補助金の事業化報告とは

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補助金の事業化状況報告とは

全ての補助事業者は、補助事業の成果を事業化状況報告として報告する義務があります。
(交付規程第25条及び第22条1項(10))
報告回数は合計6回です。報告する内容は下記のとおりです。

  1. 直近1年間の補助事業に係る事業化並びに付加価値額状況
  2. 補助事業に係る発明、考案等に関する特許権などの知的財産権を出願若しくは取得した場合
    又はそれを譲渡し、若しくは実施権を設定した場合には、当該知的財産権の取得状況

補助事業によって収益が生じたことが確認されたときは、受領した補助金額を上限として収益納付をしなければなりません。(交付規程第27条1項)

事業再構築補助金ホームページより引用

事業化状況報告の概要

補助事業を行った全ての事業者は、以下の内容を定期的に報告しなければなりません。

  1. 直近1年間の事業化状況および付加価値額の状況
    • 補助金を受けた事業が具体的にどのように展開され、事業として成立しているか、またその結果として得られた付加価値(売上、利益、雇用創出など)がどの程度かを報告します。付加価値額は、事業の成長や経済的影響を測る重要な指標です。
  2. 知的財産権の取得状況
    • 補助事業に関連して、新たに発明や考案がなされ、その結果として特許権などの知的財産権を出願・取得した場合、もしくはこれらの権利を譲渡したり実施権を設定した場合、それに関する状況も報告対象となります。これは、補助事業の成果が技術革新や新たなビジネスの権利化につながっているかを評価するためです。
  3. 収益納付に関する義務
    • 補助事業によって収益が発生した場合、その収益は補助金額を上限として納付する義務があります。このルールは、補助金が適正に活用され、事業者が利益を得た場合にその一部を国に返還するという仕組みです。これにより、補助金が単なる財政支援ではなく、国全体の経済成長やイノベーション促進に寄与しているかどうかが確かめられます。

報告の回数とスケジュール

報告は合計6回にわたって行う必要があります。これは、補助金の効果や進捗を定期的に確認し、長期にわたって補助事業が適正に進行しているかどうかを把握するためです。報告タイミングや具体的な方法は、補助金交付規程第25条および第22条で定められています。

事業化状況報告の重要性

この報告制度は、事業者が受けた補助金の効果を明確にし、事業の持続的な成功や社会的な貢献度を評価するための重要なツールです。報告を怠ると、事業者に対するペナルティや補助金の返還義務が発生する可能性もあるため、報告義務をしっかりと果たすことが求められます。

事業化報告を忘れてしまうと・・

事業化報告を忘れ、また、事務局からの連絡なども無視し続けていると、大きなペナルティが課されます。

事務局からのご案内の引用2024.10.8

事業化状況報告に関する注意喚起

上記のように、事業化状況報告は、補助金交付の条件として厳密に義務付けられており、これを怠ることは非常に重大な違反と見なされます。補助金交付規程第25条では、事業者は毎年の状況について速やかに報告を行う必要があると明記されています。この義務を無視し続けた結果、今回のような厳しい処分が行われることになります。

具体的なペナルティの内容

  1. 交付決定の取り消し
    • 事業者に対して一度決定された補助金交付が無効化され、過去に支給された補助金は無効とされます。これにより、すべての補助金額が返還対象となります。
  2. 補助金の返還
    • 受領した補助金の全額が国に返還される義務が発生します。事業が進行していた場合でも、報告義務を果たさない限り、補助金の適正な使用が確認できないため、返還が求められることになります。
  3. 加算金の請求
    • 返還される補助金に加えて、加算金も課されます。加算金は、規定に基づく制裁として追加される金銭であり、未報告による責任の重大性を反映しています。この加算金は、単なる返還金以上の負担となり、事業者に対して大きな財政的影響を与える可能性があります。

事業化報告の仕方(事業再構築補助金の場合)

1. 報告のタイミング

報告回数 報告時期(目安)
初回 補助事業終了年度の決算日の3か月後
2回目以降 その後、毎年決算日の3か月後
  • 補助事業完了日が変更された場合、報告年度も変更されることがあります。

2. 報告内容

報告時には、以下の書類や調査票を提出します。

  • 事業化状況・知的財産権報告書
  • 事業化状況等の実態把握調査票
  • 必要書類(下記参照)

3. 提出書類

提出書類 対象者
損益計算書 全ての事業者
貸借対照表 全ての事業者
労働者名簿 全ての事業者
賃金台帳 大規模賃金引上枠の事業者のみ
製造原価報告書 該当する事業者
販売費及び一般管理費明細表 該当する事業者
追加報告用エクセル 必要に応じて
  • 個人事業主は、青色申告決算書または白色申告の収支内訳書を提出してください。

「事業化状況・知的財産権報告書」等の作成について

すべての補助事業者は、補助事業が完了した年度から5年間にわたり、以下の報告を行う必要があります。


1. 報告のタイミング

報告回数 報告時期(目安)
初回 補助事業終了年度の決算日の3か月後
2回目以降 その後、毎年決算日の3か月後
  • 補助事業完了日が変更された場合、報告年度も変更されることがあります。

2. 報告内容

報告時には、以下の書類や調査票を提出します。

  • 事業化状況・知的財産権報告書
  • 事業化状況等の実態把握調査票
  • 必要書類(下記参照)

3. 提出書類

提出書類 対象者
損益計算書 全ての事業者
貸借対照表 全ての事業者
労働者名簿 全ての事業者
賃金台帳 大規模賃金引上枠の事業者のみ
製造原価報告書 該当する事業者
販売費及び一般管理費明細表 該当する事業者
追加報告用エクセル 必要に応じて
  • 個人事業主は、青色申告決算書または白色申告の収支内訳書を提出してください。

4. 提出方法

  • オンライン提出のみ(郵送は不要です)。
  • 決算書類は確定したものを提出。

ものづくり補助金における報告義務の概要

補助事業者は、補助事業終了後6年間にわたり、以下の内容を報告する必要があります(交付規程第23条・24条)。


1. 報告内容

  1. 事業化状況・知的財産権等報告書
  2. 事業化状況等の実態把握調査票
  3. 返還計算シート
  4. 直近の決算書
    • 知的財産権に関する報告は、交付決定から報告対象年度終了時点までの決算書が対象。
  5. 報告年3月分の賃金台帳

2. 報告方法

  • 事業化状況・知的財産権等報告システムを使用して報告。
  • 未入力または入力中の場合、報告は完了と見なされず、補助金返還の対象になる可能性があります。

3. 収益納付・補助金返還の可能性

  • 補助事業の成果によって収益が出た場合、補助金額を上限に一部を納付。
  • 賃金引上げや最低賃金の目標が達成できない場合、補助金返還が求められる(交付規程第25条)。

もの補助の場合は「賃金が上昇しているか」(申請要件)が非常に重要で、そのあたりを賃金台帳をもってしっかりと報告する必要があります。

最低賃金に関する報告の概要

補助金を受けた事業者は、毎年3月分の賃金台帳を報告する義務があります。

1. 報告対象となる賃金台帳

報告する賃金台帳は以下の条件に該当するものです。

  • 報告年の3月分の賃金台帳
  • 締日または支給日が3月1日~3月31日までのもの
  • 事業者名の記載が必要

2. 添付書類

報告時に、以下の2種類の賃金台帳を添付する必要があります。

  1. 事業場内の全従業員の賃金台帳
  2. 最低賃金対象者1名の賃金台帳(複数名いる場合は1名分で可)

3. 最低賃金+30円の達成義務

  • 補助金を受けた事業者は、地域別最低賃金に対して**+30円**上がっていることが補助要件です。
  • 3月末までにこの条件を満たす必要があります。4月以降の昇給は適用されません。
  • どのような雇用形態の従業員であっても、この基準を満たす必要があります。
  • ただし、都道府県労働局長から減額特例を受けている労働者はこの要件を満たす必要はありません。

4. 未達成の場合の補助金返還

最低賃金の増加目標が達成できなかった場合、以下の基準に基づき補助金の返還が求められます。

  • 補助事業完了年度の翌年度以降、毎年3月末時点で目標が達成されていない場合
  • 返還額は補助金額を事業計画年数で割った額

免除される場合
次の条件を満たす場合、補助金の一部返還は免除されます。

  • 付加価値額の年平均増加率が1.5%未満
  • 天災などの事業者に責任のない理由

5. 特別な猶予について

  • 新型コロナウイルスの影響を考慮し、補助事業実施年度の付加価値額や賃金引上げについては、目標達成の1年間猶予が認められます(回復型賃上げ・雇用拡大枠を除く)。

6. 役員しかいない場合

従業員がいない場合は、従業員数0人として報告します。この場合、賃金や労働時間の入力は不要です。ただし、「回復型賃上げ雇用拡大枠」の事業者は、従業員が1人以上いる前提での目標設定となっているため、従業員0人の場合は全額返還の対象となります。

まとめ

  • 事業再構築補助金は5年間にわたって、事業の進捗や知的財産権の状況を報告し、収益が発生した場合は補助金額を上限に納付する義務があります。
  • ものづくり補助金は6年間にわたって毎年報告が必要で、特に賃金台帳の提出と最低賃金+30円の達成が重要なポイントです。未達の場合には補助金の返還が求められます。

どちらの補助金も、報告義務を怠ると厳しいペナルティが科される可能性があるため、期限内に正確な報告を行うことが大切です。

 

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