事業再構築補助金の実績報告とは
補助事業がすべて終わったとき(補助事業をやめる許可をもらった場合も含みます)は、その日から30日以内か、活動を終える期限のどちらか早い日までに、「実績報告書」という報告書や証拠の書類を提出しなければなりません。この提出することを「実績報告」といいます。
簡単に言うと、補助金をもらってやる仕事が終わったら、決められた日までに結果を報告しなくちゃいけない、ということです。
補助事業の完了とは、交付申請書に基づく設備投資や購入物品の納品・検収・支払いなど、必要な手続きがすべて終了した状態を指します。
- 期限内に完了が難しい場合は、「事故等報告書」を提出してください(ポータルサイト参照)。
- リース会社との共同申請の場合、申請事業者の補助事業完了をもって、リース会社の完了と見なされます。
簡潔に言うと、すべての手続きが終わっていれば補助事業は完了とされます。
この記事の目次
実績報告前に確認すべき重要な要件(概要まとめ)
- 補助事業の完了(納品・検収・支払いの手続き)
- 取得した物件の納品、検査(検収)、代金の支払いなど、必要な手続きがすべて完了することで、補助事業は正式に終了となります。
- 支払いは、原則として銀行振込で行いますが、クレジットカードでの支払いを希望する場合は、事前に事務局に相談が必要です。
- クレジットカード払いは、補助事業期間中に引き落としが確認できる場合のみ認められます。
- 認められない支払い方法として、他の取引との相殺払い、仮想通貨、手形、小切手、ファクタリング、補助事業期間内に契約が完了しない割賦払いなどがあります。
- 書類の保管期間
- 実績報告書を提出した年度以降、5年間はすべての証拠書類(領収書や契約書など)を保管する必要があります。
- 補助事業の中止・廃止
- 補助事業をやむを得ない理由で中止・廃止する場合は、「様式第3-2 補助事業中止(廃止)承認申請書」をjGrantsより提出し、承認を受ける必要があります。
- 異常事態への対応
- 大雨や台風、火事、地震などの災害で補助事業を予定通り完了できない場合、または事業の継続が困難になった場合は、「様式第4 事故等報告書」をjGrantsから提出し、状況を報告する必要があります。申請方法は、事業再構築補助金の公式サイトを参照してください。
- 取得物件の使用制限
- 補助金で取得した物件や設備は、補助事業専用で使用しなければなりません。補助事業以外の用途に使用すると、補助金の返還や罰則の対象となる場合があります。
- 他の設備と区別するために、物件には「事業再構築」と表示を行う必要があります。具体的には、以下のような表示を行います:
- 建物、機械装置、加工品など:シールなどで「事業再構築」と表示。
- HPやシステム:画面に「事業再構築」の表示が確認できるようにする。
- チラシなどの配布物:「事業再構築補助金により作成」という印字を行う。
物件(建物や機械設備)を入手する際に気を付けなければならないこと
1. 物件の取得に関するルール
- 自社在庫品の使用は補助対象外。
- 申請書にない物件を事前承認なしに購入した場合や、事業目的外の使用は補助対象外。
- 振込手数料は補助対象外。
2. 見積もりの取得
- 見積書が必須。50万円以上の発注は原則3者以上の見積書を取得。
- 相見積書が取れない場合は「業者選定理由書」を提出。
項目 | 必要書類 |
---|---|
発注・外注 | 見積書、注文書、契約書(参考様式に準ずる) |
中古品購入 | 型式・年式が記載された見積書が3者以上必要 |
海外取引 | 見積書・請求書は日本語訳付き。金額は円換算で記載し、TTM(電信仲値相場)を基準とする |
3. 取得物件の管理と使用
- 物件は補助事業専用で使用し、検収年月日が取得日として扱われる。
- 補助事業以外の使用は認められず、目的外使用の場合は補助金返還の可能性。
4. 保険加入の要件
- 補助金額が1,000万円を超える場合、建物や設備は一定割合の保険に加入が必要。
企業種別 | 保険の付保割合 |
---|---|
中小企業者等 | 30%以上 |
中堅企業等 | 40%以上 |
- 小規模企業者は別の取り組みで代替可能(報告が必要)。
5. その他の注意点
- 見積書の有効期限切れに注意。
- 設置前後の画像提出が必要な場合あり。
- 証憑に値引きがある場合は、経費に応じて按分。
簡易フローチャート
- 物件取得 → 2. 見積書取得 → 3. 発注・契約 → 4. 検収・支払い → 5. 必要書類提出(実績報告時)
支払に関すること(これをしっかりとやっておかないと詰みます)
1. 補助対象となる経費
- 対象経費は「交付決定日以降に契約・支払いが完了したもの」です。
- 例外として、事前着手届が受理された場合は、2022年12月2日以降の契約・支払いが対象。
- 補助事業終了日より後の支払いは対象外。
2. 支払い方法のルール
- 銀行振込が原則です。
- クレジットカード利用の場合、事前に事務局へ相談が必要。
- 支払いは補助事業完了期限内に引き落としが確認される必要があります。
- ポイント使用分は減算し、利用明細を提出。
- 認められない支払い方法
不可な支払い方法 現金、相殺払い、代引き払い 手形(L/C決済含む)、小切手 ファクタリング、割賦払い
3. 書類の保管と会計処理
- 振込実績の記録(日付、金額、振込先)を伝票類と一緒に保管。
- 「費目別支出明細書」「預金出納帳」等を整備し、経費を管理。
- 補助事業に関わる経費は単独払いとし、他の経費と混合しない。
4. その他の注意点
- ポイント・クーポン利用は原則不可。
- 立替払いの場合、補助事業期間内に精算を完了させる必要あり。
実績報告書の作成とは(概要)
以下はあくまでも概要です。
1. 提出期限
- 補助事業が完了した日(廃止の場合も含む)から30日以内、または補助事業完了期限日までの早い方の日までに提出が必要です。
- 期限内に提出しないと補助金の支払いができませんので、早めに準備してください。
2. 必要書類
「実績報告書(様式第6)」と以下の書類を併せて提出してください。
必要書類 | 説明 |
---|---|
預金・現金出納帳 | 取引の詳細を確認するための書類 |
補助対象物件受払簿 | 物件の受払記録を明示する書類 |
取得財産等管理台帳(様式第7) | 補助事業で取得した財産がある場合に必要 |
専門家関連書類 | 専門家経費が発生した場合(就任承諾書、業務報告書など) |
旅費明細書(参考様式13)・宿泊証明書 | 旅費が発生した場合に必要な書類 |
- 注意:提出時にはすべての経理証拠書類の写しが必要です。
3. 日付の整合性
報告書内の各日付が整合しているか確認することが大切です。
順序 | 説明 |
---|---|
見積依頼日 ≦ | 見積発行日 ≦ 注文日 ≦ 受注日 ≦ |
納品日(検収日)≦ | 請求日 ≦ 支払い日(補助事業完了日まで) |
4. 共同申請の場合
- リース会社と共同申請の場合は、申請事業者がリース会社と連名で実績報告を提出します。
フローチャートでのまとめ:実績報告書提出の流れ
- 補助事業完了
↓ - 30日以内または完了期限までに提出
↓ - 必要書類準備(経理証拠含む)
↓ - 日付整合性確認
↓ - 提出(Jグランツ)
提出方法:Jグランツ経由でのオンライン提出
実績報告書の作成手順(簡潔版)
1. 様式のダウンロード
- 実績報告書(様式第6別紙1~4、様式第7)は、交付決定後に電子申請システムからダウンロードできます。
- 電子申請システムにログインし、申請状況を確認してください。
ログインはこちら
2. 各様式の使用方法
様式名 | 使用用途 |
---|---|
別紙1・別紙4 | 補助事業実績報告書、クラウドサービスの内容(クラウド利用費用がある場合) |
別紙2・別紙3 | 経費明細表、費目別支出明細書 |
- 注意:別紙1「事業実施期間」の開始日は、事前着手届出をしている場合でも交付決定日を記入。
- ファイル名は変更しない(受付番号や事業者名を追記しない)。
3. 別紙2の入力方法
項目 | 説明 |
---|---|
予算額 | 交付決定額または計画変更承認後の金額を入力 |
実績額 | 実績報告時点での金額を入力 |
補助率 | プルダウンメニューから選択 |
- 実績額は「費目別明細表」に基づいて自動反映されます。
4. 様式第6 別紙3 記入方法
- 税はプルダウンで選択。
- 分割払いの例:
- 支払日は銀行の振込日を記入。
- 着手金などによる分割払いは行を分けて記入。
- 管理Noは、付番が一致するように記入(例:管理No1・機-1)。
- 振込手数料を先方負担にする場合、請求金額から手数料を差し引いた金額の税抜きが補助対象経費になります。
例:請求金額1,100,000円-振込手数料880円=1,099,120円(税抜き補助対象:999,200円)
5. 様式第7 取得財産等管理台帳 記入方法
- 単価50万円以上(税抜き)の物件が対象で、値引き後の金額を基準に記入。
- 耐用年数は国税庁の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表から参照して記入。
耐用年数表 - ソフトウェアやITシステムは「無体財産権」として記入。
- 処分制限期間内の財産の処分には、事前に「様式第12-1」で承認申請が必要。
6. 建物の記入例
- 同じ所在地の建物費は1つの財産として累計して記入。
- 住所登録のない建物は、本体1つにつき1つの財産として記入。
- 財産名は、工事名ではなく建物名(例:建物Aの改修→「建物A」と記載)。
7. 機械・装置・工具・器具の記入例
- 本体とオプション・付属品は累計して1つの財産として記入。
- システムは請求書単位で1つの財産として記入。
- 運搬費や据付費は、見積書全体に係る費用を機械本体の個数で按分。
8. 無体財産権の記入例
- ソフトウェア・ITシステムや知的財産権を購入した場合に記入。
- 取得年月日は、検収日(ソフトウェア等)や契約日(知的財産権)を記載。
証拠書類の整理方法(Jグランツ提出前の準備)
1. 日付の整合性チェック
- 各書類の日付が正しい順序で並んでいるか確認してください。
- 特に、発注書、契約書、請求書、支払日などの時系列が整合していることが重要です。
例:- 見積依頼日 ➤ 見積発行日 ➤ 発注日 ➤ 契約日 ➤ 納品日(検収日)➤ 請求日 ➤ 支払日
※ 着手金や中間金の先払いがある場合はこの限りではありません。
- 見積依頼日 ➤ 見積発行日 ➤ 発注日 ➤ 契約日 ➤ 納品日(検収日)➤ 請求日 ➤ 支払日
2. 証拠書類への付番
- すべての証拠書類に番号を振ることで、経費の区別がわかるようにしてください(手書き可)。 記入例:
- 建物2棟の場合:建-1、建-2
- 機械3台の場合:機-1、機-2、機-3
- 広告宣伝2種類の場合:広-1、広-2
3. 証拠書類のPDF化
- 各証拠書類をPDFファイル化し、適切なファイル名をつけてください。 ファイル名のフォーマット:
- R2xxxZxxxxx_物件名_証拠書類の内容
- 例:
- R2xxxZxxxxx_機-1_発注書
- R2xxxZxxxxx_機-1_納品書
- R2xxxZxxxxx_広-2_振込金受領書
図解:証拠書類整理の流れ
- 日付確認(順序通りかチェック)
↓ - 付番(建物・機械など区別を明確に)
↓ - PDF化(ファイル名も適切に)
証拠書類一覧表
共通で必要な証拠書類 | 説明 |
---|---|
出納帳のコピー | 補助事業に要した経費の出納状況が記載されている部分 |
通帳のコピー | 補助事業に要した経費の出金確認部分、金融機関名、支店名、種別、口座番号、口座名義がわかる部分 |
経費区分 | 必要書類 |
---|---|
建物費 | 見積依頼書、見積書、相見積書、契約書、重要事項説明書(新築の場合)、納品書、引渡書、検収書、工事完了後の写真、図面、工事費内訳書、請求書、支払証明書、領収書、固定資産台帳、登記事項証明書 |
機械装置・システム構築費 | 見積依頼書、見積書、相見積書、契約書(発注書・注文書で代用可)、納品書、検収書、設置後の写真、製造番号写真、請求書、支払証明書、リース契約書(リース経費の場合) |
技術導入費 | 見積書、契約書、指導契約書(専門家経費が発生する場合)、専門家業務報告書、請求書、支払証明書 |
専門家経費 | 見積書、相見積書、専門家就任承諾書、業務報告書、旅費明細書、宿泊先領収書、請求書、支払証明書 |
運搬費 | 見積書、移送先リスト(任意)、請求書、支払証明書 |
クラウドサービス利用費 | 見積書、契約書、請求書、ログイン画面のスクリーンショット、開発アプリのトップページ画像、支払証明書 |
外注費 | 見積書、契約書、納品書、納品後の加工品等の写真、設計図、請求書、支払証明書 |
知的財産権関連経費 | 見積書、契約書、公的機関の書類(出願手続き完了確認書類)、請求書、支払証明書 |
広告宣伝・販売促進費 | 見積書、契約書、納品書、看板・サインの写真、HPのスクリーンショット、請求書、支払証明書 |
研修費 | 見積書、申込書、契約書、請求書、支払証明書、受講確認書、終了証 |
海外旅費(卒業枠等) | 渡航計画書、旅費明細書、航空券や宿泊先領収書、支払証明書 |
補足情報
- 特定経費に関して、追加の書類(固定資産台帳、登記事項証明書、動産保険書類など)が求められる場合があります。
証拠書類提出時の注意事項
1. 相見積書の提出
- 交付決定時と内容変更なしの場合、本見積書のみ提出。
- 変更がある場合、相見積書を追加で提出する必要がある場合あり。
2. 外国語書類
- 外国語表記の書類は、和訳を添付。
3. 中古品購入時
- 中古品購入の場合、3者以上の相見積書が必要(型式・年式が一致するもの)。
- 業者選定理由書は不可。
4. 写真の提出
- 様式第7に記載された財産の写真を、画像データ用台紙に貼り付けてPDF化し提出。
5. 外貨建て経費
- 外貨建て経費は、円建てで記載。
- 換算レートは、送金日の**公表仲値(TTM)**を使用し、日付・金融機関名を記載。
6. インターネット取引証拠書類
- 証拠書類がない場合、注文履歴やスクリーンショットを代替書類として提出。
7. クレジットカード払い
- クレジットカード利用明細、利用控え、引き落とし口座の通帳コピーを提出。
- 補助事業期間中に引き落とし確認が必要。
8. 立替払いの場合
- 個人名義での支払い後、立替金を会社が精算する場合は、支払い証拠書類を提出。
- 通帳のコピーや振込金受領書を含む。
9. 保険・共済への加入
- 1,000万円超の補助金対象財産は、保険または共済への加入が必須。
- 保険証券や契約書のコピーを実績報告時に提出。
10. 保険加入に代わる取組
- 小規模事業者は、事業継続計画などで代替可(実績報告書に記載)。
11. 自社調達の場合の注意点
- 自社製品や関係会社からの調達は、利益分を排除した価格が証明できる場合のみ補助対象。
12. 不備があった場合の対応
- 書類不備があると差戻しされる可能性あり。
- 不備書類のみ再提出。
事業再構築補助金の実績報告まとめ
- 補助事業完了後に必須の手続き
- 提出書類:見積書、契約書、支払証明書など多くの書類が必要
- 書類の整合性(日付や内容の一致)が求められる
- 形式要件:PDF化やファイル名の指定など細かい要件がある
- 保険加入が必要な場合あり(1,000万円超の事業)
- 追加書類:クレジットカード明細や外国語書類の和訳など
- 手続きが煩雑なため、時間に余裕をもって準備が必要