事業再構築補助金 第13回 審査項目を読む その2

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事業再構築補助金 第13回が公募開始となりました。

今回の公募において、第12回からの大きな変更点はありませんが、細部の修正や加点項目の追加が行われています。申請を検討されている方は、公募要領を必ず確認し、最新の要件に対応できるようご準備ください。

審査項目を読んでゆく

審査項目には変更はありませんが、第12回のおさらいもかねて、審査項目を項目ごと確認、解説してゆきます。

今回は「(3)事業の実現可能性」と、「(4)公的補助の必要性」について解説します。

第1回はコチラです。

事業再構築補助金 第13回 審査項目を読む その1

事業の実現可能性

(3)事業の実現可能性
① 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。
② 最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。 ※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も踏まえ採点します。
③ 補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか。 (第三者に過度に依存している事業ではないか。過度な多角化を行っているなど経営資源の確保が困難な状態となっていないか。)

この審査項目では、文字通り「実現可能性」について厳しくチェックされます。

要するに、「本当にやれるの?」 という冷静かつ疑り深い目で見られ、アイディアだけじゃなく、実行力が試されるというわけです。

① 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。

ここでは、事業が軌道に乗るまでに直面する課題をどこまで現実的に見据えているかが問われます。

  • 事業の課題はきちんと洗い出せているか?
  • 課題に対する具体的な解決策を持っているか?
  • 「実現可能なスケジュール」をしっかりと立てているか?

フワッとした内容では「詰めが甘い」と判断されるので要注意。

課題があるのは当たり前。
大事なのは、解決策をどれだけ論理的に示せるか。 ここが審査の勝負どころです。

② 最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。 ※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も踏まえ採点します。

最近の財務状況をちゃんと説明できるか?

売上や利益の動向、資産の状況を数値で示すことが求められます。
「今、赤字なんですけど…」なんて場合は、改善策と将来の見通しをセットで語るのがマスト。

そして、金融機関からの信頼はどうか?

  • 融資の見込みは立っているか?
  • すでに銀行に打診しているか?(内諾が取れていれば、プラス評価につながる)

特に、複数の事業者が連携する場合、連携メンバー全員の財務状況がチェックされます。

「誰か1人でも足を引っ張ると”危なっかしい連携体”認定」されるので、その点はしっかり把握しておく必要があります。

③ 補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか。 (第三者に過度に依存している事業ではないか。過度な多角化を行っているなど経営資源の確保が困難な状態となっていないか。)

「このメンバーで本当にやれるの?」

ここでは、単なる人数ではなく、事業の遂行に必要な”適材”が揃っているかが問われます。

専門知識を持った人材がいるか?
「社長一人で全部やります!」なんて状況になっていないか?
以前の再構築補助金では「リスクを負って~」的な表現をある程度大げさに示していましたが、ここ最近ではそんな無謀な挑戦は”匹夫の勇”でしかない。という感じに漸くマトモになっています。

過度な外部依存もアウト。

システム会社に丸投げ?
事業の根幹を他社任せ?
これでは「この会社、主体的にやる気あるの?」と疑念を抱かれるのがオチです。

さらに、多角化しすぎも危険。

いろんなことに手を出しすぎて、どれも中途半端になっていないか?
経営リソースが分散しすぎて、肝心の事業が疎かにならないよう、計画を整理する必要があります。

結局、審査員が求めているのは「安心感」

この項目で示さなければならないのは、「現実的にどうなのか?」ということ。

  • 計画がきちんと練られているか?
  • 資金面での不安がないか?
  • 適切な人材・体制で最後まで遂行できるか?

「やれる根拠」がなければ、どれだけ熱意を語っても意味がありません。

公的補助の必要性

(4)公的補助の必要性
① 川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する積極的な理由がある事業はより高く評価。
② 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性、事業の継続可能性等)が高いか。
③ 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。
④ 本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。
⑤ 国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないか。

ここでは、「なんでこの事業に補助金が必要なの?」という、国の財布を握る担当者たちのシビアな視線に耐えうる理由をしっかり示すことが求められます。

「これ、補助金なしで自分たちでやれるんじゃないの?」
「本当に社会の役に立つの?」
「国が投資する価値、ある?」

つまり、「お金をもらう必然性」をいかに納得させるかが、勝負の分かれ目です。では、ひとつひとつ見ていきましょう。

① 川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する積極的な理由がある事業はより高く評価。

要するに、「その事業が国にとってどんなメリットをもたらすのか?」を遠回しに聞かれています。

例えば——

  • 川上(仕入れ先)や川下(販売先)への波及効果は?
    ただ自社の売上を伸ばすだけじゃなく、業界全体にどう影響を与えるかを示すことが重要。
  • 社会的インフラとしての役割は?
    地域の課題解決や雇用創出など、「国が応援したくなる理由」をしっかりアピール。

「ウチの事業が進むと、世の中もこんなに良くなる!」と、ビジョンを持って伝えるべきですが、あくまで地に足をつけたリアルな記載を心掛けることが大事です。飛躍しすぎると、かえって信用を失うので要注意。

② 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性、事業の継続可能性等)が高いか。

ここでは、コストパフォーマンスとリターンが問われます。

  • 補助金をもらったら、どれだけの付加価値を生み出せるのか?
    → 売上増加や生産性向上を、具体的な数値(付加価値額、一人当たり付加価値額、経常利益など)で示すのが重要。
  • その数字、本当に実現可能か?
    → 「なんとなく倍増します!」ではダメ。しっかりと根拠を示しましょう。

結局、補助金は投資。「国が損しない案件です!」という論理をしっかり構築しておくことがカギです。

③ 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。

今どきの補助金は、「ただ儲かればOK」という話じゃなく、大げさに言えば「時代を変えるインパクトがあるか」が建前上ポイントになっています。

  • 先端的なデジタル技術の活用は?
    DXやAIを駆使して、地域の課題やサプライチェーンの課題を解決できるなら高評価。ってそのままなんで、ちょっとありきたりな例を出しますと

    • AIを活用したサプライチェーン管理システムを導入し、在庫状況や物流の遅延リスクを事前に予測。
    • IoTを活用して、リアルタイムで輸送中の温度・湿度をモニタリングし、品質管理の精度を向上。
    • クラウドベースのプラットフォームで取引先とリアルタイム連携し、状況を可視化することで、供給リスクの早期発見&対応が可能に。
  • 新しいビジネスモデルの構築は?
    既存のやり方を超えて、「こんな仕組み、今までなかったよね」という革新性があるかどうか。

とはいうものの、やはり理論や結論が飛躍しがちな項目ですので、展望を語りつつもあくまでリアルな中での気概を見せてください。飛躍は鼻につくような文章になってしまいがちで、自分でも書いてて気が付くと思いますし。

④ 本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。

コロナが経済社会に与えた影響を踏まえ、「次の危機に対応できるか?」が審査の重要ポイント。

    • 感染症や災害に強い仕組みがあるか?
      例)リモートワーク対応、非接触サービス、安定した物流体制など、ニューノーマルへの適応を具体的に示す。
    • 将来性のある事業か?
      最近の市場は変化が激しいので、「一寸先は闇、でも光もすぐそこに…」といったスタンスで、市場の動きを見据えた計画が求められます。

⑤ 国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないか。

この項目は「令和3年度春の公開プロセス」であった「無駄な補助がなされないようにすべき」という意見を受けてかとも思います。

  • 資金やリソース的に、補助なしでは難しいのか?
    「本当は補助なしでもイケるんじゃない?」と思われないように、必要性の根拠をしっかり説明しよう。
  • 補助があることで、よりスムーズに成長できるか?
    補助金が事業の推進力になるという「レバレッジ効果」を明確にするのがポイント。

ここは慎重に。「補助金がないと絶対ムリ!」ではなく、「補助があれば、もっと広く深く成功できる!」というスタンスが良いのかもとも思います。なんか実現可能性とも矛盾している項目ですねぇ。

今回のまとめ

補助金申請における「事業の実現可能性」と「公的補助の必要性」は、要するに「本当にやれるの?」「国として応援する価値、ある?」の2大審査ポイント。

単なる夢物語じゃなく、冷静にリスクを見据えた実行計画と、社会や経済にどれだけインパクトを与えるかをガッチリ押さえておく必要があります。

財務状況はもちろん、チームの体制が整っているか、補助金を使うことで生産性やイノベーションがどう跳ねるのか——そのストーリーがきっちり描けていないと、「ウチだけでやれるんじゃないの?」と冷たくあしらわれるのがオチ。「夢を語るな、根拠を示せ」が基本スタンスです。

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