令和7年1月10日、突如として「事業再構築補助金」第13回公募が開始されました。
予想外のタイミングでの公募開始には驚かされましたが、今回の第13回公募が「事業再構築補助金」としては最終回となります。
新年度からは「新事業進出補助金」として新たにスタートする予定で、4月に公募が開始される見込みです。
本記事では、第12回公募からの変更点を中心に、第13回公募の要点を詳しく解説していきたいと思います。
公募期間
- 公募開始日:令和7年1月10日(金)
- 申請受付開始:現在調整中
- 応募締切:令和7年3月26日(水)18:00まで
- 補助金交付候補者の採択発表:令和7年6月下旬~7月上旬頃(予定)
応募締切が3月26日で、採択発表は6月下旬~7月上旬とされています。再構築にしてもちょっと長めの期間かなとも思いますが、最終回ということで多くの申請が予想されている可能性がありますね。
第12回との公募要領の主な変更点
- コロナ回復加速化枠(通常類型)、サプライチェーン強靭化枠が削除(募集無し)
- コロナ回復加速化枠(最低賃金枠)の要件のうち、付加価値額の伸びが「3~5%(第12回)」が「3~4%」に変更
- 補助事業実施期間中にみなし大企業に該当することとなった場合は交付決定を取り消す
- 複数の金融機関等から資金調達をする場合、任意の1者からの「金融機関確認書」で良いと明記された。
- 加点項目に「成長加速マッチングサービスに登録している事業者に対する加点」が追加された。
コロナ回復を重点的に支援してきた再構築補助金もいよいよ最終回ということで、サプライチェーン強靭化枠なんかがなくなった(事業期間的な問題もあるとは思いますが)ということは、、補助金の焦点がポストコロナ時代の長期的な成長戦略や事業構造の進化にシフトしている可能性を示唆しているもかなとも思います。
また、みなし大企業についての交付決定取消については、厳格化となっていますが、公平性の観点からもそうですし、みなし大企業に当たるような事業者が中小企業を隠れ蓑にして補助金を吸い上げるような事例もあったようですので、まぁ、これはやむを得ない措置なのかなとも思います。
成長加速マッチングサービスについては全然知らなかったのですが、正式リリースが3月ということで今は先行登録を受け付けている最中のようです。
このサービスは
中小企業庁が運営する成長加速マッチングサービスとは、事業拡大や新規事業立ち上げなどの成長志向を持つ事業者が、支援者とつながることができるマッチングプラットフォームです。様々な知識と経験を持つ支援者があなたの挑戦に対し、成長を加速させるための具体的な解決策を提供します。
と、あるように、支援者と事業者のマッチングを行うマッチングサイトのようで、支援機関とは具体的に、
以下の機関のうち、本サービスにユーザ登録いただく機関になります。
・中小企業等経営強化法に基づく認定経営革新等支援機関
・認定経営革新等支援機関に認定された金融機関の推薦を受けた当該金融機関関係の投資会社
・(独)中小企業基盤整備機構が民間機関等とともに組成した投資ファンド(投資事業有限責任組合)を運営している投資機関
・中小企業投資育成株式会社法に基づく中小企業投資育成株式会社
とのことで、ワタクシも認定支援機関ですので、ユーザー登録をしてみようかなとも思います。
応募に向けた具体的なアクションプラン
各申請枠や審査項目はコロナ回復(通常類型)とサプライチェーン強靭がなくなった以外は変わりはありませんので、まずはザックリとまとめます。
項目 | 内容 | アクション |
---|---|---|
公募期間 | – 公募開始:令和7年1月10日(金) – 締切:令和7年3月26日(水)18:00 |
– 締切を厳守し、スケジュールを逆算して準備を進める – 応募説明資料を必ず確認 |
必要なアカウント | GビズIDプライムアカウント(発行に1週間程度必要) | – 未取得の場合、即時登録 – アカウント情報を厳重管理 |
電子申請の方法 | – 電子申請システムのみ受付 – 代理申請は不可 – 同一PCから大量申請の場合、個別確認の可能性あり |
– 電子申請入力項目を事前に準備 – 操作マニュアルを熟読 – 締切間際を避け、早めに申請開始 |
注意事項 | – 提出情報は審査や政策検証に使用 – 採択案件の概要(商号、計画名など)が公表される |
– 提出情報が正確であることを確認 – 公表される情報に問題がないか事前にチェック |
申請時の準備手順 | 1. GビズIDの取得 2. 電子申請項目の準備 3. 説明資料の熟読 4. 申請手続きの実施 |
– 必要書類や情報を整理 – 余裕を持って申請手続きを開始 |
代理申請の話はイマサラなので詳しくはいいませんが、申請に関することに関しては余計な痛くもない腹を探られるのを防ぐためにも自社で申請したいところです。
つづいて対象経費をこちらもザックリまとめます。
対象経費
経費区分 | 概要 | 主な注意点 |
---|---|---|
建物費 | – 事業実施に不可欠な建物の建設・改修、撤去、原状回復に要する費用 – 貸工場・貸店舗等への一時移転費用(一部上限あり) |
– 建物の単なる購入・賃貸は対象外 – 新築には「必要性に関する説明書」が必要 – 賃貸物件の原状回復費は契約満了時の通常費用は対象外 – 不動産賃貸への転用は不可 |
機械装置・システム構築費 | – 専用機械装置・システムの購入・構築費用 – 必要な改良・据付け・運搬に要する費用 – リース費用も一部対象 |
– 減価償却資産で単価10万円以上が対象 – 既存機械の単なる置き換えは対象外 – 中古設備は特定の条件下で対象 – リースは期間内のみ対象 – 大規模システム構築には追加書類が必要 |
技術導入費 | 知的財産権の導入費用(特許実施権取得など) | – 書面契約が必要 – 外注費や専門家経費と重複計上は不可 |
専門家経費 | 技術指導や助言を依頼した専門家への謝金・旅費 | – 謝金単価の上限あり(例:大学教授等は1日5万円以下) – 依頼内容の妥当性を証明する複数見積書が必要 |
運搬費 | 補助事業に必要な物品の運搬料 | – 機械装置の運搬料は「機械装置・システム構築費」に含める |
クラウドサービス利用費 | 補助事業専用のクラウドサービス利用費用 | – サーバーレンタル費用や関連経費が対象 – パソコン等の本体費用は対象外 |
外注費 | 必要な加工や設計、検査等の一部を外注する費用 | – 専門家経費や技術導入費と重複計上不可 – 書面契約が必要 |
広告宣伝・販売促進費 | 製品やサービスの広告・展示会出展等に要する費用 | – 補助事業以外の広告費は対象外 – 証憑書類(相見積書・妥当性の確認書)が必要 |
研修費 | 教育訓練や講座受講等に係る費用 | – 日常業務のOJTは対象外 – 研修計画の詳細を事業計画書に記載する必要あり – 費用は総額の1/3が上限 |
廃業費 | 既存事業の廃止に伴う解体費用や原状回復費用 | – 一部経費(印鑑証明取得費など)は対象外 – 他事業を続ける場合、完全廃止とみなされない |
知的財産権等関連経費 | 特許権取得や国際規格認証取得に要する費用 | – 手数料(出願料、審査請求料など)は対象外 – 成果物に関連しない知的財産権は対象外 |
全般的な注意事項
- 補助対象経費は事業計画書に記載された事業専用のものに限られます。
- 契約・支払いは交付決定以降かつ実施期間内に完了する必要があります。
- 必要性・妥当性を証明する書類(見積書、契約書等)が必須です。
- 一過性の支出や、資産性のない経費の計上が多い場合、対象外となる可能性があります。
補助対象経費全般にわたる留意事項
項目 | 内容 | 主な注意点 |
---|---|---|
精査のタイミング | 補助対象経費の精査は交付申請時に実施。 応募申請時に計上した経費が全て補助対象になるとは限らない。 |
– 応募時に未計上の経費を新たに計上することは原則不可。 |
補助対象外経費 | 補助事業と直接関係ない経費、目的外使用になり得る汎用的なもの、税金・手数料などは対象外。 | – 詳細が確認できない「諸経費」、消耗品費、家賃、通信費、奢侈品費用、訴訟費用などは対象外。 – 汎用性が高い物品(PC、スマートフォン等)は原則不可。ただし、補助事業専用と明確に証明できる場合は例外。 |
契約・支払い条件 | 契約(発注)や支払いは交付決定後かつ補助事業実施期間内に行う必要あり。 | – 銀行振込での支払い実績が必要(現金払・手形払は不可)。 |
相見積もりの義務 | 経済性確保のため、50万円以上の契約は3者以上の相見積もりが必要。 | – ペーパーカンパニーや販売実績のない業者からの見積もりは認められない。 – 認定支援機関や関連会社からの調達は価格妥当性を証明する資料が必要。 |
過大な経費の見直し | 過度な経費や妥当性を欠く経費が含まれる場合、補助対象外となる可能性あり。 | – 事務局から補助対象経費の見直しを求められる場合がある。 |
財産の担保設定制限 | 補助事業で取得した財産に担保権を設定する場合、事務局の事前承認が必要。 | – 根抵当権の設定は不可。 |
消費税等 | 消費税等は補助対象外として算定。 | – 消費税を含めない形で補助金交付申請額を算定する必要あり。 |
経済産業省の停止措置対象業者 | 停止措置期間中の業者との契約経費は対象外。 | – 停止措置期間外の場合は対象となる。 |
リース会社との共同申請に関する注意事項
項目 | 内容 | 主な条件 |
---|---|---|
対象経費 | リース会社が販売元に支払う機械装置・システムの購入費用 | – リース料自体は補助対象外。 |
リース料軽減計算書 | リース料から補助金相当分が減額されていることを確認できる「リース料軽減計算書」を提出。 | – (公社)リース事業協会の確認が必要。 |
対象取引 | ファイナンス・リース取引に限る。 | – セール&リースバック取引や転リース取引は対象外。 |
見積もり取得 | 中小企業等が実施し、50万円以上の場合は3者以上の相見積もりが必要。 | – 通常の補助事業と同様の条件。 |
財産処分制限 | リース資産は財産処分制限が課される。 | – 処分時は残存簿価または時価を国庫に返納する必要あり。 |
リース契約の条件変更 | リース契約変更時は再提出が必要。 | – (公社)リース事業協会の確認済み計算書を再提出。 |
対象外契約 | 割賦契約や建物取得のリース契約は対象外。 | – 建物のリースは補助対象とならない。 |
リース会社の申請件数制限 | 公募回ごとの申請件数や交付決定件数に制限なし。 | – 制限なく申請可能。 |
事業計画作成における注意事項
項目 | 内容 | 主な注意点 |
---|---|---|
申請方法 | – 電子申請システム操作マニュアルの指示に従い、必要事項を入力。 – 添付書類は「ファイル名確認シート」に従い指定のファイル名を使用。 |
– 入力漏れやファイル名の不備に注意。 |
事業計画書の作成 | – A4サイズ15ページ以内(補助金1,500万円以下は10ページ以内)。 – 1ページ目に会社名・製品やサービスの新規性、新市場進出の概要を記載。 – 2ページ目以降は審査項目に基づき事業内容を具体的に記載。 |
– 必要項目が記載されていない場合は不採択となる。 – 図表は読み取れるサイズで配置。 |
記載すべき内容 | 1. 補助事業の具体的取組内容 – 新市場進出や事業転換の概要 – 投資スケジュール – 他社との差別化や競争力強化の方法 – 従業員解雇時の再就職支援計画 – 複数事業者連携の場合は役割分担の明記 2. 将来の展望 – 想定市場、収益性、リスク対策 – 事業化見込み(目標時期・売上規模等) 3. 取得資産の明記 – 単価50万円以上の資産名、分類、取得価格 4. 収益計画 – 実施体制、スケジュール、資金調達計画 – 付加価値額や給与支給総額の算出根拠 |
– 必ず「事業再構築指針」と関連づけること。 – 必要に応じて図表や写真を使用し具体性を高める。 |
産業雇用安定助成金の併給 | – 成長分野進出枠で新規正社員を採用する場合、産業雇用安定助成金の併給が可能。 – 助成金を希望する場合はチェックボックスに記入し、以下を明記: 1. 配置部署・役職名 2. 業務内容(生産性向上との関連性) 3. 資格・スキル要件 |
– 申請した雇用が助成金支給の対象と認められる保証はない。 |
禁止事項 | – 不必要な個人情報(写真等)の掲載禁止。 – 事業計画書は申請者自身で作成。 |
– 他者に依頼しての作成は不可。 |
事業計画作成時の具体的記載内容
項目 | 内容 |
---|---|
補助事業の取組内容 | – 新市場進出や事業転換の概要 – 投資スケジュール(建設、設備取得、助言、研修等の時期) – 差別化・競争力強化の方法 |
将来の展望 | – 想定市場規模、収益性、課題と対策 – 目標時期、売上規模、量産化時の価格 |
取得資産 | – 50万円以上の資産(建物・設備等)の名称、分類、価格 |
収益計画 | – 実施体制、スケジュール、資金調達計画 – 付加価値額や給与支給総額の根拠 |
添付書類一覧
事業類型共通の提出書類
番号 | 書類名 | 概要・注意点 |
---|---|---|
① | 事業計画書 | – 最大15ページ(補助金1,500万円以下の場合は10ページ以内)。 – Word等で作成しPDF形式で添付。 |
② | 金融機関・認定経営革新等支援機関による確認書 | – 金融機関や支援機関の確認済みであることを示す書類。 – 自己資金のみの場合は「認定経営革新等支援機関」の確認書のみで可。 |
③ | 決算書(直近2年分) | – 貸借対照表、損益計算書など。 – 2年分提出が難しい場合は1期分を提出。 – 特定要件を満たす場合は、追加で売上高に関する書類が必要。 |
④ | ミラサポplus「ローカルベンチマーク」の事業財務情報 | – ミラサポplusで「事業財務情報」を作成しPDF出力して添付。 |
⑤ | 従業員数を示す書類 | – 労働基準法に基づく労働者名簿の写しを提出。 |
⑥ | 固定資産台帳 | – 既存事業で使用している機械装置等の置き換えでないことを確認するための書類。 |
⑦ | 収益事業を行っていることを説明する書類 | – 法人:確定申告書別表一及び法人事業概況説明書。 – 個人事業主:確定申告書第一表等。 |
⑧ | 新築の必要性に関する説明書 | – 建物の新築を補助対象経費に計上している場合に必要。 |
事業類型ごとの追加提出書類
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)
事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)
事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置
上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
番号 | 書類名 | 対象事業類型 | 概要・注意点 |
---|---|---|---|
⑨ | 市場拡大要件説明書 | 事業類型(A) | – 市場拡大要件を満たすことを説明。 |
⑩ | 賃金引上げ計画の誓約書 | 事業類型(A)、(B) | – 給与総額増加要件を満たすことを説明。 |
⑪ | 補助率等引上要件の説明書 | 事業類型(A)、(B) | – 最低賃金要件の対象となる3か月分の労働者名簿を提出。 |
⑫ | 市場縮小要件説明書 | 事業類型(A) | – 市場縮小要件を満たすことを説明。 |
⑬ | 廃業計画書 | 事業類型(A) | – 廃業費を計上する場合に必要。 |
⑭ | 最低賃金確認書 | 事業類型(D) | – 最低賃金要件に関連する賃金台帳等も提出。 |
⑮ | GX進出計画書 | 事業類型(B) | – グリーン成長戦略14分野のうちどの分野に関連するか明記。 |
⑯ | コロナ借換加点確認書 | 事業類型(D) | – コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていることを証明。 |
⑰ | 卒業計画書 | 上乗せ措置(F) | – 卒業要件を満たすことを説明。 |
⑱ | 大規模賃上げ及び従業員増加計画書 | 上乗せ措置(G) | – 賃金引上げと従業員増加計画について説明。 |
⑲ | 別事業要件及び能力評価要件説明書 | 事業類型(B) | – 過去の公募回で採択済みの事業者が対象。 |
リース会社との共同申請に関する追加書類
番号 | 書類名 | 概要 |
---|---|---|
⑳ | リース料軽減計算書 | – (公社)リース事業協会が確認した書類。 |
㉑ | リース取引に係る宣誓書 | – リース会社が適切に取引を行うことを誓約する書類。 |
複数事業者連携時の追加書類
番号 | 書類名 | 概要 |
---|---|---|
㉒ | 連携の必要性を示す書類(代表申請者) | – 連携事業の必要性を説明。 |
㉓ | 連携体構成員ごとの要件説明書 | – 各構成員の事業再構築要件についての説明書類。 |
加点関係の追加書類
番号 | 書類名 | 概要 |
---|---|---|
㉔ | コロナ借換加点証明書 | – コロナ借換保証等の既往債務を借り換えたことを証明(⑯と重複する場合は追加不要)。 |
申請までの流れ
ステップ | 内容 | ポイント |
---|---|---|
1. スケジュール確認 | – 公募開始:令和7年1月10日(金) – 締切:3月26日(水)18:00 |
締切厳守!余裕を持ったスケジュールで進める。 |
2. 必要書類準備 | – 共通書類:事業計画書、確認書、決算書、従業員名簿など – 追加書類:事業類型に応じた提出物 |
必要書類を確認し、不備なく揃える。 |
3. 事業計画書作成 | – 新市場進出や事業転換の具体内容、収益計画を記載 – A4サイズ15ページ以内(PDF形式) |
審査基準に基づき、図表を活用してわかりやすく作成。 |
4. 電子申請準備 | – 電子申請システムで必要事項を入力 – 添付書類を所定の形式・ファイル名でアップロード |
システム混雑を避け、締切前に余裕を持って提出。 |
5. 申請の実施 | – 電子申請システムでのみ受付。 – 情報や書類の確認を徹底 |
提出前に最終チェック!不備がないか再確認。 |
まとめ
- 締切を守る:3月26日(水)18:00までに申請。
- 準備を整える:必要書類と事業計画書を揃える。
- 早めに申請:混雑を避け、スムーズな手続きを心がける。
次回から、審査項目を改めて解説してゆこうと思います。