ものづくり補助金の実績報告とは
ものづくり補助金を受けた事業者は、事業が完了した後に「補助事業実績報告書」を作成し、期限内に提出する義務があります。この報告書の提出がなければ補助金は支払われません。
この記事の目次
-
- 実績報告前に確認すべき重要な要件
- 写真撮影についての注意点
- 実績報告は、「地域事務局」と共に行う。
- 提出する実績報告書の書類
- 提出する実績報告書の書類
- 経理書類の整備についての注意点
- 見積書(相見積書)に関する注意点
- 注文書(発注書)に関する注意点
- 納品書に関する注意点
- 請求書に関する注意点
- 振込依頼書に関する注意点
- 『様式第6の別紙2 経費明細表』の作成に関する注意点
- 『様式第6の別紙1 実績報告書』の作成に関する注意点
- 記載する内容(地域事務局とよく相談しながら作成してください)
- 補正・差戻しになるケース
- 『様式第6の別紙1 実績報告書』作成に関するポイント
- 様式第7 取得財産等管理台帳の作成ポイント
- 参考様式8 専門家業務報告書の作成に関するポイント
- 出納帳と通帳コピーに関する注意点
- 預り金元帳と納付書コピーに関する注意点
- 補助対象物件受払簿の作成に関するポイント
- 様式第6の別紙3に関する注意点
- ものづくり補助金の実績報告まとめ
実績報告前に確認すべき重要な要件
- 事業計画書に基づく実施
- 補助事業は、交付決定時の事業計画書に沿って行う必要があります。計画と異なる内容で実施した場合、補助金が支給されない可能性があるので注意が必要です。補助金で購入した機械等は、計画書に記載された場所で使用してください。
- 設備導入後の検証
- 設備の導入だけでは補助対象になりません。生産プロセスの改善などの成果を、事業完了期限内に検証し、実績として報告する必要があります。
- 管理No.の貼付
- 補助対象となる物品には、管理No.を記載(機ー1などといったように)したラベルを貼り付け、実績報告時の費目別支出明細書と一致させてください。
- 作成物への表示
- システムやホームページを作成する場合、「ものづくり補助金により作成」と明示する必要があります。(ホームページやチラシなどが経費として認められることは通常枠などではほぼありませんが、グローバル枠などで認められるケースもあるのでここに記載しています)
- 試作品の取り扱い
- 試作開発に使用する機械や試作品には特定の制約があり、違反すると補助金の取消や財産処分が必要になる場合があります。
- 写真の提出
- 補助事業中に機械装置や原材料の写真が必要です。納品時や数量が確認できる形で撮影し、特別な付属品がある場合はその写真も撮影してください。
写真撮影についての注意点(事前準備)
写真を撮影するタイミング
- 納品時
- 機械装置、原材料、加工品、広告宣伝費で購入した備品等:納品時に必ず撮影し、後から再撮影できないため、記録を残す。
- 送付伝票:納品物に添付された送付伝票も一緒に撮影し、納品の事実を証明する。
- 原材料など
- 数量がわかるように撮影:大量の原材料は、その数量(個数)が確認できるように撮影する。
- 設置時
- 設置前のスペース:機械装置の設置前のスペースの写真を撮影。
- 設置後の機械装置:設置後の状態も撮影し、変化や配置を記録。
- 事業実施時
- 試作品:事業中に作成した試作品の写真を撮影して記録する。
※写真データの管理
- 撮影した写真(画像データ)は、事務局が準備する台紙ファイルに添付し、実績報告資料として費目別にフォルダーを作成して収録します。
※写真撮影に関するポイント
- Point 1: 各場面の写真
- それぞれの場面ごとに必要な写真を全て撮影し、台紙に貼付します。
- どの場面の写真かを明確に記載し、わかりやすく整理してください(例:納品時、設置時、試作品など)。
- Point 2: 全体像
- 撮影する際は、対象品全体がわかるように撮影します。原材料や複数個ある物品については、個数が確認できるよう全てを並べて撮影します。
- Point 3: 該当品名
- 撮影した画像に対して、何の画像かがすぐに分かるように管理No.と品名を記載します。
実績報告は、「地域事務局」と共に行う。
ものづくり補助金の場合、交付決定後から「地域事務局」(各都道府県ごとに設置されている)から、担当者がつきます。
遂行状況報告も問い合わせ対応や、交付申請、実績報告、書類の確認などを担当してくれます。
実績報告も地域事務局の確認を受け、確定検査まで行います。
実績資料の提出方法
- 提出方法
- 交付申請時と同様に、実績資料の提出は「Jグランツ」から行います。ただし、提出書類が多岐にわたるため、手続きを円滑に進めるために「事前確認」を実施します。
- 事前確認の流れ
- 実績報告資料の作成完了後、正式な報告の前に、担当の地域事務局に一旦送付します。地域事務局の担当者とやり取りをして、報告書を仕上げます。
- 最終報告
- 地域事務局による事前確認が完了した後に、正式にJグランツから実績資料を報告します。
提出する実績報告書の書類
以下は、実績報告資料の提出時にパソコンの保存領域に作成する必要のあるフォルダーの一覧を表でまとめたものです。各フォルダーには、必要な資料(電子ファイル)を収録し、収録する資料がないフォルダーは作成・提出不要です。
フォルダー名 | 内容 | 説明 |
---|---|---|
A_費目共通 | 費目に共通する資料 | |
A-1_実績報告書 | 実績報告書 | 主要な報告書 |
A-2_出納帳 | 出納帳 | 経費の出入りを記録 |
A-3_預り金 | 預り金の管理 | もし該当する場合に作成 |
B_費目別 | 費目ごとに分けた資料 | |
B-1_機械装置・システム構築費 | 機械やシステムの購入・構築に関する費用 | |
B-2_技術導入費 | 技術の導入にかかる費用 | |
B-3_専門家経費 | 専門家への支払い費用 | |
B-4_運搬費 | 機材などの運搬にかかる費用 | |
B-5_クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用にかかる費用 | |
B-6_原材料費 | 購入した原材料の費用 | |
B-7_外注費 | 外部に委託した業務の費用 | |
B-8_知的財産権等関連経費 | 知的財産に関する費用 | |
B-9_海外旅費 | 海外出張にかかる旅費 | |
B-10_通訳・翻訳費 | 通訳や翻訳にかかる費用 |
注意点
- フォルダーに収録する資料がない場合、そのフォルダーは作成・提出不要です。
実績報告書の作成から報告までの流れ
手順 | 内容 | 詳細 | 注意点 |
---|---|---|---|
1. 証拠書類の整備 | 経理書類の整備 | 費目ごとに管理No.をつけて整備(見積依頼書、見積書、注文書、納品書など)。 | 各書類に管理No.を明確に記載し、整備する。 |
2. 金額面の整備 | 費目別支出明細書の作成 | 費目ごとの支出一覧表を作成し、管理No.の順に記載。 | 転記ミスや加算ミス、端数調整ミスに注意。 |
経費明細表の作成 | 様式第6 別紙2として作成。左に交付決定額、右に実績額を記入。 | 金額の転記や端数処理の間違いに注意。 | |
3. 内容面の整備 | 実績報告書の作成 | 様式第6 別紙1として、事業計画に対する取組内容、スケジュール、課題、成果を記載。 | 具体的な内容を明確に記載。 |
その他必要書類の作成 | 様式第7 取得財産等管理台帳、出納帳、通帳コピー、写真などを整備。 | 補助対象経費に応じて必要な書類を確認し作成。 | |
4. 地域事務局へ送付 | 事前確認 | 実績報告資料を作成後、電子メールで地域事務局に送付。 | 正式な報告前に、事前確認を受ける。 |
5. jグランツへの報告 | 入力と提出 | 地域事務局の確認後、jグランツで補助対象経費や補助金額を入力し、全国事務局へ報告書を提出。 | 地域事務局の確認完了後、正確に入力し報告。 |
ポイント
- 金額面の整備:転記ミスや計算ミスに注意。
- 内容面の整備:実績報告書は、具体的な内容を詳細に記載する。
- 証拠書類の整備:管理No.の順に経理書類を整理し、必要な書類を揃える。
経理書類の整備についての注意点
- 日付の整合性を確認
- 各書類の日付が順序通りであることを確認する必要があります。以下の順序で整合が取れているか確認してください。
- 見積依頼日 ≤ 見積発効日 ≤ 注文日 ≤ 受注日 ≤ 納品日(検収日) ≤ 請求日 ≤ 支払日(※支払依頼日ではない)
- 各書類の日付が順序通りであることを確認する必要があります。以下の順序で整合が取れているか確認してください。
- 先払いの場合
- 着手金や中間払いなど、契約上で先払いが発生している場合は、請求日や支払日が納品日より前でも問題ありません。
- 補助事業実施期間内での取引
- 注文日から支払日までのすべての取引は、補助事業実施期間内に行う必要があります。これを守らないと、補助対象外となる場合があるため、十分に注意してください。
見積書(相見積書)に関する注意点
- 有効期限の確認
- 注文時に見積書の有効期限が切れていないことを必ず確認してください。
- 見積書の原本の用意
- 実績報告書の提出までに、見積書の原本を用意してください。
- インターネット注文や店頭購入などで見積書が発行されない場合は、省略可能です。
- FAXの記録用紙やコピーは原本として認められません。
- 見積内容の確認
- 品名、型番、金額などの見積内容が交付申請時と異なる場合は、軽微な変更でも事前に事務局へ連絡が必要です。
- 内容に変更がなく、期限が有効であれば、交付申請時に提出した見積書のPDFデータで問題ありません。
- 単価50万円以上の物件
- 単価50万円(税抜き)以上の物件(原材料費、外注費、広告宣伝・販売促進費も含む)を購入する場合は、見積書・相見積書に加えて、見積依頼書(仕様書)も必要です。
注文書(発注書)に関する注意点
- 見積内容との整合性
- 注文書の内容が見積書と一致していることを確認してください。完全一致であることが必要です。表記の揺れがあると取り直しになってしまいます。
- 注文する品目の品番や名称、金額、見積書の発行ナンバーを見積書と照合し、正しく注文されていることを確認します。
- 納品書・請求書との整合性
- 注文書だけでなく、納品書や請求書も見積書と整合が取れていることを確認する必要があります。すべての書類が一致していることが重要です。
納品書に関する注意点
- 検収印の確認
- 「検収日」を確認することが重要です。納品日や受領日ではなく、検収した日付を確認します。
- 納品書とは別に検収書がある場合、納品書への検収印の押印は不要です。ただし、検収日と検収担当者名が記載された検収書が必要です。
- 検収書の原本は先方に返却するため、手元にコピーを保管します。なお、受領書と検収書は異なるのでご注意ください。
- 検収印の押印方法
- 検収印の形式は押印でも手書きでも構いませんが、以下の3点を必ず記載してください
- 検収した日付(補助事業者側)
- 検収担当者名
- 「検収」の文字
- 複数枚の納品書がある場合、すべてに検収印を押印または記載します。
- 検収印の形式は押印でも手書きでも構いませんが、以下の3点を必ず記載してください
- 検収日と取得年月日
- 納品書に記載された検収日は、様式第7「取得財産等管理台帳」の取得年月日となります。
請求書に関する注意点
- 原本の準備
- 実績報告書の提出までに、請求書の原本を用意します。
- インターネット注文で請求書が発行されない場合は、注文画面のコピー(スクショ)を原本として代用します。
- 店頭購入の場合は、請求書の提出は省略可能です。なお、FAXの記録用紙やコピーは原本として認められません。
- 振込口座の記載
- 請求書には、取引先の金融機関名、支店名、口座種別、口座番号などの振込口座情報を記載し、確認できるようにします。
- もし振込口座情報が請求書に記載されていない場合は、取引契約書、覚書、振込先を証明する文書など、別の証拠書類を代用可能です。
振込依頼書に関する注意点
- 振込先の確認
- 請求書などで指定された口座に振込依頼をしているか確認します。
- 金融機関の印がある振込金受取書など、金融機関が発行する書類が必要です。
- Web振込の場合は、振込完了が確認できる画面をコピーします。
- 通帳のコピーや帳簿類では代用不可です。
- 振込手数料の確認
- 振込手数料が先方負担になっていないか確認します。
- 先方負担の場合、振込手数料は実質的な値引きとして扱い、支払金額から差し引きます。例として、機械装置2,750,000円で振込手数料880円を先方負担とする場合、支払額は2,749,120円となり、補助対象経費も880円を差し引いた金額にする必要があります。
- 支払年月日の確認(『費目別支出明細書』の記載について)
- 支払年月日は銀行の振込実施日と一致させます。振込依頼日ではないので注意してください。
- 補助対象経費の記入(『費目別支出明細書』の記載について)
- 補助対象経費には、補助金額(2/3をかけた額)ではなく、2/3をかける前の金額を記入します。
『様式第6の別紙2 経費明細表』の作成に関する注意点
- 予算額の転記
- 交付申請書の経費明細表をそのまま転記します。
- 計画変更承認を受けた場合は、変更申請額を記入してください。
- 補助率の選択
- 採択内容に応じて、1/2、2/3、3/4以内のいずれかの補助率を選びます。
- 実績額の記入
- **A列・B列(費目別支出明細書)**を確認し、各経費区分の合計額を転記します。
- 機械装置費は税抜き単価50万円以上と以下で記入場所が分かれるため、該当する品目の合計額をそれぞれに記入します。
- 補助金額の算出
- 各経費区分の補助対象経費に補助率をかけて算出します。
- 小数点以下の端数は切り捨てて記入してください。
金額の転記ミスが起きやすいので、特に注意して正確に作成しましょう。
『様式第6の別紙1 実績報告書』の作成に関する注意点
- 開始日の記入
- 開始日は「交付決定通知書」の右上の日付以降、かつ最初の発注日以前の日付を記入します。
- 事前着手の承認を受けている場合は、「事前着手承認日以降、かつ最初の発注日以前」を開始日として記載します。
- 各種類型の選択
- 交付申請書と同じ類型にチェックを入れます。
- 「実施した補助事業の具体的内容とその成果」
- 実績報告書の中でも特にこの項目は重要で、補助金支出の根拠となります。計画内容やその取組み、成果を具体的に記載してください。
記載する内容(地域事務局とよく相談しながら作成してください)
- 計画概要
- 交付申請時の計画内容を記載します。変更があった場合は、その内容も反映し、課題や達成目標、スケジュールも明記します。
- 取組内容
- 実際に行った取組みについて、計画に対する進捗や結果を記載します。
- 具体的な取組内容を詳細に記載してください。
- 取組成果
- 補助事業の結果として、生産効率化や精度向上などの成果を具体的に記載します。
- 図、グラフ、写真などを使って、定量的な成果(例: コストダウン、効率化の%)を示します。
- 新たに発生した課題や今後の取組みがある場合も記載します。
補正・差戻しになるケース
- 具体的な説明が不足し、数行だけの概要しか書かれていない。
- 交付申請書の内容をコピーしただけで、実際の取組みや成果が反映されていない。
- 写真を並べただけで結果の説明がない。
- 定量的な成果の記載がない(例: 「改善効果があった」「大幅に削減した」など抽象的)。数字をしっかり用いて説明すること
- 事業計画と整合性がない(計画に沿った取組みが行われているか不明)。
『様式第6の別紙1 実績報告書』作成に関するポイント
- 事業の背景・目的と計画概要
- 交付申請時の計画内容や、事業の背景、目的を記載します。
- 実施経過と取組内容
- 実際に行った事業の経過と、具体的な取組内容を詳細に記載します。
- 実施成果
- 図・グラフ・写真を使い、補助事業による成果をわかりやすく示します。
- 定量的データ
- 生産効率化や加工精度向上などの効果を数値データで具体的に記載し、達成した目標を示します。
- 購入した機械装置等
- 購入した機械装置ごとに内容を記載し、購入理由や活用の成果を説明します。
- 試作品
- 開発した試作品やサービスがある場合、その詳細を記載します。
- 専門家の活用
- 専門家を活用した場合、その具体的な寄与(してもらったこととその効果)を実施日ごとに記載します。
- 事業化スケジュール
- 補助事業終了後5年間の事業化スケジュールを記載します。
- 生産転用の予定
- 単価50万円以上の機械設備を、事業の成果を活用して生産転用する予定がある場合、目的や転用時期、物件を記載します。
- 事業化に向けた売上計画
- 売上計画表を記載し、今後の事業化の見込み、目標時期、売上規模、価格などを示します。
- その他の費用に関する記載
- 広告宣伝・販売促進費、感染防止対策費がある場合、それらの効果や使用実績を記載します。(基本的に、もの補助の場合はない。)
様式第7 取得財産等管理台帳の作成ポイント
取得財産等管理台帳は、補助金を受けて取得した財産を適切に管理するための書類です。特に単価50万円(税抜き)以上の財産が対象となります。
項目 | 詳細内容 | 補足説明 |
---|---|---|
1. 金額 | 費目別支出明細書に記載した補助対象経費の金額と一致させる。 | 費目別支出明細書と台帳に記載する金額は必ず一致させ、補助金の対象金額であることを確認します。 |
2. 取得年月日 | 納品書に記載された検収日を記入。納品が複数回ある場合は最後の納品書の検収日を記入。試作品は完成日を記入。 | 検収日は納品書に記載された日付です。試作品の場合は、試作完了日を取得年月日として記載します。 |
3. 保管場所・設置場所 | 機械や装置の保管・設置場所の具体的な住所を記載。 | 例: 会社の住所や工場の所在地。補助金を受けた財産は適切な場所に保管し、明確な管理が必要です。 |
4. 試作品の計上 | 試作品1個あたりの原価が税抜き50万円以上の場合は計上。 | 試作した製品やサービスの原価が高額(50万円以上)の場合、これも台帳に計上します。試作品も重要な財産として管理されます。 |
5. 耐用年数 | 国税庁の耐用年数表を参考に耐用年数を記入。 | 減価償却に必要な情報です。財産がどのくらいの期間使用されるかを基に会計処理が行われます。耐用年数は財産の種類により異なります。 |
補足説明
- 金額の正確性
- 「費目別支出明細書」との整合性が求められ、記載ミスがあると補助金の支払いに影響するため、特に注意が必要です。
- 取得年月日の重要性
- 「検収日」は、実際に補助事業において財産を受け取った日であり、納品が完了した日を指します。納品が複数回にわたる場合は、最終納品日が記録されます。試作品の場合は完成日を記録し、正確な取得日を示します。
- 保管場所の記載
- 保管場所の記載は、財産がどこで管理されているかを明確にするために必要です。補助金で取得した機械や装置は、申請時に申告した場所で適切に管理・使用されなければなりません。
- 試作品の管理
- 試作品は製品化前でも価値のある財産と見なされるため、試作原価が50万円以上の場合には台帳に記載し、適切に管理します。
- 耐用年数の記載
- 国税庁の耐用年数表を参考にし、機械や設備の法定耐用年数を記載します。この記載は、会計処理における減価償却に必要となるため、正確な記載が求められます。
参考様式8 専門家業務報告書の作成に関するポイント
専門家による指導や、知的財産権の権利保有者から指導を受けた際には、指導者本人が報告書を作成し、それを提出する必要があります。この報告書は指導日ごとに作成するものです。
項目 | 内容 | 補足説明 |
---|---|---|
1. 作成者 | 専門家や権利保有者など、実際に指導を行った本人が報告書を作成します。 | 指導者本人が報告書を作成し、指導内容の正確な記録を残します。 |
2. 指導の内容 | どのような指導を行ったのかを、具体的かつわかりやすく記載します。 | 指導の目的や内容、その成果やアドバイスがどう活かされたかを詳細に記載します。技術的な助言や知的財産の活用方法などを明記します。 |
補足説明
- 報告書は指導日ごとに必要
専門家による指導や技術導入などは、1回の指導ごとに報告書を作成する必要があります。専門家経費や技術導入費の適正な支出を証明するため、指導内容の詳細が重要です。 - 作成者は指導者本人
報告書は、実際に指導を行った専門家や権利保有者本人が作成するため、内容の正確性が保証されます。依頼者側での代理作成は認められません。 - 指導内容の具体性
指導内容は曖昧にならないよう、具体的かつ詳細に記載することが求められます。例えば、「生産工程の改善方法に関する助言」や「知的財産の権利活用に関する指導」など、実際に行われた内容を明確に記述します。
出納帳と通帳コピーに関する注意点
補助事業にかかった経費の記録と、支払いが正しく行われたことを確認するため、出納帳と通帳コピーの両方が必要です。
出納帳
- 作成方法
預金出納帳を参考様式12に従って作成します。もし現金払いがある場合は、現金出納帳も作成してください。
通帳コピー
- 通帳がある場合
通帳のコピーは、以下の2つの部分が必要です。- 表紙(金融機関名、口座名義人、口座番号が確認できる部分)
- 口座名義人が確認できない場合は、表紙裏の見開きも提出してください。
- 対象のページ(支払日、支払金額が確認できる部分)
- 表紙(金融機関名、口座名義人、口座番号が確認できる部分)
- 通帳がない場合
当座預金などで冊子としての通帳がない場合は、代わりに当座勘定照合表や通帳に相当する証拠書類を提出してください。この書類には、支払日、支払金額、取引先口座、および補助事業者の口座名義人が確認できる必要があります。
補助事業にかかった経費が分かるように、該当箇所に管理No.(例:「機-1」など)を記入します。補助事業に関係ない箇所は塗りつぶしても構いません。
預り金元帳と納付書コピーに関する注意点
補助事業において、技術導入費や専門家経費で個人事業主と取引した際、源泉所得税の預かりと支払いを証明する書類が必要です。
預り金元帳
- 作成方法
預り金元帳を参考様式12に基づき作成します。源泉所得税の「預かり額」と「納付額」を、預り金の仕訳計上時や税務署への納付タイミングで記載してください。
納付書コピー
- 提出方法
源泉所得税の支払いを証明するため、納付書のコピーを提出してください。
補助対象物件受払簿の作成に関するポイント
補助対象物件受払簿の作成
- 対象品目
- 原材料費:すべての品目に受払簿の記載が必要です。
- 外注費:試作品開発に使った原材料の再加工も記録します。
- 広告宣伝・販売促進費:パンフレットなどの印刷物。
- 感染防止対策費:マスクや消耗品も記載します。
- 機械装置費:機械装置の製作に必要な部品も対象です。
補足説明
- 入庫日の重要性
入庫日は、物品が検収された日付です。納品書に押された検収印の日付と必ず一致させることで、正確な受領を証明します。 - 実際の使用量を記載
購入した数量ではなく、**実際に使用した数量(出庫量)のみを記録します。例えば、100㎏の原材料を購入しても、使用したのが90㎏なら、受払簿には90㎏**と記載し、費目別支出明細書にもその数値を反映します。これにより、補助対象経費が正確に報告されます。
様式第6の別紙3に関する注意点
様式第6の別紙3は、交付申請時に作成した補助事業計画書の別紙「クラウドサービスの内容」を転記するための書類です。補助対象金額の算定方法にも注意が必要です。
補助対象金額の算定方法
- 対象となる経費
- 補助対象は、実施と支払いが補助事業完了期限までに完了した経費に限られます。完了期限を超えた部分は補助対象外となります。
- 日割り計算が必要な場合
- 使用期間が補助事業完了日を超える場合は、日割り計算が必要です。
- 例:
- クラウドサービスの利用期間が11月21日~12月20日で、前払いで11月21日に支払い済みの場合。
- 補助事業の完了日が11月28日であれば、11月21日~11月28日までの8日分のみが補助対象となり、その期間分を日割り計算して金額を算出します。
ものづくり補助金の実績報告まとめ
補助事業完了後、30日以内または事業完了期限日までに、実績報告書を提出します。実績報告には、経費明細や成果を具体的に記載し、補助対象となる経費が正しく支払われたことを証明する書類(出納帳、通帳コピー、納品書など)を添付します。報告内容が計画に沿っているか、成果が明確かどうかが重要です。