事業再構築補助金 第13回が公募開始となりました。
今回の公募において、第12回からの大きな変更点はありませんが、細部の修正や加点項目の追加が行われています。申請を検討されている方は、公募要領を必ず確認し、最新の要件に対応できるようご準備ください。
審査項目を読んでゆく
審査項目には変更はありませんが、第12回のおさらいもかねて、審査項目を項目ごと確認、解説してゆきます。
今回は「(1)補助対象事業としての適格性」と、「(2)新規事業の有望度」について解説します。
補助対象事業としての適格性
(1)補助対象事業としての適格性
① 「4.補助対象事業の要件」を満たすか。補助事業終了後3~5年で付加価値額を年平均成長率3.0.0%~4 .0.0%(事業類型により異なる)以上の増加等を達成する取組みであるか。
② 事業再構築指針に沿った取組みであるか。
※複数の事業者が連携して申請する場合は、連携体構成員が提出する「連携体各者の事業再構築要件についての説明書類」も考慮する。
まず、「4.補助対象事業の要件」というのは、それぞれ各事業類型ごとの申請要件で、例えば「成長分野進出枠(通常類型)」の場合ですと、
① 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること【事業再構築要件】
② 事業計画について金融機関等又は認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。ただし、補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること。【金融機関要件】
③ 補助事業終了後33~5 年で付加価値額の年平均成長率4 .0.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4 .0.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】
④ 以下(aa)(bb)のいずれかを満たすこと。(aa)を選択する場合は、(a 11)(a 22)の両方を満たすこと。
(a1)事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること【給与総額増加要件】
(a 2)取り組む事業が、過去~今後のいずれか10 年間で、市場規模が10%以 上拡大する業種・業態に属していること【市場拡大要件】
(b)現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること、又は地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること【市場縮小要件】
<補助金額・補助率の引上げを受ける場合の追加要件>【補助率等引上要件】
⑤ 補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加させること
⑥ 補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額45 円以上の水準で引上げること
こちら、公募要領をご確認いただけると良いかと思います。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf
新規事業の有望度
(2)新規事業の有望度
① 補助事業で取り組む新規事業が、自社がアプローチ可能な範囲の中で、継続的に売上・利益を確保できるだけの規模を有しているか。成長が見込まれる市場か。
② 補助事業で取り組む新規事業が、自社にとって参入可能な事業であるか。
➢免許・許認可等の制度的な参入障壁をクリアできるか。
➢ビジネスモデル上調達先の変更が起こりにくい事業ではないか。
③ 競合分析を実施した上で、顧客ニーズを基に、競合他社と比較して、自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か。
➢代替製品・サービスを含め、競合は網羅的に調査されているか。
➢比較する競合は適切に取捨選択できているか。
➢顧客が商品やサービスの購入を決める際に重視する要素や判断基準は明らかか。
➢自社が参入して、顧客が商品やサービスの購入を決める際に重視する要素や判断基準を充足できるか。
➢自社の優位性が、容易に模倣可能なもの(導入する機械装置そのもの、営業時間等)となっていないか。
この項目では、「本当にその事業、いけるの?」という視点から、抜け目なくチェックされます。つまり、申請する側も抜け目なく記載する必要があるということです。
ポイントとしては、以下の3つが重要になってきます。
- 市場規模と成長性の検証
- 参入ハードルの検証
- 競合分析と差別化
① 補助事業で取り組む新規事業が、自社がアプローチ可能な範囲の中で、継続的に売上・利益を確保できるだけの規模を有しているか。成長が見込まれる市場か。
「いけそう!」という感覚ではなく、「具体的な市場規模や成長予測」をしっかり示すことがカギになります。市場の規模や将来性については、表や図を活用し、視覚的にも分かりやすく説明することが効果的です。
ただし、「周りがやっているから」という理由は当然NG。「自社ならではの強み」と「市場ニーズ」が具体的にマッチしているかどうかを審査されるので、ここはしっかり考えておく必要があります。
② 補助事業で取り組む新規事業が、自社にとって参入可能な事業であるか
事業には「免許」や「許可」など、そもそも乗り越えるべきハードルが存在します。例えば、運送業や農地転用、開発行為許可など、めちゃくちゃ時間がかかるものもあり、許認可が下りる前に事業期間が終わってしまうなんてことも。
だからこそ、「法令上の制限」や「参入障壁」をしっかりと調査し、「この事業、問題なく進められます!」と計画書で示すことが大切です。
また、物理的な参入障壁としては「仕入れルート」の問題があります。
- 原材料の価格が高すぎる
- 仕入れ先が限定されすぎてリスクが高い
こういった問題がある場合、サプライヤーを複数確保しているなどの対策を示せると、審査でもプラス評価につながります。
③ 競合分析を実施した上で、顧客ニーズを基に、競合他社と比較して、自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か。
競合分析は、この補助金の審査において最初期から重要なポイントとされています。要するに、「リアルな市場環境」をどこまで分析できているかがカギ。
競合調査をする際には、単なる同業他社だけでなく、代替サービスまで視野を広げることが重要です。「競合を徹底調査した」と言えるだけのデータを示しましょう。
また、顧客が何を基準に選ぶのかもポイントです。
- 価格だけでなく、コスパ、ブランドイメージ、使いやすさなどの要素をしっかり検証。
- ピンポイントで「ウチはここが違う!」をアピールすることが大事です。
そして、差別化については「真似されないこと」が非常に重要です。営業時間を伸ばす、最新機器を導入する、といった施策は簡単に模倣されるため、「自社だからこそできる強み」を押さえましょう。
新事業の有望度は、どれだけ現実を見据えて根拠を示せるかが重要です。
「夢」や「希望」だけでは補助金はもらえません。審査員を納得させるだけのデータや分析を積み重ね、「この事業なら確実に成功する」と思わせる計画を作ることが大切です。
要するに、「夢に補助金は出さねぇぞ」ってことですね。