっていないか、事業の持続性や成長性が十分にあるかを見極めようとしています。そのため、新規性や過去の補助金活用実績、事業の拡張性を明確に示すことが求められます。

【複数の事業者が連携して事業に取り組む場合】

【複数の事業者が連携して事業に取り組む場合】
連携体の必要不可欠性について審査された結果、減点の対象となる場合があります。これについては、連携の必要性を示す書類(代表申請者用)に基づき審査されます。

連携体の必要不可欠性について審査された結果、減点の対象となる場合があります。これは、補助金を受けるためだけの形式的な連携ではなく、事業の成長にとって本当に必要な協力関係が築かれているかどうかを見極めるためのものです。

審査では、「連携の必要性を示す書類(代表申請者用)」をもとに、各事業者がそれぞれの役割を果たし、互いに補完し合う関係であることが求められます。例えば、単なる業務分担ではなく、技術の相互補完や市場拡大のためのシナジーがあるかどうかが重要です。

要するに、「この連携がなければ成功しない!」という必然性を論理的かつ具体的に示すことが不可欠です。

【事業による利益が第三者のものになる事業に取り組む場合】

【事業による利益が第三者のものになる事業に取り組む場合】
ビジネスモデル上、補助事業の実施により発生した付加価値額の大部分が、補助事業者(従業員や株主を含む。)以外にわたる事業等は、事業再構築に挑戦する中小企業等の成長を支援し、日本経済の構造転換を促す本事業の目的に沿わないため、当該事業を含む事業計画に基づく申請は、減点の対象となります。

補助金を使って新しい事業を立ち上げたのに、その利益が他人のものになってしまう…そんな事態は避けたいもの。審査では、補助事業の成果(付加価値額)の大部分が、自社(従業員や株主を含む)に還元されることが求められます。要するに、補助金は「自社の成長」のために使うべきであり、結果的に第三者ばかりが得をするようなビジネスモデルは減点対象となります。

例えば、補助金で整備した設備を別会社に貸し出して、その会社が利益を得るようなケースや、主要な利益がフランチャイズ本部に流れるようなモデルでは、「この補助金、本当に申請者のためになってる?」と疑われるわけです。

逆に、補助金を活用して自社の競争力を高め、地域経済にプラスの影響を与えるような内容であれば問題なし。要は、「自社のためになっている」と説明できるストーリーが重要です。

【過剰投資の抑制】

【過剰投資の抑制】
各申請者が事業計画策定時に実施した市場分析は、事業計画策定時の情報を元に実施されたものであり、応募申請後、補助金交付候補者の採択発表時までの社会情勢・市場の変化や、本補助金の支援を受けて新たに行われる他社の事業による影響を考慮できておりません。
事業計画書に記載されている市場分析を実施した時点では、当該申請者に優位性が認められた場合でも、実際に申請者が事業を実施する段階においては、その優位性が消滅している可能性もあります。
したがって、特定の期間に、類似のテーマ・設備等に関する申請が集中してなされている場合には、一時的流行による過剰投資誘発の恐れがあるため、別途審査を行います。過剰投資と判断された申請に関しては、事業計画書に記載されている市場分析のとおりに事業を実施することが困難であると考えられるため、大幅な減点を実施します。

補助金申請時に行った市場分析は、申請当時のデータをもとにしたものであり、採択が決定するまでの間に社会や市場の状況がガラッと変わることがあります。つまり、「その時はいけると思ったけど、今はどう?」という話です。特に、同じテーマや設備に関する申請が一時的に集中すると、補助金を受けた事業者同士が過剰に競合し、市場が飽和状態に陥るリスクがあるわけです。

例えば、ある地域で同じ種類のカフェやコワーキングスペースの事業計画が次々と申請されるとします。最初の計画時点では「需要ある!」と見えていたものが、いざ事業開始となる頃にはライバルだらけで、もう市場がカフェだらけ…なんて状況になりかねません。結果として、補助金の効果も薄れ、計画通りの事業展開が難しくなるわけです。

そのため、審査では「本当に市場が持続可能か?」「単なる流行に乗っただけじゃないか?」といった点を厳しくチェックします。もし、同じような申請が殺到していると判断されれば、「あなたのビジネス、本当に成立するの?」と厳しく突っ込まれ、大幅な減点を受けることになります。

申請者としては、「今はトレンドだから」と安易に乗るのではなく、「この市場は将来的にも成長が見込めるのか?」、「競争が激化しても利益を確保できる独自性はあるのか?」といった視点で、しっかりとした事業計画を立てることが求められます。

以上で審査項目の解説は終わりです。

次回は「事業計画作成における注意事項」を基に、実際の申請書の書き方などを解説します。

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