IT導入補助金の不正受給、1億円超にものぼる模様

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会計検査院(※)が10月21日に公表した内容が紙面を騒がせています。

IT導入補助金(※)において、不正受給額が1億円超にも上るということが明らかになったようです。

※会計検査院・・・国の予算や国債によって得られたお金が、適切かつ効率的に使われているかを監視・審査する独立した機関です。具体的には、各府省庁や国の機関が執行する事業や支出が、法令に基づいて正しく行われているか、不正や無駄がないかを厳密にチェックします。この機能により、国民の税金が適切に運用されるよう保障し、公共の信頼を維持する役割を担っています。会計検査院の報告は、国会に提出され、政府や国民への説明責任を果たすための重要な資料となります。

※IT導入補助金・・・IT導入補助金とは、様々な経営課題を解決するためのITツール導入を支援するための補助金

日経新聞の記事が一番詳しく書かれていますが(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE201B10Q4A021C2000000/)有料記事ですので、毎日新聞の記事がヤフーニュースで取り上げられていますので、期間限定ですが読んでみてください。(https://news.yahoo.co.jp/pickup/6517149

IT導入補助金で不正受給1億円超。その手口は・・

会計検査院が調べたところ、「サービスデザイン推進協議会」という団体が担当していた補助金に関して、IT企業(ベンダー)と中小企業が一緒に、事務局に嘘の申請をして補助金を多くもらっていたことがわかりました。そして、IT企業がそのお金の一部を「紹介料」などの理由で中小企業に返す、いわゆる「キックバック」という不正なやり方でお金が動いていたのです。

この調査では、376の企業が関わった445件の事業について調べ、その中で不正に多く受け取られたお金が見つかりました。

キックバックというのをわかりやすい言葉で説明しますと、お金を受け取るために協力した相手に、その一部をこっそり返す不正なやり方です。たとえば、何かの契約や仕事でお金を多くもらった人が、そのお金の一部を協力者に内緒で渡すことをいいます。普通の取引ではやってはいけないことで、ルール違反です。

補助金において「キックバック」が不正である理由は、次のような点にあります:

  1. 補助金の適正使用が義務づけられている
    補助金は、特定の目的に従って使用されるべきもので、事業の成長や社会の利益に使われることが求められます。キックバックは、補助金を本来の目的ではなく、個人や企業の私的な利益のために使う行為であり、補助金の適正な使用を妨げるものです。
  2. 虚偽申請による違法行為
    キックバックを行う際には、通常、虚偽の申請や不正な報告が行われます。これは、補助金を受け取る資格がない事業や本来の経費より多く請求する行為であり、法律に違反します。例えば、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(予算執行適正化法)」に違反する行為です。
  3. 公正な競争の阻害
    キックバックにより、特定の企業や団体が不当に有利な立場に立つことになり、公正な競争が阻害されます。本来、補助金は適正に審査され、正当に使用されるべきものであり、不正な利益を得ることは、他の正当な事業者に対して不公平です。
  4. 社会的信頼の失墜
    補助金は税金によって賄われているため、不正なキックバックは国民の信頼を損ないます。公共の資金が私的な利益のために使われることは、社会に対する背信行為とみなされます。

まぁ、要するに、補助事業は全額を事業者が負担し、それを補助するための税金支出になりますので、全額負担というルールにまず違反します。これが虚偽申請ということになります。

キックバックをするということは「自己負担ゼロ」といううたい文句でベンダーが補助金を申請させるもので、これにより事業者は本来負担すべき費用を支払わずに済み、実質的に税金で全ての費用をまかなうことになります。これは補助金制度の趣旨に反するだけでなく、補助金の「自己負担分」を求める基本ルールに違反しています。

結果として、事業者は事業にかかる費用を負担していないにもかかわらず、補助金を不正に受け取る形となり、ITベンダーは紹介料や手数料の名目で利益を得る構造が成立します。このような虚偽申請とキックバックの仕組みは、税金の不正利用を助長し、社会全体に悪影響を及ぼすため、厳しく取り締まられるべき行為です。

中小企業庁やサ推協が会計検査院から怒られているっていうお話は、上記の記事を読んでいただければと思いますので、ワタクシの個人的な主観は交えないようにしておきます。

参考:会計検査院の公表

https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/6/r061021.html

 

「実質的還元による不正が行われたことなどにより、サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金が過大に交付されていたもの」

実質的還元による不正が行われたことなどにより、サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金が過大に交付されていたもの 41件 不当と認める機構の補助金 147,558,703円サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金(以下「IT導入補助金」という。)は、サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金交付規程(以下「交付規程」という。)等に基づき、IT導入支援事業者を通じて生産性向上に資するITツールを導入する事業(以下「IT導入事業」という。)を実施する中小企業・小規模事業者等(以下「事業主体」という。)に対して、これに要する経費の一部について、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)から補助金の交付を受けた一般社団法人サービスデザイン推進協議会(以下「サ推協」という。)が補助するものである(制度等の概要については、「サービス等生産性向上IT導入支援事業の実施に当たり、実質的還元等により過大に交付された補助金について返還手続を行わせるよう適宜の処置を要求し、並びに同種同様の不正な事態の有無を調査して必要な場合には補助金の返還、IT導入支援事業者の登録取消しの手続等を速やかに行わせるとともに、各種審査等における不正防止策等が適時適切に行われるための指針等を整備し、また、事業主体がITツールを解約した場合に交付決定の取消しや残存簿価分の納付が適切に行われるための仕組みを整備するよう改善の処置を要求し、及び補助事業の効果を正確に把握できるような確認体制を整備するなどするよう意見を表示したもの」参照)。 本院が、令和2年度から4年度までの間に315事業主体が実施した383事業のIT導入事業を対象として検査したところ、41事業主体が実施した55事業(IT導入補助金交付額計14 7,558,703円(機構の補助金相当額同額))において、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた
(引用:会計検査院 実質的還元による不正が行われたことなどにより、サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金が過大に交付されていたもの 本文より引用)

参考:IT導入補助金事務局 2024年9月30日 <IT導入支援事業者の登録取消について>

https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/deregistration_list.pdf

事務局では不正行為等の調査を行っております
事務局では、本補助金の交付規程の定めに則り、IT導入支援事業者、補助事業者に対し、現地確認を含めた立入調査を行っております。 交付規程及び公募要領の定めに反する事実が確認された場合や、現地確認を含めた立入調査に正当な理由なく応じなかった場合は、交付規程第8条及び第27条に則りIT導入支援事業者の登録取消、補助事業者の交付決定の取消の他、事業者名の公表、中小機構が所管する全てのIT導入補助金事業での登録取消、警察への通報等の措置を取ることがあります。 引き続き、本事業の適正な事業運営にご協力をお願いします。
(引用:<IT導入支援事業者の登録取消について> 本文より)

 

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